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番外編1 ●●が怖い執事長の話
挑戦(4)
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「待たせてすまない」
「いえ、ありがとう、ウオルタ」
「……当然だろう」
隣に座ったウオルタは照れたように呟いたが、今までの性行為では、誰もどちらの用意も無かった。
たった一回、しかも魔力差の少ない大人の魔族同士では眷属になってしまう確率はほぼ無いが、他人の体液を注がれることは「万が一」があり得るとても恐ろしい行為だ。
そういう意味でも、セックスが怖かった。
だから……コンドームを付けてくれる、ただそれだけですごく安心する。
「……ローズウェル、顔を見ていてくれ」
「え?」
「服を脱ぐから……怖がらせたくない」
ウオルタのものなら大丈夫な気もするが……今日は優しさに甘えよう。
「キス、していていいですか?」
「ローズウェルからしてくれるのか?」
「あ……はい」
自分からしたことは無かったか。
別に、作法とかないよな?
顔を近づけて……少し傾けないと鼻が当たるのか。それで……。
――ふに
唇同士を合わせたつもりが、微妙に口の端になってしまった。
でも、自分から触れていく方が、ウオルタの唇の感触がよく解る気がする。
「ん……」
少しずらしながら唇を食んで、ウオルタはいつもどうしてくれるか……こうか? 角度を変えて、何度か啄んで、舌で舐めて……あ、舌先にウオルタの唇の弾力を感じるのは新鮮。
何度か食んで、舐めて……深いキスではないけどたっぷりとウオルタの唇を堪能したころ、ウオルタの手が肩と腰に回った。
「ありがとう。とても気持ちがいいキスだった」
「あ……」
「準備、できた」
どういう……?
下半身を見そうになるが、ウオルタからのキスに阻まれる。
「んっ……!」
「ローズウェル、跨いでくれ」
「はい……」
何度も何度もキスをされながら、先ほどのように向かい合って、ウオルタの太ももを跨ぐ……あ、なんか……当たる?
「オイルを足す。気持ち悪いかもしれないが、痛くしないためだから」
「はい……」
オイルの絡んだウオルタの指が、先ほど解してくれたアナルに触れ、滑りをしっかりと塗り込んでいく。
ぬるっとした感触は気持ち悪いが……まぁ、痛くも苦しくも無い。
それに、その間も……
「はぁ……好きだ……ローズウェル……お前が欲しくてたまらない。ローズウェル……」
「ん、あ、ウオルタ……!」
沢山キスをして、愛を囁いて、ずっと顔が至近距離で……怖くはない。
「……んんっ!」
指が抜けた。
ということは……
「俺も支えるが、しっかり掴まっていてくれ」
「はい」
この体位は、恐らく初心者向きではない。
でも、屈強な体が覆いかぶさるのではなく、向かい合っているから対等な感じがして、ウオルタの顔がよく見えて……怖くない。
「ふぅ……入れるぞ、ローズウェル」
「はい……っ」
ウオルタの腕が腰に添えられて、もう片方の手は、よく見えない股間の辺りで……アナルの先端に、何かが触れた。
熱くて、硬くて、ぬるぬるするのはどちらについたオイルのせいか。
それが、少し下からぐっとアナルの淵に向かって押し上がってきて……
「ローズウェル……くっ!」
「ん、あ、んんっ!?」
ウオルタの片手が太ももに触れたと思うと、そこを掬う様に持ち上げた。
体重を支えていた足が上がると……。
「あ、う、ぐっ! ん、んんん!」
入ってきた。
アナルに、他人のペニスが、熱くて、硬くて、私を犯すペニス……!
あ、嫌だ。
怖い。
怖……
「ローズウェル!」
「!?」
衝撃に耐えるように目を瞑ると、ウオルタが大きな声を上げた。
「いえ、ありがとう、ウオルタ」
「……当然だろう」
隣に座ったウオルタは照れたように呟いたが、今までの性行為では、誰もどちらの用意も無かった。
たった一回、しかも魔力差の少ない大人の魔族同士では眷属になってしまう確率はほぼ無いが、他人の体液を注がれることは「万が一」があり得るとても恐ろしい行為だ。
そういう意味でも、セックスが怖かった。
だから……コンドームを付けてくれる、ただそれだけですごく安心する。
「……ローズウェル、顔を見ていてくれ」
「え?」
「服を脱ぐから……怖がらせたくない」
ウオルタのものなら大丈夫な気もするが……今日は優しさに甘えよう。
「キス、していていいですか?」
「ローズウェルからしてくれるのか?」
「あ……はい」
自分からしたことは無かったか。
別に、作法とかないよな?
顔を近づけて……少し傾けないと鼻が当たるのか。それで……。
――ふに
唇同士を合わせたつもりが、微妙に口の端になってしまった。
でも、自分から触れていく方が、ウオルタの唇の感触がよく解る気がする。
「ん……」
少しずらしながら唇を食んで、ウオルタはいつもどうしてくれるか……こうか? 角度を変えて、何度か啄んで、舌で舐めて……あ、舌先にウオルタの唇の弾力を感じるのは新鮮。
何度か食んで、舐めて……深いキスではないけどたっぷりとウオルタの唇を堪能したころ、ウオルタの手が肩と腰に回った。
「ありがとう。とても気持ちがいいキスだった」
「あ……」
「準備、できた」
どういう……?
下半身を見そうになるが、ウオルタからのキスに阻まれる。
「んっ……!」
「ローズウェル、跨いでくれ」
「はい……」
何度も何度もキスをされながら、先ほどのように向かい合って、ウオルタの太ももを跨ぐ……あ、なんか……当たる?
「オイルを足す。気持ち悪いかもしれないが、痛くしないためだから」
「はい……」
オイルの絡んだウオルタの指が、先ほど解してくれたアナルに触れ、滑りをしっかりと塗り込んでいく。
ぬるっとした感触は気持ち悪いが……まぁ、痛くも苦しくも無い。
それに、その間も……
「はぁ……好きだ……ローズウェル……お前が欲しくてたまらない。ローズウェル……」
「ん、あ、ウオルタ……!」
沢山キスをして、愛を囁いて、ずっと顔が至近距離で……怖くはない。
「……んんっ!」
指が抜けた。
ということは……
「俺も支えるが、しっかり掴まっていてくれ」
「はい」
この体位は、恐らく初心者向きではない。
でも、屈強な体が覆いかぶさるのではなく、向かい合っているから対等な感じがして、ウオルタの顔がよく見えて……怖くない。
「ふぅ……入れるぞ、ローズウェル」
「はい……っ」
ウオルタの腕が腰に添えられて、もう片方の手は、よく見えない股間の辺りで……アナルの先端に、何かが触れた。
熱くて、硬くて、ぬるぬるするのはどちらについたオイルのせいか。
それが、少し下からぐっとアナルの淵に向かって押し上がってきて……
「ローズウェル……くっ!」
「ん、あ、んんっ!?」
ウオルタの片手が太ももに触れたと思うと、そこを掬う様に持ち上げた。
体重を支えていた足が上がると……。
「あ、う、ぐっ! ん、んんん!」
入ってきた。
アナルに、他人のペニスが、熱くて、硬くて、私を犯すペニス……!
あ、嫌だ。
怖い。
怖……
「ローズウェル!」
「!?」
衝撃に耐えるように目を瞑ると、ウオルタが大きな声を上げた。
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