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第4章 異能編
和見武志 3
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「説明してくれないか?」
「……」
そっぽを向いたままの武志。
こちらの顔を見ようともしない。
「どうして、あいつらと一緒にいたんだ?」
「……」
「話せないのか」
「……あんたには関係ない、どうでもいいだろ」
「どうでも良かったら、助けたりはしない」
「そんなこと僕は頼んでないぞ!」
「……そうだな。頼まれてはいないな」
「だったら、自由にさせてもらう」
そう言って、ドアから出ようとする武志。
「待て!」
「……手を放せ」
「駄目だ。まだ話は終わっていないからな」
「どうしてだよ。あんたには関係ないだろ」
「関係あるから助けたんだ」
「……関係あるだって?」
「ああ」
「今まで……」
ドアにかけていた手を離し、武志がこちらに向き直る。
その目には、さっきまでなかった強い光が。
「今まで……姉さんのことも僕のことも、気にもしていなかったくせに」
「……」
「それを今さら」
「……悪かった」
「謝罪なんか要らない!」
「……」
「今こんなことするなら、なぜ今まで無視してたんだ!」
無視していたわけじゃない。
ただ、異世界に夢中になるあまり……。
「すまない。全て自分勝手な都合だ」
「都合? 都合なんて誰にでもあるさ」
ああ。
都合なんて、ただの言い訳だな。
「姉さんのことを気にかける時間くらいあっただろ」
「……」
「姉さんがどんな気持ちだったか……。あんた、分かってるのか! 考えたことあるのか!」
「……すまなかった」
「謝罪なんか、今さらなんだよ! それに、謝る相手も違う!」
「……そう、だな」
「もういい! 放っといてくれ!」
「それはできない」
悪かったと思っている。
非は認める。
認めるが、武志のことを見過ごすつもりはない。
それとこれとは話が違うんだ。
「なんでだよ!」
「武志……。これまでのこと、本当に申し訳なかったと思っている。もちろん、幸奈に対してもそう思っている」
「……」
「今後は……今後はできるだけのことはするつもりだ。絶対に無視なんかしない」
「だから、今日僕を助けたのか?」
「ああ」
「けど、僕は助けてもらったとは思っていない」
分かってる。
「こんなこと望んでないんだよ!」
「……橘の下にいたかったのか?」
「……」
「いったい、何のためだったんだ?」
「話す必要はない」
「あいつらの思想に共感でもしたのか?」
「話すつもりはない」
「……」
武志はまだ高校生だ。
橘にとっては扱いやすい駒のひとつだったんだろう。
それに、壬生少年の揺魂の影響を受けている可能性だってある。
そんな武志を説得するには……。
「今回俺が手を出さなかったら、どうなっていたと思う?」
こんな話でも、するしかない。
「拘束され自由を奪われていただろうな。短期間じゃないぞ、下手をすれば何年もそのままだ」
「っ、何年も!」
「ああ、その可能性は高い」
「……」
「解放されるにしても、かなりの制限を受けるはずだ。さらに、家族にも累が及ぶかもしれない」
「家族は、姉さんは関係ないだろ! 僕だけの問題だ!」
「……関係の有無は能力開発研究所が判断する」
「っ!」
異能が原因で、幸奈に影響が及ぶなんて考えたくもないよな。
「くそっ!」
その気持ち、よく分かるぞ。
「だから、武志を連れ出した」
「……どういう意味だよ?」
武志は、まだこちらを信用しているわけじゃない。
それでも、話に耳を傾ける気にはなったようなので、俺の推測も加えいろいろと説明をしたところ。
「……」
今は助手席に座って当惑の表情を浮かべている。
「その話……本当なのか?」
「もちろんだ」
「僕の聞いていた話とは違う」
「橘からは耳当たりの良いことしか聞いていないだろうが、これが真実だ」
異能について、真実がどうこうと言い切れる知識なんて俺にはない。
ただ、今ここでは断言させてもらう。
「けど、異能者は研究所に迫害されているんじゃ?」
「研究所は迫害などしない。異能を悪用する輩を取り締まっているだけだ」
「異能を悪用?」
「ああ」
「そんなこと誰も!」
「武志が知らないだけだろ」
「……」
「そもそも、研究所に勝手に乗り込んで事務員たちを眠らせるなんてこと、普通じゃあり得ない。明らかに犯罪行為だ」
「……異能者を迫害する組織だから問題ないと言っていた」
「そんなわけない。それに事務員は普通人だぞ」
「……」
「橘と鷹郷さんのどちらが正しいのか。冷静に客観的に、今までの行動をよく考えてみるといい」
「客観的に……」
武志も馬鹿じゃない。
よく考えれば、分かってくれるはず。
そう信じたい。
「ひとつ聞かせてほしい」
しばらく考え込んでいた武志。
おもむろに顔を上げ、決然とした表情で問いかけてきた。
「何でも聞いてくれ」
「……できるだけの事をするって、本当か?」
「もちろんだ」
武志と幸奈のために、その気持ちに偽りはない。
「力を尽くすつもりでいる、武志と幸奈のためにな」
「……僕のことはいいけど」
「良くはない。武志のことはずっと心配してたんだぞ」
「なっ……」
僅かに俯き、しばらく躊躇う素振りを見せた後。
「姉さん……姉さんのこと」
「幸奈がどうした?」
「……姉さんのこと、どう思ってる?」
「……」
そっぽを向いたままの武志。
こちらの顔を見ようともしない。
「どうして、あいつらと一緒にいたんだ?」
「……」
「話せないのか」
「……あんたには関係ない、どうでもいいだろ」
「どうでも良かったら、助けたりはしない」
「そんなこと僕は頼んでないぞ!」
「……そうだな。頼まれてはいないな」
「だったら、自由にさせてもらう」
そう言って、ドアから出ようとする武志。
「待て!」
「……手を放せ」
「駄目だ。まだ話は終わっていないからな」
「どうしてだよ。あんたには関係ないだろ」
「関係あるから助けたんだ」
「……関係あるだって?」
「ああ」
「今まで……」
ドアにかけていた手を離し、武志がこちらに向き直る。
その目には、さっきまでなかった強い光が。
「今まで……姉さんのことも僕のことも、気にもしていなかったくせに」
「……」
「それを今さら」
「……悪かった」
「謝罪なんか要らない!」
「……」
「今こんなことするなら、なぜ今まで無視してたんだ!」
無視していたわけじゃない。
ただ、異世界に夢中になるあまり……。
「すまない。全て自分勝手な都合だ」
「都合? 都合なんて誰にでもあるさ」
ああ。
都合なんて、ただの言い訳だな。
「姉さんのことを気にかける時間くらいあっただろ」
「……」
「姉さんがどんな気持ちだったか……。あんた、分かってるのか! 考えたことあるのか!」
「……すまなかった」
「謝罪なんか、今さらなんだよ! それに、謝る相手も違う!」
「……そう、だな」
「もういい! 放っといてくれ!」
「それはできない」
悪かったと思っている。
非は認める。
認めるが、武志のことを見過ごすつもりはない。
それとこれとは話が違うんだ。
「なんでだよ!」
「武志……。これまでのこと、本当に申し訳なかったと思っている。もちろん、幸奈に対してもそう思っている」
「……」
「今後は……今後はできるだけのことはするつもりだ。絶対に無視なんかしない」
「だから、今日僕を助けたのか?」
「ああ」
「けど、僕は助けてもらったとは思っていない」
分かってる。
「こんなこと望んでないんだよ!」
「……橘の下にいたかったのか?」
「……」
「いったい、何のためだったんだ?」
「話す必要はない」
「あいつらの思想に共感でもしたのか?」
「話すつもりはない」
「……」
武志はまだ高校生だ。
橘にとっては扱いやすい駒のひとつだったんだろう。
それに、壬生少年の揺魂の影響を受けている可能性だってある。
そんな武志を説得するには……。
「今回俺が手を出さなかったら、どうなっていたと思う?」
こんな話でも、するしかない。
「拘束され自由を奪われていただろうな。短期間じゃないぞ、下手をすれば何年もそのままだ」
「っ、何年も!」
「ああ、その可能性は高い」
「……」
「解放されるにしても、かなりの制限を受けるはずだ。さらに、家族にも累が及ぶかもしれない」
「家族は、姉さんは関係ないだろ! 僕だけの問題だ!」
「……関係の有無は能力開発研究所が判断する」
「っ!」
異能が原因で、幸奈に影響が及ぶなんて考えたくもないよな。
「くそっ!」
その気持ち、よく分かるぞ。
「だから、武志を連れ出した」
「……どういう意味だよ?」
武志は、まだこちらを信用しているわけじゃない。
それでも、話に耳を傾ける気にはなったようなので、俺の推測も加えいろいろと説明をしたところ。
「……」
今は助手席に座って当惑の表情を浮かべている。
「その話……本当なのか?」
「もちろんだ」
「僕の聞いていた話とは違う」
「橘からは耳当たりの良いことしか聞いていないだろうが、これが真実だ」
異能について、真実がどうこうと言い切れる知識なんて俺にはない。
ただ、今ここでは断言させてもらう。
「けど、異能者は研究所に迫害されているんじゃ?」
「研究所は迫害などしない。異能を悪用する輩を取り締まっているだけだ」
「異能を悪用?」
「ああ」
「そんなこと誰も!」
「武志が知らないだけだろ」
「……」
「そもそも、研究所に勝手に乗り込んで事務員たちを眠らせるなんてこと、普通じゃあり得ない。明らかに犯罪行為だ」
「……異能者を迫害する組織だから問題ないと言っていた」
「そんなわけない。それに事務員は普通人だぞ」
「……」
「橘と鷹郷さんのどちらが正しいのか。冷静に客観的に、今までの行動をよく考えてみるといい」
「客観的に……」
武志も馬鹿じゃない。
よく考えれば、分かってくれるはず。
そう信じたい。
「ひとつ聞かせてほしい」
しばらく考え込んでいた武志。
おもむろに顔を上げ、決然とした表情で問いかけてきた。
「何でも聞いてくれ」
「……できるだけの事をするって、本当か?」
「もちろんだ」
武志と幸奈のために、その気持ちに偽りはない。
「力を尽くすつもりでいる、武志と幸奈のためにな」
「……僕のことはいいけど」
「良くはない。武志のことはずっと心配してたんだぞ」
「なっ……」
僅かに俯き、しばらく躊躇う素振りを見せた後。
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