僕の考えた最強ドラゴンで世界征服~復讐を誓う悲劇の王子は50年前へと遡る!行こうアヴァロン、殺戮の始まりだ~

泥水すする

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第3章 戦争の幕開け

第12話 ドラゴンズロードの対話

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 デイトナの戦線布告から既に一ヶ月が過ぎた頃合い。
 世界は初め軍を持たないデイトナ戦線を軽視していたが、次第にその危険性を無視出来ない状況にまで追い込まれていた。

 [アークスター軍]と[ゾロマンティス軍]の属国は悉く破れ、デイトナ達に侵略されていく。一ヶ月経った今では世界の三分の一はデイトナ戦線の支配下とあり、またデイトナ戦線に感化され、常日頃から戦争に不満も募らせていた人民達による暴動が世界各地にて繰り広げられつつあった。

 そんな中、[アークスター軍]と[ゾロマンティス軍]に次ぐ第三勢力ーー世界革命軍[ドラゴンズロード]が密かには動き出して…

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 とある昼下がりのことだった。
 この日は束の間の休息として、各々が自由な時間を過ごしていた。

 僕はアヴァロンと共に近隣の森へ。辛うじて先の侵略に於ける火の手を免れた緑豊かな森の大地にて、穏やかなる時間を満喫していたーーそんな時である。

「デイトナ様、何やらこちらに武装した連中が近付いてきているようです」

 木の茂みから突然に現れたルーシェはそう言った。

「敵、なのかい?」

「まだ分かりません。ただ、小規模です。見るからに争いに来たという風には見えませんでしたが…」

「そうか…報告ありがとうルーシェ」

「…いかがなさいますか?」

「僕が行くよ。相手がどうであれ、負けることはないだろうしね」

 そう言って立ち上がった僕の手を、アヴァロンが強く引いた。

「……私も行く」

「え?いいよアヴァロン。君はゆっくりしていなよ」

「……いや、デイトナと一緒がいい」

 アヴァロンは強い眼差しを向けて言った。こうなってしまえば、最早僕が何を言ったってアヴァロンは聞く耳を持たないだろう。

「…分かったよアヴァロン。じゃあ一緒に行こう」

「……うん」

「え、アヴァロンが行くなら私も…」

 すかさず口を挟んだルーシェ。

「え、ルーシェも来るのかい?」

「だって、アヴァロンが行くのでしょう?アヴァロンにもしもの事がないとも言い切れませんですし」

「大丈夫だよ、僕がついてる」

「信用なりません」

 ルーシェは間髪入れずにそう言った。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 同じ頃、デイトナ達の潜伏する[ルスタチア王国跡地]に向けてとある部隊が進行していた。

 50名程の兵士を連れて先頭を歩く女性ーー名を[ポルーチェ]。世界革命軍[ドラゴンズロード]第三部隊の隊長である。

ポルーチェはこの日、第三部隊を引き連れ[デイトナ]との接触を図ろうとしていたのだった。

「本当にこんな場所にいるんですか?」

 ポルーチェの横にピタリと付いて歩く彼ーー副隊長[オーズベルト]。不安そうにはポルーチェを見て言った。

「さぁね」

「さぁねって…無計画過ぎませんかぁ?」

「何よオーズベルト、この私にケチをつけるわけ?」

「そ、そうじゃありませんけどぉ…相手はあのデイトナ・カーストですよぉ?死んじゃうかもしれないじゃないですかぁ?」

 と、覇気のない声を上げるオーズベルトとは根っからの臆病者であった。故にオーズベルトは最近物騒な話題の元となりつつあるデイトナ・カーストという少年を酷く恐れていたのだった。

「別に戦争にしに行くわけじゃないわ。ただ、話し合いをしに行くだけよ」

「いやいやぁ、我々がそのつもりでもデイトナ戦線の方々が聞き入れてくれる保証なんてないと思うんですよぉ…攻撃してきたらどうするんですかぁ?」

「その時はその時。大体、あなたがいるんだもの。別に怖いないわ」

「僕のこと過信し過ぎですってぇ~」

 と、オーズベルトは弱々しく言ってはうな垂れた。

「あなたが弱気なだけよ。もっと自分の力に自信を持ちなさい!」

 ポルーチェはオーズベルトの肩に手を置いては、背後に続く兵士達を一瞥して口を開いた。

「皆んな、よく聞いて頂戴。今日ここまで来た目的は争いをする為ではない…対話をするためよ。巷で話題のデイトナ・カーストという少年がどういった存在なのか、我々はまだ知らない。知らないからこそ知る必要があると私は思うの。これはその為の対話よ…、くれぐれも物騒な真似はしないで頂戴ね?」

「「「かしこまりましたポルーチェ様!!!」」」

 一斉には怒号にも聞こえる返事をした兵士達を目の当たりにして、ポルーチェはため息を吐いた。

「ほんとに分かってるのかしら…」

 ポルーチェがそう言うのも無理はなく、彼等ーー第三部隊とはポルーチェを心より慕っていた。故にポルーチェの身に危険が迫ろうもんならポルーチェの命令を無視して剣を取るだろう事が伺えたからである。

 そもそもだ、ポルーチェはこの日部隊を引き連れて来るつもりはなかった。予定ではオーズベルトとの二人で向かうはずだったのにも関わらず、いざデイトナの元へ出向こうとした矢先にも、どこからともなく現れた第三部隊はぞろぞろとポルーチェの後をついてきたに過ぎない。

