1,391 / 1,565
第12章 激闘編
敵
しおりを挟む
<エリシティア視点>
「っ! これは……魔物じゃない??」
リリニュスの声が上ずってる?
通常ならあり得ない、この感知は?
「どういうことだ?」
「人です!」
何!?
「複数の人がそこに!」
「人……?」
「はい、近づく気配は人である可能性が高いです」
「我ら以外の人が足を踏み入れている……ということは?」
人里が近い?
ならば、やはりここは異界ではなく顕界だと?
「「「「「おお!!」」」」」
「「「「「人だ!!」」」」」
「「「「「人がいるぞ!!」」」」」
「やっぱり異界じゃなかったんだ!」
周りから上がるのは喜色に溢れた歓声。
満面の笑みを浮かべる者もいる。
「「「「「「ああ!」」」」」」
「「「「「「よかったぁ」」」」」」
「みんな……」
ここは現実世界、その可能性が高いと何度も言葉を重ねてきたものの、心の中には疑心が根強く残っていたのだろう。それも当然だ。異界に囚われて以降、魔物以外を目にすることなどなかったのだから。
もちろん私も。
私の思いも皆と変わりはない。
「リリニュス殿、アイスタージウス軍の可能性はありませぬか?」
皆が興奮し歓喜に湧く中、ウォーライルが発した一言が場を凍らせる。
「まさか、追って来たのか?」
「いや、我らを特定できるわけないだろ?」
その通り、常識的にはあり得ない。
が、偶然ということも考えられる。
「リリニュス、どうなのだ?」
「申し訳ありません、対象の詳細までは……。ただ、数は30前後を感知しております」
「ふむ、30か」
アイスタージウス軍がそのような少数で我らを追うとは思えない。
仮に彼の軍であったとしても30程度なら容易に対処できるはず。
とはいえ、態勢だけは整えておくべきか。
「ウォーライル、念のため陣を敷くように」
「はっ!」
「よーし、先陣はオレだな」
「ギリオン……おまえは後ろで休んでおけ」
「なっ! オレも戦えんぞ!」
「今は必要ない」
「姫さん!」
そんな顔をするな。
「いずれギリオンの力が必要になる時が来る」
「……」
「それまでは無理せず、回復に努めてほしい」
「無理じゃねえけど……ちっ、しょうがねえ」
不承不承ながらも納得してくれたようだ。
「私も下がりましょうか?」
「ふむ……」
通常の布陣では遊撃を担ってきたヴァルター。
この状況ならば。
「後方を頼む、ギリオンの傍にいてくれ」
「承知しました」
などと言葉を交わしている間に、ウォーライルが布陣を終え。
あとは、接近する者たちを待つばかり。
「っ! これは……魔物じゃない??」
リリニュスの声が上ずってる?
通常ならあり得ない、この感知は?
「どういうことだ?」
「人です!」
何!?
「複数の人がそこに!」
「人……?」
「はい、近づく気配は人である可能性が高いです」
「我ら以外の人が足を踏み入れている……ということは?」
人里が近い?
ならば、やはりここは異界ではなく顕界だと?
「「「「「おお!!」」」」」
「「「「「人だ!!」」」」」
「「「「「人がいるぞ!!」」」」」
「やっぱり異界じゃなかったんだ!」
周りから上がるのは喜色に溢れた歓声。
満面の笑みを浮かべる者もいる。
「「「「「「ああ!」」」」」」
「「「「「「よかったぁ」」」」」」
「みんな……」
ここは現実世界、その可能性が高いと何度も言葉を重ねてきたものの、心の中には疑心が根強く残っていたのだろう。それも当然だ。異界に囚われて以降、魔物以外を目にすることなどなかったのだから。
もちろん私も。
私の思いも皆と変わりはない。
「リリニュス殿、アイスタージウス軍の可能性はありませぬか?」
皆が興奮し歓喜に湧く中、ウォーライルが発した一言が場を凍らせる。
「まさか、追って来たのか?」
「いや、我らを特定できるわけないだろ?」
その通り、常識的にはあり得ない。
が、偶然ということも考えられる。
「リリニュス、どうなのだ?」
「申し訳ありません、対象の詳細までは……。ただ、数は30前後を感知しております」
「ふむ、30か」
アイスタージウス軍がそのような少数で我らを追うとは思えない。
仮に彼の軍であったとしても30程度なら容易に対処できるはず。
とはいえ、態勢だけは整えておくべきか。
「ウォーライル、念のため陣を敷くように」
「はっ!」
「よーし、先陣はオレだな」
「ギリオン……おまえは後ろで休んでおけ」
「なっ! オレも戦えんぞ!」
「今は必要ない」
「姫さん!」
そんな顔をするな。
「いずれギリオンの力が必要になる時が来る」
「……」
「それまでは無理せず、回復に努めてほしい」
「無理じゃねえけど……ちっ、しょうがねえ」
不承不承ながらも納得してくれたようだ。
「私も下がりましょうか?」
「ふむ……」
通常の布陣では遊撃を担ってきたヴァルター。
この状況ならば。
「後方を頼む、ギリオンの傍にいてくれ」
「承知しました」
などと言葉を交わしている間に、ウォーライルが布陣を終え。
あとは、接近する者たちを待つばかり。
20
あなたにおすすめの小説
テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はアレク
両親は村を守る為に死んでしまった
一人になった僕は幼馴染のシーナの家に引き取られて今に至る
シーナの両親はとてもいい人で強かったんだ。僕の両親と一緒に村を守ってくれたらしい
すくすくと育った僕とシーナは成人、15歳になり、神様からギフトをもらうこととなった。
神様、フェイブルファイア様は僕の両親のした事に感謝していて、僕にだけ特別なギフトを用意してくれたんだってさ。
そのギフトが裁縫ギフト、色々な職業の良い所を服や装飾品につけられるんだってさ。何だか楽しそう。
ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す
名無し
ファンタジー
ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。
しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。
ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて…
幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。
王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。
なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。
自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。
11月14日にHOT男性向け1位になりました。
応援、ありがとうございます!
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる