30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

突撃

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<エリシティア視点>



「おめえらはオレたちが敵陣を乱した後に続いてくれりゃいい。んで、リリニュスはここで魔法壁を維持だ」

 表情に迷いを残しながらも、ギリオンの提案に2人が頷いている。

「おっ、きたようだぜ」

 そこに、また5発の矢が。

 ドン、ドガン!

 ドカン、ドガーン!

 これまで同様、魔法壁が防ぎきってくれた。

「行くぞ!」

 と同時に壁の外に走り出す2人。

 目指す敵陣はかなりの下方。
 私の位置からでは正確な距離は測れないが、それでも30歩以上離れていることだけは間違いない。

 ギリオン……。

 この距離を走破する間に爆散矢を何発浴びるのか?
 まともに受けてしまったら、今のギリオンでも。



「そろそろ撃ってくるぞ」

「2、3本か? あいつら、焦りやがったな」

「油断は禁物だ、ギリオン」

「言われるまでもねえ」

 走破距離は半分以上。
 敵陣は近い。

 ヒュン!

 ヒュン!

 そこに2本の矢が飛んでくる。
 ギリオンとヴァルターに1本ずつ向かって来る!

「そりゃ!」

 避けた!

「はっ、1本くらい楽勝だぜ」

 言葉通り、ギリオンが矢を避けきった!
 ヴァルターも回避に成功している。
 2人とも無事、傷ひとつ負っていない。

 当然、矢は後方へと去り。

 ドカン!
 ドッシャーン!

 地面に衝突、爆散。
 消え去ってしまった。

 けれど。

「ギリオン、次だ」

 そう。
 危機的状況は続いてる。
 さらなる1射がもう目の前!
 間に合うのか?

「ちっ!」

 避けない。
 ギリオンは盾を前に出している。
 真正面から矢が盾に!

 ドガーーン!

 爆風がギリオンを包み込む!

「ギリオン!?」

 無事か?
 防げたのか?

「やられてないだろうな?」

「あったりめえよ」

 ヴァルターに答えるギリオンによどみはない。
 大丈夫なのだな。
 よかった……。

「その盾はもう使い物にならないぞ」

「まったく問題ねえ。って、んなことより突っ込むぞ、ヴァルター!」

「ああ」

 2人が再び地を蹴った。
 ヴァルターが先頭、矢を防いだギリオンが数歩後ろに続く。

「う、撃てぇ!」

「「はっ!」」

 次射は2本。
 これは近すぎる!

 ヒュン!
 ヒュン!

 危ない!!

「ぬん!」

「だりゃあ!」

 ヴァルターが剣を一閃。
 ギリオンも真横に振り抜いた。

 ヒュッ!
 ヒュッ!

 矢が軌道を変え遠ざかっていく。
 そして、そのまま地面に衝突。

 ドシャン!
 ドッシャーン!

 初撃同様に爆散してしまった。

「「「「「すごい……」」」」」
「「「「「凄いぞ!!」」」」」

「……」

 この近距離射撃も乗り切ったんだ。
 それも剣の一振りで。

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