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第12章 激闘編
突撃
しおりを挟む<エリシティア視点>
「おめえらはオレたちが敵陣を乱した後に続いてくれりゃいい。んで、リリニュスはここで魔法壁を維持だ」
表情に迷いを残しながらも、ギリオンの提案に2人が頷いている。
「おっ、きたようだぜ」
そこに、また5発の矢が。
ドン、ドガン!
ドカン、ドガーン!
これまで同様、魔法壁が防ぎきってくれた。
「行くぞ!」
と同時に壁の外に走り出す2人。
目指す敵陣はかなりの下方。
私の位置からでは正確な距離は測れないが、それでも30歩以上離れていることだけは間違いない。
ギリオン……。
この距離を走破する間に爆散矢を何発浴びるのか?
まともに受けてしまったら、今のギリオンでも。
「そろそろ撃ってくるぞ」
「2、3本か? あいつら、焦りやがったな」
「油断は禁物だ、ギリオン」
「言われるまでもねえ」
走破距離は半分以上。
敵陣は近い。
ヒュン!
ヒュン!
そこに2本の矢が飛んでくる。
ギリオンとヴァルターに1本ずつ向かって来る!
「そりゃ!」
避けた!
「はっ、1本くらい楽勝だぜ」
言葉通り、ギリオンが矢を避けきった!
ヴァルターも回避に成功している。
2人とも無事、傷ひとつ負っていない。
当然、矢は後方へと去り。
ドカン!
ドッシャーン!
地面に衝突、爆散。
消え去ってしまった。
けれど。
「ギリオン、次だ」
そう。
危機的状況は続いてる。
さらなる1射がもう目の前!
間に合うのか?
「ちっ!」
避けない。
ギリオンは盾を前に出している。
真正面から矢が盾に!
ドガーーン!
爆風がギリオンを包み込む!
「ギリオン!?」
無事か?
防げたのか?
「やられてないだろうな?」
「あったりめえよ」
ヴァルターに答えるギリオンによどみはない。
大丈夫なのだな。
よかった……。
「その盾はもう使い物にならないぞ」
「まったく問題ねえ。って、んなことより突っ込むぞ、ヴァルター!」
「ああ」
2人が再び地を蹴った。
ヴァルターが先頭、矢を防いだギリオンが数歩後ろに続く。
「う、撃てぇ!」
「「はっ!」」
次射は2本。
これは近すぎる!
ヒュン!
ヒュン!
危ない!!
「ぬん!」
「だりゃあ!」
ヴァルターが剣を一閃。
ギリオンも真横に振り抜いた。
ヒュッ!
ヒュッ!
矢が軌道を変え遠ざかっていく。
そして、そのまま地面に衝突。
ドシャン!
ドッシャーン!
初撃同様に爆散してしまった。
「「「「「すごい……」」」」」
「「「「「凄いぞ!!」」」」」
「……」
この近距離射撃も乗り切ったんだ。
それも剣の一振りで。
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