30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

捨てる

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<ギリオン視点>



「まあ……」

「どうした、歯切れが悪いではないか?」

「……」

「今のような状況下で隠し事はよしてくれ。特に憂事があるのならな」

 こんなこと口にしたくはねえが、聞いてんのは姫さん1人。
 姫さんだけ。
 だったら……。

「ギリオン?」

「ただの憶測で、その可能性も僅かなもんだぞ」

「うむ」

 オレの目を見て力強く頷きかけてくる。

「教えてほしい」

 ……分かったよ。

「鱗のことだ」

 姫さん相手でも、正直言葉にしたくねえ。
 考えたくもねえ。
 それでも、可能性があんなら。

「鱗化が悪化した場合、極限の状況まで進行した場合」

「……」

「昨日以上に身動きできなくなる可能性がある。手足すら動かせねえかもだ。だから、そこまでいっちまったら……捨ててくれ」

「なっ!?」

「オレには構わず、皆で先に進んでくれ」

「何を言ってる! ギリオンを見捨てるわけないだろ」

「姫さん」

「当然治療するだけだ。問題などない」

「そう言ってくれんのはありがてえ。ありがてえが、そいつは余裕がある時だけにしてほしい」

「……」

「姫さんには輝かしい未来がある。それをオレが邪魔するわけにゃあいかねえんだよ」

「恩人のおまえ相手に邪魔など」

「恩があんのはこっちも同じ」

「……」

「同じなんだよ。だからな、分かってくれ」

「それでも!」

「姫さんは忘れちゃいけねえ。目的を、すべきことを。絶対にだ」

 あんたはオレたちとは違う。
 捨てちゃいけねえものがある。

「約束してくれ、最悪の状況下では切り捨てると」

「……」

「心配すんな、オレは1人でも何とかすっから」

「動けぬのにか?」

「ん?」

「動かぬ体では対処などできぬ」

 そりゃ、そうだが。

「……動けっだろ、少しは、多分?」

「ギリオン!」

「いや、まあ、あれだあれ。そこまでの事態にはまずなんねえって」

「……」

「だから頼む、約束だ、なっ、姫さん?」




***********************




「フレイム」

 精進などとふざけながら口にしたのは火の魔法。
 開戦当初に手こずった白炎だ。

「近接戦なのでは?」

「おぬしが近寄れば良かろう」

 言ってくれるじゃないか。

「早く剣を打ちに来い。フレイム」

「っ!」

 2つの白炎の中を簡単に動けるわけないだろ。
 今はまず。

「ストーンウォール!」

 防御するのみ。

「どうした、来ぬのか?」

「ストーンウォール! ストーンウォール!」

 攻撃は白炎を防いでからだ。

 ゴオォォォ!
 ゴオォォォ!

「ふむ、これでは焼き直しにすぎぬ。精進とは言えぬな」



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