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番外編1 ●●が怖い執事長の話
救い(2)
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「シャワー、ありがとうございました」
一番様のお部屋に着いてすぐ、シャワールームへ促された。
当然だな。
私の下半身は、本来なら触れて頂くのも憚られるほどに汚れていたのだから。
下着や寝間着も一番様の物を借りてしまったが……サイズが違い過ぎてずり落ちそうだ。
「ローズウェル」
一番様が自分の座るソファの隣を叩く。
「いえ、そんな……」
「ローズウェル……!」
普段なら次期魔王候補様の隣に腰掛けるなど絶対にできないが……一番様が少し泣きそうな顔でじっと見つめてこられるので……観念して浅く腰を下ろした。
怒られるのか、同情されるのか……どちらにせよ気まずい話が待っていると覚悟を決めた時だった。
「……?」
頭を……撫でられた?
「優しいなぁ。ローズウェルは」
「え?」
「先ほどのようなことは、今日が初めてではないんだな?」
「あ……はい」
「ここ最近、ずっと辛そうな顔をしているから、気になっていたんだ」
「……」
顔に出さないようにしていたつもりだが……バレていたのか。
「それに、朝の歩き方が『昨日エッチしたんだろうな』って感じの日があった」
「えぇ!?」
そ、そんな、え?
まさか、周囲にもバレバレで……?
「あ、俺しか解らないと思うから安心しろ。普段のローズウェルをよく知っていて……エッチな方面の経験が豊富な俺だから解るレベルだ」
「あ……あぁ、はい」
良かった……いや、良かったのか?
戸惑っている間にも、一番様は優しい笑顔で話を続ける。
「ローズウェルのことだから、恋人ができたけど相手がへたくそで気持ち良くないエッチなのに好きな相手だから文句が言えない……なんて感じかなと思ったんだけどなぁ。ほら、お前は優しいから」
「……」
そんな風に勘違いされていたのか。
それならそうと、勘違いしたまま放っておいてくれればいいのに。
「恋人同士のことに他人が口を挟むのは下世話だが……最近、本当に苦しそうだったから、流石に俺が一言言ってやるかと思ったんだ」
一番様らしい優しい笑顔はいつ曇ってしまうのだろう。
先ほどの光景は、流石に笑ってもらえない。
そう思うのに……。
「それで、今日、こっそり部屋に行ってみて……俺が想像した何倍も、お前が優しいことが解った」
一番様は、まだ笑顔だ。
「優しいなぁ。えらいなぁ。立派だ、ローズウェル」
まだ笑顔。
そして……否定しなかった。
否定しないでいてくれた。
今までの、我慢が、苦しみが、少し報われた気がした。
「でも、どんなに立派な行為でも、お前が辛い思いをするのは間違っている」
「……っ」
やっと、一番様の顔が笑顔ではなくなった。
しかし、その顔に嫌悪はなくて……真摯に私に向き合ってくれているのが解る、真剣な表情だった。
「強姦は眷属化にもつながる最低な行為だ。通常なら死刑か無期罪だろう?」
抵抗しなかったが……そうだな。確実に合意ではなかった。
「抵抗しなかったとしても、愛の無いセックスに付き合ってもらう場合、俺が頼んでいる男娼のように対価をもらうべきだとは思わないか?」
は? 対価……?
え?
急に金の話……?
一番様のお部屋に着いてすぐ、シャワールームへ促された。
当然だな。
私の下半身は、本来なら触れて頂くのも憚られるほどに汚れていたのだから。
下着や寝間着も一番様の物を借りてしまったが……サイズが違い過ぎてずり落ちそうだ。
「ローズウェル」
一番様が自分の座るソファの隣を叩く。
「いえ、そんな……」
「ローズウェル……!」
普段なら次期魔王候補様の隣に腰掛けるなど絶対にできないが……一番様が少し泣きそうな顔でじっと見つめてこられるので……観念して浅く腰を下ろした。
怒られるのか、同情されるのか……どちらにせよ気まずい話が待っていると覚悟を決めた時だった。
「……?」
頭を……撫でられた?
「優しいなぁ。ローズウェルは」
「え?」
「先ほどのようなことは、今日が初めてではないんだな?」
「あ……はい」
「ここ最近、ずっと辛そうな顔をしているから、気になっていたんだ」
「……」
顔に出さないようにしていたつもりだが……バレていたのか。
「それに、朝の歩き方が『昨日エッチしたんだろうな』って感じの日があった」
「えぇ!?」
そ、そんな、え?
まさか、周囲にもバレバレで……?
「あ、俺しか解らないと思うから安心しろ。普段のローズウェルをよく知っていて……エッチな方面の経験が豊富な俺だから解るレベルだ」
「あ……あぁ、はい」
良かった……いや、良かったのか?
戸惑っている間にも、一番様は優しい笑顔で話を続ける。
「ローズウェルのことだから、恋人ができたけど相手がへたくそで気持ち良くないエッチなのに好きな相手だから文句が言えない……なんて感じかなと思ったんだけどなぁ。ほら、お前は優しいから」
「……」
そんな風に勘違いされていたのか。
それならそうと、勘違いしたまま放っておいてくれればいいのに。
「恋人同士のことに他人が口を挟むのは下世話だが……最近、本当に苦しそうだったから、流石に俺が一言言ってやるかと思ったんだ」
一番様らしい優しい笑顔はいつ曇ってしまうのだろう。
先ほどの光景は、流石に笑ってもらえない。
そう思うのに……。
「それで、今日、こっそり部屋に行ってみて……俺が想像した何倍も、お前が優しいことが解った」
一番様は、まだ笑顔だ。
「優しいなぁ。えらいなぁ。立派だ、ローズウェル」
まだ笑顔。
そして……否定しなかった。
否定しないでいてくれた。
今までの、我慢が、苦しみが、少し報われた気がした。
「でも、どんなに立派な行為でも、お前が辛い思いをするのは間違っている」
「……っ」
やっと、一番様の顔が笑顔ではなくなった。
しかし、その顔に嫌悪はなくて……真摯に私に向き合ってくれているのが解る、真剣な表情だった。
「強姦は眷属化にもつながる最低な行為だ。通常なら死刑か無期罪だろう?」
抵抗しなかったが……そうだな。確実に合意ではなかった。
「抵抗しなかったとしても、愛の無いセックスに付き合ってもらう場合、俺が頼んでいる男娼のように対価をもらうべきだとは思わないか?」
は? 対価……?
え?
急に金の話……?
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