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第12章 激闘編
遭遇
しおりを挟む<エリシティア視点>
姿を現すのは敵か味方か、それとも我らとは無関係の者か?
アイスタージウスの手下ではないと思うが……。
まさか、ここに来て異界の住人などとは言わないでくれよ。
「エリシティア様、間もなくです」
「位置は?」
「前方の坂下、約100歩です」
「よし、前衛は剣を抜け」
「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」
「魔法隊は発動準備を」
「「「「「承知しました!」」」」」
万全の態勢を整え、前方に視線を向けてやる。
すると。
ザッ、ザッ。
ザッ、ザッ、ザッ。
整然とした足音と共に目に入ってきたのは複数の人影。
そう、人だ。我らの知る人に違いない。
ザッ、ザッ、ザッ。
ザッ、ザッ、ザッ。
武装はしているものの、アイスタージウスのそれとは異なる。
異界の武具とも思えない。
なら……。
と、ここで足が止まった。
「ん?」
「あれは!?」
相手方もこちらに気づいたか。
「「「「「何者!?」」」」」
「「「「「何をしている?」」」」」
先頭の数人が誰何の大声を上げている。
「「「「「そちらこそ、何者?」」」」」
「「「「「名を名乗れ!」」」」」
こちらも怒声に近い声で問い返す。
「「「「「そっちが先だ」」」」」
「「「「「いいや、そっちだ」」」」」
「「「「「「「……」」」」」」」
「「「「「「「……」」」」」」」
言葉を返さない両陣営。
足を止め激しく睨み合ったまま。
お互いに値踏みしたまま。
「「「「「「「……」」」」」」」
「「「「「「「……」」」」」」」
匂い始める一触即発の空気。
まずいぞ。
彼らが敵でないなら、この空気は避けるべき。
「ウォーライル」
「はっ、お任せを」
私の意を汲んだウォーライルが陣から数歩前に出て行く。
「我らは山を探索しているだけ、敵意などない」
「その言は……」
相手方からも1人出てきた。
騎士風の壮年男性だ。
「真か?」
「ああ、嘘じゃない。だから、どうか落ち着いてほしい」
「……ふむ」
頷いた壮年男性が右手を上げると、後続の足が動き出す。
「敵でないなら、近づいても問題ないな」
「無論」
待機するこちらに向かって、30人の者が歩を進めてくる。
その内約半数は壮年男性同様の騎士風、ただ残りの半数は軽装の庶民にしか見えない。
「なっ! その意匠!?」
互いにはっきり視認できる距離まで近づいたところで上がったのは驚きの声?
「「「「「王軍?」」」」」
「「「「「レザンジュ王軍なのか?」」」」」
おそらくは、騎士の鎧に刻まれた近衛の紋章に気づいたのだろう。
しかし、なぜ驚く?
どうして身構える?
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