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第10章 位相編
研究所の夜 1
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「楓季ちゃん、大志君!」
「えっ、ちょっと」
「やったね!」
里村少年は古野白さんの反応などお構いなし。
この点では武上に似ているかもしれない。
「おうよ、完膚なきまでに消し去ってやったぜ」
「あの大異形の滅失に成功するなんて、ほんと凄いよ!」
「だろ、凄えだろ! オレ様の力、見直したか?」
「うん。今は大志君の言葉が耳に障らないんだから、間違いないね」
「ん? それ、褒めてんのか?」
「もちろん」
「……」
「功己さん!」
里村少年に続くのは幸奈。
「今回も素晴らしかったです! でも、怪我なんかは?」
「ああ、問題ない。そっちはどうだ?」
「かなり離れていたので、わたしは大丈夫ですよ」
「そうか……」
色々と気になる点は残っているが、異形は消え皆は無事。幸奈にも問題はない。
なら、今はこれからのことを考えるべきだな。
まずはそう。
鷹郷さんと話し合う必要がある。
が、それはこの場じゃない。研究所に戻ってからだろう。
「里村、事後処理の時間だ。無駄話はほどほどにして記憶消去を頼む」
「了解です」
「鷹郷さん、私は?」
「古野白は休んで快復を優先するように」
「ですが?」
「復旧は4人いれば足りる。それに……到着したようだぞ」
「あっ、援軍を呼んでたんですね?」
「邪狼狗との戦いには間に合わなかったがな」
鷹郷さんの言葉通り、3つの人影がこちらに近づいて来る。
「……」
なるほど、なかなかの気配だ。
この3人が鷹郷さんたちに加わっていれば、もう少し楽に邪狼狗を倒せたかもしれないな。
「功己さん、明日は?」
「和見家には俺も一緒に行く。だから、今夜はゆっくり眠ってくれ」
「でも……」
「何も心配はいらない」
「……」
「安心してくれればいい」
「……はい」
そう返事をした幸奈は、口を閉ざし俯いてしまった。
「……」
「……」
邪狼狗討伐後の夜。能力開発研究所の入ったビルの上階。
来賓用客室を一部屋ずつ与えられた俺たちは、各自の部屋で一晩を過ごすことになったのだが……。
明日と今後の件についての話を終えた後も、幸奈は俺の部屋に残ったまま。
椅子に座り俯いている彼女に自室に戻る様子は見えない。
「……」
「……」
数時間前のこと。邪狼狗騒動の直後に研究所に戻った俺と鷹郷さんの2人の間で始まった会談。難しいものになるだろうと考えていたが、その予想に反して結果はこちらの想定以上だった。特に揉めることもなく会談は成功の裡に終了したんだ。しかも、希望がほぼ叶った状態で。
あまりにも上手く事が進むので、今夜か明朝にでも記憶を消されるのではと心配になってしまうな。
まあ、そんなことはないだろうけれど……。
「えっ、ちょっと」
「やったね!」
里村少年は古野白さんの反応などお構いなし。
この点では武上に似ているかもしれない。
「おうよ、完膚なきまでに消し去ってやったぜ」
「あの大異形の滅失に成功するなんて、ほんと凄いよ!」
「だろ、凄えだろ! オレ様の力、見直したか?」
「うん。今は大志君の言葉が耳に障らないんだから、間違いないね」
「ん? それ、褒めてんのか?」
「もちろん」
「……」
「功己さん!」
里村少年に続くのは幸奈。
「今回も素晴らしかったです! でも、怪我なんかは?」
「ああ、問題ない。そっちはどうだ?」
「かなり離れていたので、わたしは大丈夫ですよ」
「そうか……」
色々と気になる点は残っているが、異形は消え皆は無事。幸奈にも問題はない。
なら、今はこれからのことを考えるべきだな。
まずはそう。
鷹郷さんと話し合う必要がある。
が、それはこの場じゃない。研究所に戻ってからだろう。
「里村、事後処理の時間だ。無駄話はほどほどにして記憶消去を頼む」
「了解です」
「鷹郷さん、私は?」
「古野白は休んで快復を優先するように」
「ですが?」
「復旧は4人いれば足りる。それに……到着したようだぞ」
「あっ、援軍を呼んでたんですね?」
「邪狼狗との戦いには間に合わなかったがな」
鷹郷さんの言葉通り、3つの人影がこちらに近づいて来る。
「……」
なるほど、なかなかの気配だ。
この3人が鷹郷さんたちに加わっていれば、もう少し楽に邪狼狗を倒せたかもしれないな。
「功己さん、明日は?」
「和見家には俺も一緒に行く。だから、今夜はゆっくり眠ってくれ」
「でも……」
「何も心配はいらない」
「……」
「安心してくれればいい」
「……はい」
そう返事をした幸奈は、口を閉ざし俯いてしまった。
「……」
「……」
邪狼狗討伐後の夜。能力開発研究所の入ったビルの上階。
来賓用客室を一部屋ずつ与えられた俺たちは、各自の部屋で一晩を過ごすことになったのだが……。
明日と今後の件についての話を終えた後も、幸奈は俺の部屋に残ったまま。
椅子に座り俯いている彼女に自室に戻る様子は見えない。
「……」
「……」
数時間前のこと。邪狼狗騒動の直後に研究所に戻った俺と鷹郷さんの2人の間で始まった会談。難しいものになるだろうと考えていたが、その予想に反して結果はこちらの想定以上だった。特に揉めることもなく会談は成功の裡に終了したんだ。しかも、希望がほぼ叶った状態で。
あまりにも上手く事が進むので、今夜か明朝にでも記憶を消されるのではと心配になってしまうな。
まあ、そんなことはないだろうけれど……。
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