とある男に惚れた女の末路

雪月花

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第1話 出会い

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暑い。
暑すぎる。
なんでこんなに暑いんだ?


「そりゃ、やっぱ夏だから、だろ。」
「あ?」
「うわぁ、いきなり睨むなよ。」
「なんで分かったんだよ。」
「ハルはね、分かりやすいんだよ。」
「あ?何が?」
「その“あ”が怖いんだって前にも言ったと思うけど。」
「イヤなら話し掛けるな。」
「ん~それはムリだな。」
「あ?」
「もー、だからやめてってww」


……不毛すぎる。
こんな会話意味無い。
そう思った俺は、(一応)友人のこいつから窓の外に視線を移す。


「あー今、面倒な奴って思っただろ?」
「……。」
「はぁ…あ、そういえば今日、転校生くるらしいんだ。」
「へー…。」
「噂によると、ものすっごい美人らしいよ。」
「ふーん。」


そのとき、丁度いいタイミングでチャイムが鳴った。


「んじゃ、また後でな。」


そう言って自分の席に戻っていく。


(人騒がせな奴。)


窓の外には入道雲が広がっている。
そういえば、あの日こんな空の下で約束したんだよな。



 * * * * * 



「君、どこの子?」


そう言って、僕に近づいてきた。


「っ…、えっ…と…その…。」


その子は一言で言えば美人だった。
まるで次元の違う子が目の前にいるのではないか、とそう思うくらいに。


「?」
「えっと、この近くに住んでいて。」
「この村の子?」
「はい。」
「山に遊びに来たの?」
「はい。」


今日は天気がいい。
だから虫でも捕まえたくて、虫かごと虫取り網を持ってここまで来たのだが。


「山には入らないほうがいいわ。」
「へ?」
「違うところで遊ばない?確か、下の方に川があったから。」


そういって僕の手をとり、歩き出す。
その手は、とても冷たかった。



 * * * * * 



「今日はうちのクラスに転校生が入ることになった。」


その声で現実に戻される。


「山田美奈です。これからよろしくお願いします。」


(え………。)


時が止まったような気がした。
あの子とよく似た子が目の前に現れたのだ。
でも、違うということは分かっていた。
それでも目が離せないのはどうしてだろう。


「なぁ、あの子すっごい美人じゃね?」
「俺ああいう子、彼女にしたいな。」


似ている。
でも、どこか違う。違う。違うんだ。
どうして違うと思うんだろう。

そうだ、あの子は…
俺の初恋のあの子は、もう…。

もう、どこにもいないんだ。
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