僕の考えた最強ドラゴンで世界征服~復讐を誓う悲劇の王子は50年前へと遡る!行こうアヴァロン、殺戮の始まりだ~

泥水すする

文字の大きさ
26 / 30
第4章 変わる世界と思い

第21話 演説

しおりを挟む

 場所移り、次に僕とアヴァロンは建物の階段を下ってやたら大きな地下室へと通された。これまた見事な黒装束に身に包んだ[天竜使徒]達が詰め寄っていた。そこそこ広い地下ではあるが、数がその広さを圧倒していた。

「これ皆んな[天竜使徒]の人たちなのかい?」

「ええ、その通りです」

 リボンズは言って、そして口を大きく開いては、「皆の者、教祖のお通りである。道を開けよ!」とは、騒めく[天竜使徒]の皆々に叫び伝えた。そうした次の瞬間、地下に集まった[天竜使徒]の視線一切が僕らへと集中し、感嘆に満ちたどよめき声が其処かしらから児玉していた。

 そしてサッと人集りは避けてひとつの道ができる。

「うん、悪くない気分だ。君もそう思うだろ、アヴァロン」

 アヴァロンは首を傾げて、

「…よく、分からない」

 と疑問そうに呟いた。

「要するにさ、皆んな僕たちを歓迎してくれているんだよ」

「…皆んな、デイトナの為に集まっている?」

「ああ、そうだよ」

「…なら、それは良いこと」

 アヴァロンはニッコリと笑った。僕個人の為に集まったというわけではないが、アヴァロンからすれば僕だけ評価されればそれだけで充分なのだろう。

「…今はそれでもいい。でも、いつかはアヴァロン、君がその立場になるんだからね?よく覚えて置くんだよ?」

「……よく分からないけれど、覚えて置く」

 アヴァロンは嬉しそうにコクリと頷いた。

「では教祖、壇上へ」

 そう言って、リボンズが道の先にはある壇上へと指先した。どうやらあそこに上がって皆の前に立つ、ということらしい。

「じゃあ行こうアヴァロン」

「……うん」

 アヴァロンの手を引いて、地下一杯に響き渡る歓声を受けて、僕らは壇上へと上がった…

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「遅いですね」

 そう言ったのはルーシェ。かれこれ一時間は戻らないデイトナ達のこと気にかけ始めていた。今は別部屋に待機し、粗末な宅をマントとアブゾーブで囲っている最中である。

 そんなルーシェの言葉にマントが反応した。

「仕方ないでしょう。何せ我々[天竜の遣い]は今では有名人なのです。今頃怒涛の質問責めでも食らってるのではないでしょうか?」

「デイトナ様が答えるわけがないわ。だって、デイトナ様ケチだもの」

 ルーシェは口元を緩めて、笑っては言った。そんなルーシェにアブゾーブが口を開いて、

「ところでルーシェ、お前とデイトナはどんな関係なんだ。アヴァロン様はともかくとして、お前は人の下につくような玉には見えないが」

「…どういう意味?」

「つまりだ、お前にはお前のがあるんじゃねーのか?」

 アブゾーブはキッパリとした口調で言った。それはルーシェと実際に対峙し敗北したアブゾーブの素直な疑問にして、アブゾーブの予測が正しければ、実力だけで言えばルーシェはデイトナに優っていると、そう考えていた。

「確かに契約印を結んでいるという関係なのは知ってるぜ。それでデイトナに逆らえないことは百も承知だが…ただ、それは飽くまで生死に関わる契約印だろ?つまり、デイトナが死ねばルーシェも命を落とす…というだけのものであって、別に命令に従う必要はないんじゃねーのか?」

「あら、トカゲの癖によく知ってるじゃない」

「まぁな、俺もかつて契約印で縛られていたことがあるからな…あと、俺はトカゲじゃねぇ!!」

 怒りを露わにしてルーシェを睨みつけるアブゾーブに対峙、マントは割って入ると「まぁまぁ」と口を挟んで、

「でも、アブゾーブ様の意見には私も同意です。我々は仕方ないにしても、仮にも竜王の血を引く貴女ならいくらだってデイトナ王子から逃れる手段はあったはずです。だったら、デイトナ王子に服従する違うがあるのではないか…と」

「その言い方だと、まるで私がデイトナ様を利用する為に従っているように聞こえるのだけど?」

 髪をかきあげ、じっとりとした眼差しをマントに送るルーシェ。『この私を疑っているのか?』とは言いたげであった。

「…僕には、に見えます」

「そう、なんだ…ふふふ」

 ルーシェは意味深な微笑みを浮かべはすれど、言葉を口にすることはなかった。つまり答えるつもりがない、とはマントは自ずと理解して、

「…飽くまでも予想なので、お気に障ったのなら謝ります」

 ペコリと頭を下げて謝罪した。

「何よ、散々言いたいことばっか言っておいて今更『予想です』だなんて通用するわけないじゃない…ふふ、まぁいいけど」

 と、ルーシェは席を徐に立ち上がった。

「無駄話はこれでおしまい。行きましょう」

「行くって、どこにだよ?」

 アブゾーブは尋ねた。

「決まってるじゃない、我らが主人の元へよ」

「待て待て、デイトナは今[天竜使徒]の奴らと話し合ってる最中じゃないのか?」

「さぁね」

 ルーシェはあっけらかんとした態度で答えた。

「さぁねって、お前なぁ…デイトナ達の話し合いを邪魔するつもりかよ?」

「そのつもりはないけど、最悪そうなってしまうかもね」

「おいおい、それはいくら何で勝手がーーー」

 と、アブゾーブはそこまで言いかけて、はっ、と何かに気づいたようには目を見開いて、

「…もしかして、デイトナは[天竜使徒]をどうにかするつもりでいるのか?」

「それを確かめにいくのよ。大体、デイトナ様はかなりのせっかちなの。だからね、私の知ってるデイトナ様なら話し合いに一時間もかけるようなことはしないはずだわ。大方変な悪知恵でも考え付いたんでしょ」

「…確証は、あるのですか?」

 マントは神妙そうには呟いた。

「デイトナ様のお側にずっとお支えしてきた私の意見よ…確証があるに決まってるじゃない。それとも何、やはり私の言葉はそんなに信用できないってわけ?」

「い、いえ、そこまでは…」

 口ごもるマントに、ルーシェは挑発的な態度で、

「だったらついて来なさい。その後で判断したらどう?」

 答えて、部屋を出て行った。アブゾーブとマントは顔を向かい合わせると、互いに肩をすくめてはその後を追った…


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

婚約破棄上等!私を愛さないあなたなんて要りません

音無砂月
ファンタジー
*幸せは婚約破棄の後にやってくるからタイトル変更 *ジャンルを変更しました。 公爵家長女エマ。15歳の時に母を亡くした。貴族は一年喪に服さないといけない。喪が明けた日、父が愛人と娘を連れてやって来た。新しい母親は平民。一緒に連れて来た子供は一歳違いの妹。名前はマリアナ。 マリアナは可愛く、素直でいい子。すぐに邸に溶け込み、誰もに愛されていた。エマの婚約者であるカールすらも。 誰からも愛され、素直ないい子であるマリアナがエマは気に入らなかった。 家族さえもマリアナを優先する。 マリアナの悪意のない言動がエマの心を深く抉る

処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!

秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。 民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。 「おまえたちは許さない」 二度目の人生。 エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。 彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。 1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。 「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」 憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。 二人の偽りの婚約の行く末は……

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...