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第8章 南部動乱編
昏睡?
「セレス様」
「セレスさん」
「……」
アルとヴァーンが声をかけるが、返事は戻ってこない。
寝台の上で眼を閉じたまま、身動ぎひとつしない幸奈。
その傍らには、ディアナとユーフィリアが控えている。
「ディアナさん、セレス様の様子に変化は?」
「……さっきと同じだ」
当然のことながら、室内の空気は重い。
「セレス様……。起きてください、セレス様」
もちろん、シアの声にも反応は見られない。
「……」
心配そうに見つめるシア、ディアナ、ユーフィリア。
「やっぱり、あの時と同じに見えるぞ」
「だったら、またこのまま数日?」
「前回と全く同じならな」
「同じわけがない。今回は力を使われていないのだから」
「……」
「……」
「……」
おそらく、辺境伯救出後の昏睡状態は神娘力の過剰行使と魂替の影響によるものだったのだろう。
では、今回は?
軽く調べたところ、毒や呪いとは思えないが……。
「先生?」
意識が戻らない原因は不明。
治療法も分からない。
それでも、息があるなら何とかなる。
命さえ無事ならやり様はある。
「セレス様は大丈夫ですよね?」
「ああ」
「そうだぜシア。結局前回も平気だったし、今回はコーキもついてんだからよ」
「……うん」
「コーキ殿、何か手があるのだろうか?」
ディアナが強い眼差しで、こちらを見上げてくる。
ユーフィリアとシアも、アルにヴァーンまで。
「治癒魔法がいいんじゃねえか?」
「そうだ、コーキさんの魔法なら効果あるはずだって」
「……試してみよう」
まずは治癒魔法。その後は魔法薬か。
「先生、お願いします」
皆にはセレス様から少し離れてもらい、ひとり寝台横に腰掛ける。
収納から魔法薬を取り出し、魔力と気を整え……治療の準備は完了。
治療開始、のその前に。
「一応確認しておきたいのだが、昨夜俺たちがこの部屋を出た後、何か変わったことはなかったか? 些細なこともでいいから、気になることがあったら教えてほしい」
「わたしは……何もないです」
「私もないな」
シアもディアナも不審に思う所はないのか。
「ユーフィリアは?」
「……明け方に外で物音がしたような気がする。セレス様の状態に関係ないかもしれないし、聞き間違いの可能性もあるけれど」
その時間に感知にかかる不審者はいなかったが……。
「酒を飲んだ後だしよ、酔っぱらったやつが外を歩いてたんじゃねえか」
確かに、外を歩く者は数人感知している。
ただ、彼らにあやしいところは感じられなかった。
「私もそう思う。ただ、気付いたことといえばそれくらいだから」
「……」
襲撃がなかったことは動かしようのない事実。
あやしい気配の者が近づいてこなかったこともほぼ間違いない。
なら、ユーフィリアが聞いた物音を気にする必要も……。
「とりあえず治療しようぜ、コーキ」
「……そうだな」
今は色々と考えるより、幸奈の覚醒を優先した方がいいだろう。
「治療を開始する」
魔法発動と同時に寝台の上に光が溢れ出す。
今回は負傷部位の治療じゃない。
なので、まずは全身に余すところなく治癒の光を行き届かせ。
光の束で織り込むように幸奈を包んでやる。
「「「「「……」」」」」
固唾をのんで見守る5人の前で、ゆっくり治療を進めていく。
「「「「「……」」」」」
この世界に戻ってきた当初は全く自信を持てなかった治癒魔法。
ただ、それから今日まで俺は様々な経験を積んできた。
エンノアの民の病を癒し、魔落で何度も治療を行い、その後も数えきれない程治癒魔法を行使し続けてきた。結果、それなりのモノになったという思いもある。
だから今は、自信を、自負を持って治療を進めるだけだ。
「「「「「……」」」」」
治癒の光で包み込んだ幸奈を安定した状態に保ち、慎重に気を体内に送り込む。
幸奈の内部に停滞があれば、俺の気を通すことで確認できるはず。
「……」
ここじゃない。
そこでもない。
「……」
どの臓器にも問題は見られない。
だったら……。
ん?
妙な感触だが……。
やっぱり、そうだ。
この部分が普通じゃないな。
「セレスさん」
「……」
アルとヴァーンが声をかけるが、返事は戻ってこない。
寝台の上で眼を閉じたまま、身動ぎひとつしない幸奈。
その傍らには、ディアナとユーフィリアが控えている。
「ディアナさん、セレス様の様子に変化は?」
「……さっきと同じだ」
当然のことながら、室内の空気は重い。
「セレス様……。起きてください、セレス様」
もちろん、シアの声にも反応は見られない。
「……」
心配そうに見つめるシア、ディアナ、ユーフィリア。
「やっぱり、あの時と同じに見えるぞ」
「だったら、またこのまま数日?」
「前回と全く同じならな」
「同じわけがない。今回は力を使われていないのだから」
「……」
「……」
「……」
おそらく、辺境伯救出後の昏睡状態は神娘力の過剰行使と魂替の影響によるものだったのだろう。
では、今回は?
軽く調べたところ、毒や呪いとは思えないが……。
「先生?」
意識が戻らない原因は不明。
治療法も分からない。
それでも、息があるなら何とかなる。
命さえ無事ならやり様はある。
「セレス様は大丈夫ですよね?」
「ああ」
「そうだぜシア。結局前回も平気だったし、今回はコーキもついてんだからよ」
「……うん」
「コーキ殿、何か手があるのだろうか?」
ディアナが強い眼差しで、こちらを見上げてくる。
ユーフィリアとシアも、アルにヴァーンまで。
「治癒魔法がいいんじゃねえか?」
「そうだ、コーキさんの魔法なら効果あるはずだって」
「……試してみよう」
まずは治癒魔法。その後は魔法薬か。
「先生、お願いします」
皆にはセレス様から少し離れてもらい、ひとり寝台横に腰掛ける。
収納から魔法薬を取り出し、魔力と気を整え……治療の準備は完了。
治療開始、のその前に。
「一応確認しておきたいのだが、昨夜俺たちがこの部屋を出た後、何か変わったことはなかったか? 些細なこともでいいから、気になることがあったら教えてほしい」
「わたしは……何もないです」
「私もないな」
シアもディアナも不審に思う所はないのか。
「ユーフィリアは?」
「……明け方に外で物音がしたような気がする。セレス様の状態に関係ないかもしれないし、聞き間違いの可能性もあるけれど」
その時間に感知にかかる不審者はいなかったが……。
「酒を飲んだ後だしよ、酔っぱらったやつが外を歩いてたんじゃねえか」
確かに、外を歩く者は数人感知している。
ただ、彼らにあやしいところは感じられなかった。
「私もそう思う。ただ、気付いたことといえばそれくらいだから」
「……」
襲撃がなかったことは動かしようのない事実。
あやしい気配の者が近づいてこなかったこともほぼ間違いない。
なら、ユーフィリアが聞いた物音を気にする必要も……。
「とりあえず治療しようぜ、コーキ」
「……そうだな」
今は色々と考えるより、幸奈の覚醒を優先した方がいいだろう。
「治療を開始する」
魔法発動と同時に寝台の上に光が溢れ出す。
今回は負傷部位の治療じゃない。
なので、まずは全身に余すところなく治癒の光を行き届かせ。
光の束で織り込むように幸奈を包んでやる。
「「「「「……」」」」」
固唾をのんで見守る5人の前で、ゆっくり治療を進めていく。
「「「「「……」」」」」
この世界に戻ってきた当初は全く自信を持てなかった治癒魔法。
ただ、それから今日まで俺は様々な経験を積んできた。
エンノアの民の病を癒し、魔落で何度も治療を行い、その後も数えきれない程治癒魔法を行使し続けてきた。結果、それなりのモノになったという思いもある。
だから今は、自信を、自負を持って治療を進めるだけだ。
「「「「「……」」」」」
治癒の光で包み込んだ幸奈を安定した状態に保ち、慎重に気を体内に送り込む。
幸奈の内部に停滞があれば、俺の気を通すことで確認できるはず。
「……」
ここじゃない。
そこでもない。
「……」
どの臓器にも問題は見られない。
だったら……。
ん?
妙な感触だが……。
やっぱり、そうだ。
この部分が普通じゃないな。
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