1,024 / 1,578
第10章 位相編
オルドウ 2
しおりを挟む
情報収集のため素材買い取りカウンターに足を運ぶと、そにには顔なじみの受付嬢エリスさんの姿が。
「こんなに早くから買い取りですか……えっ、コーキさん!?」
「ご無沙汰しております」
「あっ、はい」
驚きの表情で固まるエリスさんだが、直後にはきっちりと営業スマイルを返してくれる。
「お久しぶりです。その、ダブルヘッド討伐以来ですよね?」
「ええ」
「白都に行かれていたとか?」
「まあ……」
「御不在があまりにも長かったので、もう戻られないのかと思ってたんですよ」
ウィルさんの護衛でキュベルリアに向かった後、すぐにオルドウに戻るつもりだったのが、黒都、エビルズピーク、ローンドルヌ河、トゥレイズ城塞、テポレン山と随分長い旅路になってしまったからな。そう思われても仕方ないか。
「ですが、こうしてオルドウに戻って来ていただき、ギルドとしては本当に心強いです。もちろん私もですけど、特にギルド長なんかはもう」
「……」
「毎日のようにコーキさんを探していましたから」
ダブルヘッドの件からかなり時間が経過しているのに、まだそんな状態なのか?
これは……まずい所に来てしまったかもしれない。
「では、ギルド長室に案内しますね」
いや、いや。
「ちょっと待ってください」
「はい? あっ、買い取りですか?」
「素材買取りもまたお願いしたいのですが、今は少し話を聞かせてもらいたいなと」
「話を……分かりました、他ならぬコーキ冒険者ですからね、何でも聞いてください」
「……ありがとうございます」
ということで色々と話を聞いたところ。エリスさんの口にする内容におかしな点、不可解な点は一つとして見られなかった。
なら、もう断定してもいいだろう。
ここは5年前でもなければ、位相の世界でもない。俺が活動する異世界。昨日まで過ごしていたオルドウの街だ。
「コーキさん、こちらからも少し」
「……何でしょう?」
「後ほどギルド長からも話が出ると思いますけど」
悪いが、今日はギルド長に会うつもりはないぞ。
「近い内に領主館を訪れてはいただけないでしょうか?」
それについては今日も今後も勘弁してもらいたい。
「ダブルヘッド討伐の褒賞など長らく保留されていることもありますし、領主様にも色々とお考えがあるようですので」
「……」
「コーキさん?」
「……分かりました。今は多忙のため無理ですが、時間ができたら考えたいと思います。では、私はこれで」
「えっ? えっ!?」
「あとのことはお任せします」
エリスさんには申し訳ないけど、 これ以上はもう無理だ。
「ちょっと、コーキさん! ギルマスとの会談は?」
「そちらも、よろしくお願いします」
必ずお礼はしますから。
「コーキさん、そんな……」
エリスさんの悲痛な呟きに後ろ髪を引かれながらも、振り返らず外へ。
あっという間に朝の喧騒の中に踏み出してしまった。
さてと、これからどうする?
オルドウの街には特に用もないよな?
エンノアにいるセレス様の様子を確認……する必要もないか。
昨日の今日で状況が変わることもないだろうからな。
そうすると……。
やはり、魔落か。
「こんなに早くから買い取りですか……えっ、コーキさん!?」
「ご無沙汰しております」
「あっ、はい」
驚きの表情で固まるエリスさんだが、直後にはきっちりと営業スマイルを返してくれる。
「お久しぶりです。その、ダブルヘッド討伐以来ですよね?」
「ええ」
「白都に行かれていたとか?」
「まあ……」
「御不在があまりにも長かったので、もう戻られないのかと思ってたんですよ」
ウィルさんの護衛でキュベルリアに向かった後、すぐにオルドウに戻るつもりだったのが、黒都、エビルズピーク、ローンドルヌ河、トゥレイズ城塞、テポレン山と随分長い旅路になってしまったからな。そう思われても仕方ないか。
「ですが、こうしてオルドウに戻って来ていただき、ギルドとしては本当に心強いです。もちろん私もですけど、特にギルド長なんかはもう」
「……」
「毎日のようにコーキさんを探していましたから」
ダブルヘッドの件からかなり時間が経過しているのに、まだそんな状態なのか?
