30年待たされた異世界転移

明之 想

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第11章 陰謀編

創造?

「よし、行くぞ」

「ええ」

 とりあえず、この階を探ろうということで足を進める剣姫。その歩様に躊躇はない。こちらは感知しながら剣姫についていく。

 まずは隣室。
 さらに隣へと慎重に調査を進めるが……。



「何もないか」

「ええ」

 分かっていたことだが、ギリオンの気配どころか何の手掛かりも見つけられなかった。

「これ以上3階にいる意味はないな」

「はい、階下を調べましょう」

 階下に降りるには中央の階段まで戻る必要がある。そこまでがまた結構な距離なのだ。

「……」

 ほんと、このレンヌ屋敷は大層なものだよ。地上3階の造りだけでもかなりの規模なのに、地階には堅固な石牢が複数設置され、迷路空間を作り出す魔道具に魔法発動阻害の仕掛けまで施されているのだから。ひょっとして貴族の邸宅より上なんじゃ?

「何か気になるのか、アリマ?」

「……レンヌ家について考えてました」

「ほう?」

「いったい、どういう家門なのでしょう?」

「王命を受けて様々な仕事をこなす、風根衆の中の一家門だな」

 それについては、もう知っている。

「ただひとつ、他の風根家門と異なるのは、レンヌが魔道具に精通しているという点だ」

 なるほど。

「では、宝具についても?」

「うむ。数多く所持しているはずだ」

 そうだよな。
 じゃないと、オルセーが複数の宝具を持っている説明がつかない。

「それどころか……高度な魔道具を、いや、宝具に近いものさえ創り出しているという噂まである」

「宝具を、ですか?」

「あくまで噂に過ぎぬのだがな」

「……」

 俺は宝具について詳しいわけじゃない。
 それでも、宝具の創造がとんでもないってことだけは理解できる。

「まっ、話半分に聞いておいてくれ」

「……分かりました」

 と頷いたものの、単なる噂話とも思えない。
 これまでの経験からそう感じてしまう。

「さて、今はレンヌ家の風聞よりもだ」

 軽く口角を上げた剣姫の足が止まる。
 前方に階段が見えてきたからだろう。

「階下の様子はどうなってる?」

 今の俺はバシモスを背負い剣姫と会話しているが、感知は切らしていない。なので、すぐに返答もできる。

「少なくはないですね」

 ほとんど人の気配がなかった3階とは違い、2階ではかなりの数の家人が動いているようだ。

「屋敷の者を避けるのも難しくなる、か」

 そう。
 分かっていたことだが、ここからが難しい。

「遭遇した場合は、私の話に合わせてくれよ」

「ええ」

 話を合わせることは問題ない。
 問題なのは。

「オルセーを渡してください」

 その姿を目撃されることだろ。
 なので、ここは少々強く。

「2階からは私が担ぎます!」

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