30年待たされた異世界転移

明之 想

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第11章 陰謀編

石牢 7

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 しかし、今回は大変だった。

 脱出方法の模索に時間をかけるのは当然で、ここまでの苦労もやむを得ないことだとは十分理解している。が、それでも、今回は本当に。いや、まだ終わってないから、大変な最中か……。

 とはいえ、悪いことばかりじゃない。
 この2日間、石牢の中では十分に時間があった。
 その時間があれば、ギリオンの話も詳しく聞けるというもの。

 というわけで、なぜか話を渋るギリオンから色々と聞き出したところ。
 意外な事実を知ることができたんだ。
 中でも驚きだったのが。

 ギリオンがエリシティア様の屋敷に滞在中で、幻影ヴァルターから剣の指導を受けているという事実。そして、ウィルさんもエリシティア様の屋敷で暮らしているという事実だ。

「……」

 今回の王都行の目的は3つ。

 まずはシアの視力回復。
 次に剣姫イリサヴィアさんの案内でオズとリーナのもとを訪れること。
 3つ目がウィルさんの消息調査。
 なんと、これがギリオンの口から判明したのだから感謝しかない。

 王都滞在日数をそれなりに残した現状で、1つの目的を消化できたのは本当に大きいことだ。これで俺に残された目的は2つだけ。いまだ石牢内にいるとはいえ、少しは余裕を持つこともできる。

 助かったぞ、ギリオン。




「コーキ?」

「……」

「今度こそか?」

 ちょっと待て。
 今は手が離せないんだ……が……よし!

「もうすぐなんだよな?」

 業を煮やした表情を隠せないギリオン。
 けど、安心してくれ。

「あと四半刻もかからないと思うぞ」

「おお!」

「待たせて悪かったな」

「んなことで謝んなって。そもそも、コーキがいねえと脱出なんてできねえんだぞ。それによ、こうなっちまったのはオレのせいだし」

 まあ、な。

「しっかし、おめえがそんだけ苦労するたぁ、とんでもねえぜ」

「ああ」

 想像以上に厄介な石牢だったよ。
 おかげで、入牢後60時間も経ってしまった。

「んで、その剣で鉄格子を斬んのか?」

「そうするつもりだ」

「まさか、失敗しねえよな?」

「次は、剣と鉄格子の接触時に魔力が消えたりはしない。問題なく断ち斬れるはずだ」

 あと少し調整したら万全。
 魔力消失を克服できる。

 ただ……。

 60時間勾留され、3日目の朝を迎えてもなお迷ってしまう。
 本当に脱獄してもいいものなのか?

「コーキがそう言うなら間違いねえ」

「……」

「一安心だぜ」

「ギリオン……方法は気にならないのか?」

「ん? 魔力の話だろ? んなの聞いて、オレが理解できっかよ」

「……」

「時間の無駄だし、説明するおめえの労力ももったいねえわ」

 ほんと、おまえの潔さは変わらないな。
 おかげで、気が楽になってくる。

 ただな、ギリオン。
 今回は単純な話なんだぞ。


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