これは……まずい所に来てしまったかもしれない。
「では、ギルド長室に案内しますね」
いや、いや。
「ちょっと待ってください」
「はい? あっ、買い取りですか?」
「素材買取りもまたお願いしたいのですが、今は少し話を聞かせてもらいたいなと」
「話を……分かりました、他ならぬコーキ冒険者ですからね、何でも聞いてください」
「……ありがとうございます」
ということで色々と話を聞いたところ。エリスさんの口にする内容におかしな点、不可解な点は一つとして見られなかった。
なら、もう断定してもいいだろう。
ここは5年前でもなければ、位相の世界でもない。俺が活動する異世界。昨日まで過ごしていたオルドウの街だ。
「コーキさん、こちらからも少し」
「……何でしょう?」
「後ほどギルド長からも話が出ると思いますけど」
悪いが、今日はギルド長に会うつもりはないぞ。
「近い内に領主館を訪れてはいただけないでしょうか?」
それについては今日も今後も勘弁してもらいたい。
「ダブルヘッド討伐の褒賞など長らく保留されていることもありますし、領主様にも色々とお考えがあるようですので」
「……」
「コーキさん?」
「……分かりました。今は多忙のため無理ですが、時間ができたら考えたいと思います。では、私はこれで」
「えっ? えっ!?」
「あとのことはお任せします」
エリスさんには申し訳ないけど、 これ以上はもう無理だ。
「ちょっと、コーキさん! ギルマスとの会談は?」
「そちらも、よろしくお願いします」
必ずお礼はしますから。
「コーキさん、そんな……」
エリスさんの悲痛な呟きに後ろ髪を引かれながらも、振り返らず外へ。
あっという間に朝の喧騒の中に踏み出してしまった。
さてと、これからどうする?
オルドウの街には特に用もないよな?
エンノアにいるセレス様の様子を確認……する必要もないか。
昨日の今日で状況が変わることもないだろうからな。
そうすると……。
やはり、魔落か。
34
あなたにおすすめの小説
薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜
鮒捌ケコラ
ファンタジー
入学式から3週間目にして『退学」を言い渡された。
(早くない?RTAじゃないんだからさ。)
自分で言うのもアレだけど、入学してからは結構真面目に通ってた。
けど、どうやら教員の不況を買ってしまったらしい。
幸か不幸か、退学まで1週間の執行猶予が与えられた。
けど、今更どう足掻いても挽回する事は不可能だろうし、
そもそも挽回する気も起こらない。
ここまでの学園生活を振り返っても
『この学園に執着出来る程の魅力』
というものが思い当たらないからだ。
寧ろ散々な事ばかりだったな、今日まで。
それに、これ以上無理に通い続けて
貴族とのしがらみシミッシミの薬師になるより
故郷に帰って自由気ままな森番に復職した方が
ずっと実りある人生になるだろう。
私を送り出した公爵様も領主様も、
アイツだってきっとわかってくれる筈だ。
よし。決まりだな。
それじゃあ、退学するまでは休まず毎日通い続けるとして……
大人しくする理由も無くなったし、
これからは自由気ままに、我儘に、好き勝手に過ごす事にしよう。
せっかくだし、教員達からのヘイトをカンストさせるのも面白そうだ。
てな訳で………
薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。
…そう息巻いて迎えた執行猶予満了日、
掲示板に張り出された正式な退学勧告文を
確認しに行ったんだけど……
どういう事なの?これ。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
【収納】スキルでダンジョン無双 ~地味スキルと馬鹿にされた窓際サラリーマン、実はアイテム無限収納&即時出し入れ可能で最強探索者になる~
夏見ナイ
ファンタジー
佐藤健太、32歳。会社ではリストラ寸前の窓際サラリーマン。彼は人生逆転を賭け『探索者』になるも、与えられたのは戦闘に役立たない地味スキル【無限収納】だった。
「倉庫番がお似合いだ」と馬鹿にされ、初ダンジョンでは荷物持ちとして追放される始末。
だが彼は気づいてしまう。このスキルが、思考一つでアイテムや武器を無限に取り出し、敵の魔法すら『収納』できる規格外のチート能力であることに!
サラリーマン時代の知恵と誰も思いつかない応用力で、地味スキルは最強スキルへと変貌する。訳ありの美少女剣士や仲間と共に、不遇だった男の痛快な成り上がり無双が今、始まる!
神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~
あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。
それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。
彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。
シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。
それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。
すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。
〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟
そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。
同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。
※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。
ガチャから始まる錬金ライフ
盾乃あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。
手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。
他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。
どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。
自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる