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このままじゃあかん
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「ん? 何やねん、つむぎ」
渉は、きょとんと振り返った。
「お前が何や! いま、球拾いの時間やろっ。二人とも、一緒にやってや」
びし、と球拾いをしている田中たちを指さすと、みんな「うんうん」と頷いとる。けど、渉はにまっと笑って、俺の肩にぽんと手を置いた。
「俺、忙しいから。後は頼むわ」
のんきなアホに、頬が引き攣る。
「……っ早く片付けな、みんな練習再開できひんやろ? 俺ら一年の仕事やねんから、ちゃんとやろうよ。フォームの練習は、その後でもええやん?」
入ったばっかの沙也さんはともかく、お前は風紀乱すなし。
背中に刺さる先輩らの視線を意識しつつ、訴えると、沙也さんが渉を庇うように前に出た。
「渉を責めないで下さい!」
きっと睨まれて、面食らう。
「え……でもさ」
「今しか出来ないんですよ。練習が再開したら、渉には練習に集中してほしいですし。初心者の僕に、大切なレギュラーの時間を割いてくれ――なんて厚かましいこと言えませんから!」
「沙也……俺のために……」
沙也さんははきはきと言い切ると、渉をじっと見つめた。渉は、照れたように鼻の下を指で擦っている。
――なんや、そのやりとりッ。
ってムカついたものの、俺はちょっと冷静になった。
確かに、渉は練習が始まると、ボールだけに集中してるんや。レギュラーで大切な時期の渉に、沙也さんとしても遠慮してたんか。そういう事やったら、頭ごなしやったかもしれへんな。
俺は沙也さんに向き直り、にこっと笑う。
「そっか、気にさせてごめんね。でも、それやったらさ。渉以外にも、聞いてくれてええんよ? みんな、沙也さんに教えたくてうずうずしとるから」
後半、ちょけて言うと、笑いがさざめいた。「そうやで」と先輩らも、和やかに声を上げてくれる。
――よかった、なんとかなりそうや。
胸を撫でおろした瞬間、
「嫌ですよ。どうせ習うなら、上手い人がいいんです。悪い癖をつけたくないので」
沙也さんが、どでかい爆弾を落とす。
「――はあ?」
「ああああ、いやいやいや!」
「違います、違います!」
一瞬にしてピリついた空気に、一年ズは青褪めた。わたわたとお辞儀したり踊ったり、場を和まそうとするねんけど、先輩らは鬼みたいな顔で、立ち上がる。
――あかん、何とかせな!
試合前やのに、この空気はエグイぞ。必死な俺の耳に、ふざけたやりとりが聞こえてきた。
「沙也ぁ、お前から見ても、俺が一番なん?」
「う、うるさいですっ。言葉の綾で……調子にのらないでください!」
沙也さんは顔を赤らめて、頬をつつこうとする渉から逃げ回る。この期に及んで、いちゃいちゃとじゃれ合う二人に、流石の俺もぶちっときて。
「……そこ、ええかげんにしてやッ!! ふざけんのやったら、二人とも今すぐに帰って!!!」
腹の底から怒鳴りつけてまう。
シーーーーーン……と、コートが静まり返った。
「……あっ」
皆の驚いた顔に、「言葉がきつかった」とわれに返る。かあ、と頬が熱を持った。
「ご、ごめん。俺……」
慌てて弁解する前に、面食らっていた渉が、白けた顔で言う。
「はいはい、わかったわ」
渉は投げやりに、沙也さんの手を引いて歩きだす。通りすがりざまに、
「――あのなあ、部活中やろ? いちいち目くじら立てんといて」
ってぼやいて、頭をぱしんと叩いていった。
沙也さんも、俺のことを睨みつけ、渉の後をついて行く。
「……っ」
俺は拳を握りしめ、わなわなと震えた。
――な、なにこれ。俺が悪いんか……?
立ち尽くしていると、部長が号令をかける。
「ほな練習再開するぞ!つむぎ、早よせえ!」
「……はい!」
部長の発破に鼻を啜り上げ、走り出す。心配そうな副キャプに、ペコリと会釈して、俺は一年の皆の輪に戻った。
「あいつら、やばない!?」
部活が終わった後、コート整備をしながらアッキーが叫んだ。
「わかる。めっちゃ空気凍ったよな~」
と加藤も頷く。一年しかおらんコートでは、みんな口が軽くなるようや。今日の顛末を、わいわいと話し出す。ちなみに、渉と沙也さんはジャグ洗いに行っていて、ここにはおらん。
「うーん……渉がいうには、沙也さん運動部初めてらしいから。あんま縦とか知らんらしいし……」
「いや、縦とか言う問題かあ? 言葉きつすぎやろ!」
当人のおらんとこで、あんま言うと気まずいさかい。取りなそうとしたものの、アッキーは目をつり上げた。
「大体、ジャグ洗いの当番決めるときもさあ、酷かったやんか!」
「そうそう~。普通に当番やのに、「近づくな!」とか言うてさあ……な~、田中」
「ああ……まあ、仕方ないんやろけどさ」
田中も顔を顰めた。当番を決めるときの悶着を思い出し、俺の心もずっしり重くなる。
一年で回しとるマネ業では、コートの準備と買い出し、ジャグ(飲み物)の準備を分担してんねん。コート整備は皆でやるけど、ジャグは二人一組でやっとんのよな。ところが、沙也さんは田中と組むのを嫌がったわけ。
『身の危険を感じるので、渉以外と組みたくありません』
あんまりな言い草に、気色ばんだみんなを宥めたのは、渉やった。
『沙也はオメガやから、怖いこともあんねん。悪いけど気遣ったって』
って。そう言われると、もう誰もよう言わんやん。それで、渉が沙也さんと組むってことで、話はついたんやけど――。
「はあ……」
俺は、ため息を吐く。
『つむぎみたいに、沙也はガサツと違うから』
あん時、渉が笑って付け足した言葉が、胸に刺さってたりする。ガサツくらい言われ慣れとるんやけど、なんか深かった。渉が「自分が沙也と組む」って言い張ったせいかも。
――俺が沙也さんと組むよって言うたのに。洗い物なんか、きらいなくせに……
もやもやを思い出しながら、外したネットを畳む。
でも、このままじゃあかんよな。
「ごめんやで、みんな……」
なんか、俺が怒鳴ってしもたせいで、みんなの鬱憤に火がついてもた気がする。すると、みんなは「つむぎが謝んなさ~」と励ましてくれる。ほんまに良い奴らや。
――でも、まずいって。みんな優しいから、許してくれとるけど……いつか、どかんってきてまうで。
大事な試合だって近いのに、部活の空気が悪いとか。
頑張って、頑張って、やっと得られたインターハイの切符やのに。
先輩らともぎくしゃくしたくないし……そう思っとったら、箒を抱えた田中が近づいてくる。
「どうした?」
「田中……俺、ちゃんと渉と話すわ」
「悪いな、つむぎ」
心配そうな田中に、笑って見せる。ここは幼なじみとして、彼氏として俺が頑張らなな!
*
「ほいしょっと」
ことこととスープの煮立つ鍋に、カレールウを割りいれた。とろとろになるまで混ぜると、スパイシーな匂いがキッチンに充満する。
今日の晩御飯は、カレーライスや。昨日で作り置きを食べてしもたから、慌てて作っとる最中なんやな。カレーを作るくらいの材料は、冷蔵庫にいつでもストックしとるから、問題ない。
――……とはいえ、たまには自分以外の手料理食べたいわぁ~ん。
お父ちゃんとお母ちゃんが、二人で頑張ってくれてるから、わが家はなりたっとるわけやけど。部活でくったくたの日は、「ただいまー」のタイミングでごはんが出来てへんかなぁ、と思ったりせんでもない。
「はらへった~ああ~ふんふん」
アホみたいな歌うたっても、一人やと寂しい。「何やってんねん」とか突っ込んでくれる人がおるから、学校とか渉の家が好きや。
中学までは、渉がしょっちゅう「家来いよ」って言うてくれたのになあ。はぁ。
「おっしゃ、できた」
そうこうしとる間に、つむぎ特製チキンカレーの完成や。定番やけど、夏のカレーはうまい。つけあわせに大根サラダも作ったし、爽やか尽くし。
「……簡単すぎかな……? でも、あいつ大根好きやしな。ええか」
棚から、皿を出していると――テーブルの上のスマホが着信を告げる。どきっとして、飛び上がった。慌てて見れば、メッセージが一件。
『もうつく』
って、内容を読みおわるかどうかで、インターホンが鳴った。
「渉」
「おす。今日、カレー?」
玄関に出迎えれば、渉がいた。ひょいと片手をあげて立っとるから、「上がって」と促す。
今日、話せへんかって連絡しとったんよ。
渉は、きょとんと振り返った。
「お前が何や! いま、球拾いの時間やろっ。二人とも、一緒にやってや」
びし、と球拾いをしている田中たちを指さすと、みんな「うんうん」と頷いとる。けど、渉はにまっと笑って、俺の肩にぽんと手を置いた。
「俺、忙しいから。後は頼むわ」
のんきなアホに、頬が引き攣る。
「……っ早く片付けな、みんな練習再開できひんやろ? 俺ら一年の仕事やねんから、ちゃんとやろうよ。フォームの練習は、その後でもええやん?」
入ったばっかの沙也さんはともかく、お前は風紀乱すなし。
背中に刺さる先輩らの視線を意識しつつ、訴えると、沙也さんが渉を庇うように前に出た。
「渉を責めないで下さい!」
きっと睨まれて、面食らう。
「え……でもさ」
「今しか出来ないんですよ。練習が再開したら、渉には練習に集中してほしいですし。初心者の僕に、大切なレギュラーの時間を割いてくれ――なんて厚かましいこと言えませんから!」
「沙也……俺のために……」
沙也さんははきはきと言い切ると、渉をじっと見つめた。渉は、照れたように鼻の下を指で擦っている。
――なんや、そのやりとりッ。
ってムカついたものの、俺はちょっと冷静になった。
確かに、渉は練習が始まると、ボールだけに集中してるんや。レギュラーで大切な時期の渉に、沙也さんとしても遠慮してたんか。そういう事やったら、頭ごなしやったかもしれへんな。
俺は沙也さんに向き直り、にこっと笑う。
「そっか、気にさせてごめんね。でも、それやったらさ。渉以外にも、聞いてくれてええんよ? みんな、沙也さんに教えたくてうずうずしとるから」
後半、ちょけて言うと、笑いがさざめいた。「そうやで」と先輩らも、和やかに声を上げてくれる。
――よかった、なんとかなりそうや。
胸を撫でおろした瞬間、
「嫌ですよ。どうせ習うなら、上手い人がいいんです。悪い癖をつけたくないので」
沙也さんが、どでかい爆弾を落とす。
「――はあ?」
「ああああ、いやいやいや!」
「違います、違います!」
一瞬にしてピリついた空気に、一年ズは青褪めた。わたわたとお辞儀したり踊ったり、場を和まそうとするねんけど、先輩らは鬼みたいな顔で、立ち上がる。
――あかん、何とかせな!
試合前やのに、この空気はエグイぞ。必死な俺の耳に、ふざけたやりとりが聞こえてきた。
「沙也ぁ、お前から見ても、俺が一番なん?」
「う、うるさいですっ。言葉の綾で……調子にのらないでください!」
沙也さんは顔を赤らめて、頬をつつこうとする渉から逃げ回る。この期に及んで、いちゃいちゃとじゃれ合う二人に、流石の俺もぶちっときて。
「……そこ、ええかげんにしてやッ!! ふざけんのやったら、二人とも今すぐに帰って!!!」
腹の底から怒鳴りつけてまう。
シーーーーーン……と、コートが静まり返った。
「……あっ」
皆の驚いた顔に、「言葉がきつかった」とわれに返る。かあ、と頬が熱を持った。
「ご、ごめん。俺……」
慌てて弁解する前に、面食らっていた渉が、白けた顔で言う。
「はいはい、わかったわ」
渉は投げやりに、沙也さんの手を引いて歩きだす。通りすがりざまに、
「――あのなあ、部活中やろ? いちいち目くじら立てんといて」
ってぼやいて、頭をぱしんと叩いていった。
沙也さんも、俺のことを睨みつけ、渉の後をついて行く。
「……っ」
俺は拳を握りしめ、わなわなと震えた。
――な、なにこれ。俺が悪いんか……?
立ち尽くしていると、部長が号令をかける。
「ほな練習再開するぞ!つむぎ、早よせえ!」
「……はい!」
部長の発破に鼻を啜り上げ、走り出す。心配そうな副キャプに、ペコリと会釈して、俺は一年の皆の輪に戻った。
「あいつら、やばない!?」
部活が終わった後、コート整備をしながらアッキーが叫んだ。
「わかる。めっちゃ空気凍ったよな~」
と加藤も頷く。一年しかおらんコートでは、みんな口が軽くなるようや。今日の顛末を、わいわいと話し出す。ちなみに、渉と沙也さんはジャグ洗いに行っていて、ここにはおらん。
「うーん……渉がいうには、沙也さん運動部初めてらしいから。あんま縦とか知らんらしいし……」
「いや、縦とか言う問題かあ? 言葉きつすぎやろ!」
当人のおらんとこで、あんま言うと気まずいさかい。取りなそうとしたものの、アッキーは目をつり上げた。
「大体、ジャグ洗いの当番決めるときもさあ、酷かったやんか!」
「そうそう~。普通に当番やのに、「近づくな!」とか言うてさあ……な~、田中」
「ああ……まあ、仕方ないんやろけどさ」
田中も顔を顰めた。当番を決めるときの悶着を思い出し、俺の心もずっしり重くなる。
一年で回しとるマネ業では、コートの準備と買い出し、ジャグ(飲み物)の準備を分担してんねん。コート整備は皆でやるけど、ジャグは二人一組でやっとんのよな。ところが、沙也さんは田中と組むのを嫌がったわけ。
『身の危険を感じるので、渉以外と組みたくありません』
あんまりな言い草に、気色ばんだみんなを宥めたのは、渉やった。
『沙也はオメガやから、怖いこともあんねん。悪いけど気遣ったって』
って。そう言われると、もう誰もよう言わんやん。それで、渉が沙也さんと組むってことで、話はついたんやけど――。
「はあ……」
俺は、ため息を吐く。
『つむぎみたいに、沙也はガサツと違うから』
あん時、渉が笑って付け足した言葉が、胸に刺さってたりする。ガサツくらい言われ慣れとるんやけど、なんか深かった。渉が「自分が沙也と組む」って言い張ったせいかも。
――俺が沙也さんと組むよって言うたのに。洗い物なんか、きらいなくせに……
もやもやを思い出しながら、外したネットを畳む。
でも、このままじゃあかんよな。
「ごめんやで、みんな……」
なんか、俺が怒鳴ってしもたせいで、みんなの鬱憤に火がついてもた気がする。すると、みんなは「つむぎが謝んなさ~」と励ましてくれる。ほんまに良い奴らや。
――でも、まずいって。みんな優しいから、許してくれとるけど……いつか、どかんってきてまうで。
大事な試合だって近いのに、部活の空気が悪いとか。
頑張って、頑張って、やっと得られたインターハイの切符やのに。
先輩らともぎくしゃくしたくないし……そう思っとったら、箒を抱えた田中が近づいてくる。
「どうした?」
「田中……俺、ちゃんと渉と話すわ」
「悪いな、つむぎ」
心配そうな田中に、笑って見せる。ここは幼なじみとして、彼氏として俺が頑張らなな!
*
「ほいしょっと」
ことこととスープの煮立つ鍋に、カレールウを割りいれた。とろとろになるまで混ぜると、スパイシーな匂いがキッチンに充満する。
今日の晩御飯は、カレーライスや。昨日で作り置きを食べてしもたから、慌てて作っとる最中なんやな。カレーを作るくらいの材料は、冷蔵庫にいつでもストックしとるから、問題ない。
――……とはいえ、たまには自分以外の手料理食べたいわぁ~ん。
お父ちゃんとお母ちゃんが、二人で頑張ってくれてるから、わが家はなりたっとるわけやけど。部活でくったくたの日は、「ただいまー」のタイミングでごはんが出来てへんかなぁ、と思ったりせんでもない。
「はらへった~ああ~ふんふん」
アホみたいな歌うたっても、一人やと寂しい。「何やってんねん」とか突っ込んでくれる人がおるから、学校とか渉の家が好きや。
中学までは、渉がしょっちゅう「家来いよ」って言うてくれたのになあ。はぁ。
「おっしゃ、できた」
そうこうしとる間に、つむぎ特製チキンカレーの完成や。定番やけど、夏のカレーはうまい。つけあわせに大根サラダも作ったし、爽やか尽くし。
「……簡単すぎかな……? でも、あいつ大根好きやしな。ええか」
棚から、皿を出していると――テーブルの上のスマホが着信を告げる。どきっとして、飛び上がった。慌てて見れば、メッセージが一件。
『もうつく』
って、内容を読みおわるかどうかで、インターホンが鳴った。
「渉」
「おす。今日、カレー?」
玄関に出迎えれば、渉がいた。ひょいと片手をあげて立っとるから、「上がって」と促す。
今日、話せへんかって連絡しとったんよ。
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