「いやぁ慕われるのもいいですがぁ、ここまで来ると考えものですよねぇ」

 オーズベルトは人ごとのようにはポルーチェを見て笑っていた。実際に人事としか考えてないだろうオーズベルトの言葉に、ポルーチェはまたもやため息を吐いた。

「オーズベルト、あなたも副隊長なら何か言って頂戴よ?」

「無理ですよぉ?だって皆んなポルーチェ隊長の事大好きですから、僕なんかが茶々を入れたら殺されちゃいますよぉ?」

「はぁ、あなたねぇ…実力は確かなんだから少しは副隊長らしくしなさいよ」

「…いやだってぇ~僕は別に副隊長をやりたくてやってるわけじゃかいですしぃ、ポルーチェがやれやれって煩いから仕方なくやってるだけなんですぉ?それに、実力といっても僕なんてまだまだポンコツですよぉ」

「何よそれ嫌味?[七人の剣王セブンソードマスター]の一人であるあなたがポンコツだったら私は何だって言うのよ?」

 ポルーチェは呆れたように言ったーーー次の瞬間だった。

「やぁ、みなさん。これからどこかへ行かれるおつもりですか?」

 ポルーチェの視界先に、満面の笑みを浮かべた少年が立ちはだかっていた。

 またその後ろ二人の少女が控え、ポルーチェと目が合った瞬間にも小さくお辞儀をした。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「あなたが…デイトナね?」

 僕の視界先に映る彼女は開口一番にもそう尋ね聞いてきた。

「ええ、そうですけど。あなたは?」

「私は世界革命軍[ドラゴンズロード]第三部隊隊長ポルーチェ・ベルトリスです。今日は話し合いの場を設けて頂きたく参上しました」

『…ああ、彼女がポルーチェ・ベルトリスか…成る程ね』

 面識はないが、その名と風態は以前どこかで聞いたことがあった。くすみのないブロンド色の髪に靡かせ、宝石のように煌めく翠色の瞳で僕を見つめるその姿はまさに噂に違わぬ美貌だった。

 以前と言っても、それは時を遡る前のことであるが、このポルーチェという女はそこそこ有名人であった。

 世界革命軍[ドラゴンズロード]のポルーチェ・ベルトリスーー[閃光の戦乙女]と言えば世界で通用する二つ名である。

「で、ポルーチェさん。話し合いというのは?」

「…そうね、私達はあなた達を知る為に、今日ここまで来た」

「…知る為に?」

「そうです。私達革命軍はあなた達をよく知らない…いえ、私達だけじゃないわ。多分、世界はまだあなた達がどういった存在かをよく知らないの。いきなり現れては、瞬く間に世界侵略を始めたあなた達
とは一体何者で、どういった目的の元猛威を振るうのか…今日はそれを知るための話し合いにと参上致しました」

 そう言って、ポルーチェは武装を解除し武器を地面へと置いた。そんなポルーチェに続き、後ろに続く兵士達もまた武器を解除していく。
 
 どうやら本当に戦うつもりはないようだったーーただ、その中に於いて武装解除を行わない青年が一人いた。

「…ふふ、お前だけは僕とやり合うつもりかい?」

「…ふぇ?ぼ、僕ですかぁ!?」

 僕が視界を向けた矢先にも、おろおろと慌てふためく彼ーーオーズベルトに関してはよく知っていた

「確か[霧立ちの剣王]だったかな…[七人の剣王セブンソードマスター]の一人だったよね?」

「え、えぇ!?そうですけどぉ、え、え?」

「ば、馬鹿者!剣を置きなさい!」
 
 ポルーチェは慌てた様子でオーズベルトの腰の剣に目線を向け言った。

「あ、これですかぁ!?そそそうですよね!?分かりましたぁ!!そぉ、れぇ!!」

 ルーズベルトは剣を抜くと、そのまま勢い良く茂みへと投げ捨てた。

「馬鹿者!置けとは言いましたが投げろとは言ってないでしょう!?剣士たるもの剣を存外に扱うとはどういうつもりですか!?すぐにとってらっしゃい!!」

「は、はいぃ!!」

 わざとやっているのか、その一連の光景に目を奪われていた僕の背後でルーシェが「馬鹿ですね」と呟いた。

「ああ、そうだね。でも油断はしない方がいいよ。彼、あれでも実力は本物だから」

 そう、僕の記憶が正しければ[霧立ちの剣王]と言えば[七人の剣王セブンソードマスター]の中でも別格とは呼ばれていた剣豪である。

 年は成人前とまだ若いが、その剣の腕は他の剣王をも遥かには凌駕しているとされていた。

 あのおっとりした雰囲気からはそんな様子は一切感じられないが、間違いなくこの場にいる兵士達の中に於いて頭一つ抜けた存在であることに間違いはない。
 
「……じゃあデイトナ、先に殺しとく?」

 無邪気な口ぶりではアヴァロンが言った。

「いや、今は様子を見よう。それに…もしかしたらアヴァロン、今の君じゃ少々荷が重いかもしれない」

「……そんなに、強い?」

「ああ、多分ね」

「御言葉ですがデイトナ様、この世にアヴァロン以上の強者はいないのでは?」

 と、首を傾げたルーシェ。

「もちろんだよ。ただね、オーズベルトは少し特殊でね。彼は剣王である傍ら、こうも呼ばれてるんだ……ドラゴンスレイヤー竜殺しの一族…とね」

 

 
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