30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

鉄壁

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「何よりそれはもう見飽きた。よし、趣向を変えるか」

 2つの白炎を石壁で防ぐ俺の姿を眺めながら少女が不気味なことを呟いている。

「さて、どうしてくれよう?」

 おそらくは、さらなる魔法なんだろう。
 なら、石壁追加をと考えたところに。

「喰らえ!」

 空気を切り裂くような鋭い声が左から上がった。
 シャリエルンだ。

「アイスランス!」

 魔法発動と同時に地を蹴り、剣を片手に疾走する。

「……」

 向かう先の少女は次魔法の準備中。俺にかかりきりでシャリエルンには目を向けていない。まったくの無視状態だ。

 これは、氷槍も剣も届く?
 だったら!

「ストーンボール! ストーンボール!」

 石壁発動をキャンセルし石球に変換、最速で発射。
 少女の意識を俺に留め続けてやる。

 が……。

 バリィィィン!

 狙い通り少女はこちらを向いたまま、氷槍は放置と見えたのに?
 一歩手前で崩壊してしまった。

 それでもだ。
 次がある。
 俺の石球と、そして。

「たぁぁ!」

 シャリエルン渾身の剣撃。

 ガン!
 ガン!

 ガギン!

 これも届かないのか。

「悪くない連係だ」

「っ! 黙れ!」

 ガッ!
 ギンッ!
 キンッ!

 続いて放たれるシャリエルンの剣。
 キレのある連撃なのに、涼しい顔で防がれてしまう。

「くっ!」

 固い。
 守りが固すぎる。
 尋常の攻撃が通る想像ができない。

 けれど、不意打ちなら。
 連続攻撃後の無詠唱、無形のウインドアローなら。

 既に発動済みの風の矢が、今まさに少女の胸に届く。

 バァァァン!

 破裂?
 当たったのか?




***********************

<エリシティア視点>



「エリシティア様、複数の気配です」

「また、か」

 下山を開始して半刻。
 半刻しか経っていないのに、これでもう3度目だ。

「感知に問題は?」

「いまだ十全ではありませんが、支障ない程度には使えております」

「ふむ」

 早朝は魔物の活動時間外。
 ならば、ある程度楽に下れるはず。
 この算段が既に崩れているではないか。
 厄介なことだな。

 ただ、それでも、感知が可能になったため大過なく対処できてはいる。

「リリニュス、接敵までの時間は?」

「八半刻後を想定しております」

「かなり離れておるのか?」

「距離もありますし、この山ですので」

 ふむ、簡単には進めぬと。

「して、どのような相手だ?」

「大物ではないと思われます。この距離ですので断定はできませんが」

「なるほど、御しやすい魔物が複数か」

 ならば、手を焼くこともないだろう。

「はい……えっ!? これは?」


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