1,393 / 1,565
第12章 激闘編
レザンジュの騎士
しおりを挟む
<エリシティア視点>
眼下では、全員が再び足を止め驚きの声を上げている。
「「「「「間違いない、王軍だ」」」」」
「「「「「おのれ!」」」」」
「「「「「謀ったな!」」」」」
急激に空気が変わっていく。
「エリシティア様?」
「これは、何事でしょう?」
「……分からぬ」
こちらは戸惑うばかり。
対する坂下の面々は……驚きの色が消え、浮かび出したのは憎悪?
敵意が溢れ出している?
「分からぬが、ただ事ではないな」
であるなら。
「前衛は警戒態勢に入るように」
「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」
困惑しながらも整える態勢に陰りなし。
さすが、我が騎士たちだ。
「エリシティア様はお下がりください。どうぞ、こちらに」
感心する私にリリニュスが呼び掛けてくる。
「うむ」
これで万全。
何の心配もないはず。
「しかし、不思議だな」
「はい、本当に」
リリニュスも腑に落ちないといった面持ち。
いまだ前に出たままのウォーライルの背にも当惑しか見えない。
「で、この後にどう出るかだが」
呟く私の目に入ってきたのは先程の騎士風壮年男性。
他の者を止め、また1人で前に出てきた。
「きさまら、レザンジュの騎士、斥候部隊だな?」
抑えた声音ながら、威圧的な断定口調で尋ねてくる。
「斥候ではない」
答えたのはウォーライル。
「斥候ではないか」
その通り。
こちらはレザンジュの騎士ではあるが、斥候ではない。
我が近衛隊だ。
「レザンジュ騎士であることは否定しない、か」
「……」
***********************
連続攻撃後の不意打ち、無詠唱、無形のウインドアローが少女の胸に炸裂する。
バァァァン!
激しい破裂音。
これは、当たったんだよな?
「ふふ、ふふふ」
駄目だ。
少女の余裕に変化は見えない。
「これまでで最高の連係だったぞ。が、それでも足りぬ」
「……」
「おぬしらの魔法では、このあたりが限界か」
普段の攻撃魔法なら、そうなのかもしれないな。
「さて、どうする?」
「……」
「そろそろ諦めるか? それとも?」
現状、こちらは白炎の防御中。
かなり厄介な状況だが、炎は間もなく消えるはず。
まだまだ諦めるという段階じゃない。
いや、そもそも、諦めるという選択肢などないんだ。
シャリエルンは……。
「諦めるわけがない。 剣で倒してやる!」
彼女も同じ。
それなりに傷を負っているものの闘志は手放していない。
エリシティア様のもとに駆けつけるという強い思いが彼女を掻き立てているのだろう。
「さっきから何度も仕掛けておるが、その剣も届いておらぬぞ」
「うるさいっ! 黙れ!」
「おぬしだよ、うるさいのはな」
「何だと!」
「ふむ……もう要らぬか。パラライズ」
「なっ!?」
眼下では、全員が再び足を止め驚きの声を上げている。
「「「「「間違いない、王軍だ」」」」」
「「「「「おのれ!」」」」」
「「「「「謀ったな!」」」」」
急激に空気が変わっていく。
「エリシティア様?」
「これは、何事でしょう?」
「……分からぬ」
こちらは戸惑うばかり。
対する坂下の面々は……驚きの色が消え、浮かび出したのは憎悪?
敵意が溢れ出している?
「分からぬが、ただ事ではないな」
であるなら。
「前衛は警戒態勢に入るように」
「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」
困惑しながらも整える態勢に陰りなし。
さすが、我が騎士たちだ。
「エリシティア様はお下がりください。どうぞ、こちらに」
感心する私にリリニュスが呼び掛けてくる。
「うむ」
これで万全。
何の心配もないはず。
「しかし、不思議だな」
「はい、本当に」
リリニュスも腑に落ちないといった面持ち。
いまだ前に出たままのウォーライルの背にも当惑しか見えない。
「で、この後にどう出るかだが」
呟く私の目に入ってきたのは先程の騎士風壮年男性。
他の者を止め、また1人で前に出てきた。
「きさまら、レザンジュの騎士、斥候部隊だな?」
抑えた声音ながら、威圧的な断定口調で尋ねてくる。
「斥候ではない」
答えたのはウォーライル。
「斥候ではないか」
その通り。
こちらはレザンジュの騎士ではあるが、斥候ではない。
我が近衛隊だ。
「レザンジュ騎士であることは否定しない、か」
「……」
***********************
連続攻撃後の不意打ち、無詠唱、無形のウインドアローが少女の胸に炸裂する。
バァァァン!
激しい破裂音。
これは、当たったんだよな?
「ふふ、ふふふ」
駄目だ。
少女の余裕に変化は見えない。
「これまでで最高の連係だったぞ。が、それでも足りぬ」
「……」
「おぬしらの魔法では、このあたりが限界か」
普段の攻撃魔法なら、そうなのかもしれないな。
「さて、どうする?」
「……」
「そろそろ諦めるか? それとも?」
現状、こちらは白炎の防御中。
かなり厄介な状況だが、炎は間もなく消えるはず。
まだまだ諦めるという段階じゃない。
いや、そもそも、諦めるという選択肢などないんだ。
シャリエルンは……。
「諦めるわけがない。 剣で倒してやる!」
彼女も同じ。
それなりに傷を負っているものの闘志は手放していない。
エリシティア様のもとに駆けつけるという強い思いが彼女を掻き立てているのだろう。
「さっきから何度も仕掛けておるが、その剣も届いておらぬぞ」
「うるさいっ! 黙れ!」
「おぬしだよ、うるさいのはな」
「何だと!」
「ふむ……もう要らぬか。パラライズ」
「なっ!?」
17
あなたにおすすめの小説
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はアレク
両親は村を守る為に死んでしまった
一人になった僕は幼馴染のシーナの家に引き取られて今に至る
シーナの両親はとてもいい人で強かったんだ。僕の両親と一緒に村を守ってくれたらしい
すくすくと育った僕とシーナは成人、15歳になり、神様からギフトをもらうこととなった。
神様、フェイブルファイア様は僕の両親のした事に感謝していて、僕にだけ特別なギフトを用意してくれたんだってさ。
そのギフトが裁縫ギフト、色々な職業の良い所を服や装飾品につけられるんだってさ。何だか楽しそう。
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。
ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて…
幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。
王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。
なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。
自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。
11月14日にHOT男性向け1位になりました。
応援、ありがとうございます!
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
おばさん冒険者、職場復帰する
神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。
子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。
ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。
さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。
生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。
-----
剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。
一話ごとで一区切りの、連作短編(の予定)。
-----
※小説家になろう様にも掲載中。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる