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第二章 ゲーム開始
026-2
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「アルフレッド様とお兄様以外の攻略対象は、このメンバーよ」
★フィルバート・エンフィールド
《不良系年下枠》
赤みのある茶色い髪と茶色い瞳、一代で巨万の富を築いた商売人の父を持つ。
父の少々阿漕な手を使う商売の方法に、反発している。
「実は年齢だけじゃなく、アルたんより身長も低いの。実はここも萌えどころなのよー!」
「萌えどころは今聞いておりません。はい、次」
★アーネスト・ハンフリー
《クールな野心家枠》
子爵家の次男坊。比較的低い爵位の家の出だが、学院での成績が良く、密かに向上心と野心を燃やしている。
常に上手く立ち回るために計算して行動しているが、それゆえときに疲弊してしまうことがある。
「そんな疲れたアーネストを癒すのがアルたんの優しさ……」
「その情報は今不要です。はい、次」
★ランドルフ・ソーントン
《大人包容力枠》
攻略対象の中で、唯一の社会人で三十歳。高等学院の教師。
「ソーントン……? どこかで聞いたような…………あっ!」
シルヴィアは記憶をたどり、つい最近受けた授業でその名前を聞いたことを思い出した。
「どうかした?」
「ランドルフ・ソーントン。先日受けた、魔法学の教師です」
「その人ってかなり上背があってガッシリした体格? あと黒髪にサファイアブルーの瞳だった?」
「あ、はい。その通りです。教師と言うより兵士のような、筋肉質な感じの体型でした」
「やっぱり! 間違いないわ。その先生も、攻略対象よ。じゃあ、アルたんやお兄様の他、かくれキャラのフェリクス様を含めて、攻略対象はこれで全員揃ったわ」
うんうんと頷くメリーローズに対し、シルヴィアはどこか腑に落ちない様子で考え込む。
「どうしたの?」
「いえ、……攻略対象だったにしては、ミュリエル嬢もソーントン先生も、授業のとき、お互い無反応だったと思って」
「あら、それでいいのよ。ランランとのフラグが立つのは、ミュリエルが生徒会に入ってしばらくしてからだもの」
(ランラン……)
たぶん「ランドルフ」から取ったあだ名なのだろう。ソーントン教師の風貌からは、似ても似つかない名前を、よく考えつくものだと逆に感心する。
「確認ですが、ミュリエル嬢がフィルバート殿、アーネスト様と出会ってフラグが立つのは、生徒会に入るときなのですね?」
「そう。お兄様の推薦でミュリたんが生徒会メンバーに選ばれるのが二週間後だから、その頃にさりげなく、わたくしたちも生徒会室へ遊びに行けば、フィルフィルやアネアネの様子を直接観察できるわ」
(フィルフィル……アネアネ……)
シルヴィアは、反応したら負けだと思った。
とはいえ、一つだけ突っ込みを入れておきたい箇所がある。
「先生、質問です!」
メリーローズがノリやすいよう、教室ごっこで質問する。
「はい、シルヴィアくん」
案の定、間髪入れずに教師になりきった。
「フィルバート殿は『不良系年下枠』とありますが、ミュリエル嬢から見ればフィルバート殿は年上ではありませんか?」
「やっだー、だってアルたんから見れば年下でしょう?」
間髪入れずに教師の仮面が剥がれた。
「先生、いえお嬢様。とりあえず、今は『対ミュリエル嬢』の対策を練っておりますので、アルフレッド殿下ではなくミュリエル嬢から見た関係でお願いします」
「ええー」
「文句を言わない! いいですか、これはお嬢様やランズダウン家の方々の命がかかっているのですよ!」
「わかったわ。命あっての物種。命あってのBLよね」
メリーローズはまだ少し不服そうながら、最後の攻略対象の説明を始める。
★フェリクス・ロード
《闇落ちストーカー枠》
幼少期から病弱でほとんど王宮から出たことがなく、自分に自信がない。そのためミュリエルを好きになっても自分から積極的に行動せず、代わりに彼女の敵と判断した相手に危害を加える。
「フェリクス様とミュリエル嬢は、いつ、どこで出会うのですか?」
「生徒会室よ。彼は生徒会役員ではないけど、アルたんに会いに行ってミュリエルと出会うの。だからミュリたんが生徒会メンバーになって以降の話ね」
ゲームの中で、アルフレッドの弟ということからフェリクスはよく生徒会室へ遊びに行くそうだ。
しかも、最初に何度かプレイする間は、フェリクスから表立ったアクションがなかったため、かくれ攻略対象だということにも、気づかなかった。
「ま、だからこそ『かくれ攻略対象』なのよね」
ただ時々、メリーローズをはじめとするミュリエルへの対抗キャラが、突然ケガをしたり体調不良でしばらく出番が消えたりすることがあって、不思議には感じていたらしい。
「後から『フェリクスの仕業だった』ってわかったんだけど、初めの頃は急にゲームがスムーズに動いたなー、くらいの認識だったわ」
「それで、フェリクス様とミュリエル嬢とのフラグが立つのは、いつなのでしょう。やはり出会いの場面ですか?」
「ううん、違ったと思う。ただ、それがいつなのかっていうと、はっきり思い出せないのよね……」
他の攻略対象との間では、フラグが立ったり好感度が上がったりすると、エフェクトがかかるのですぐわかるが、フェリクスはそれがないのでわかりにくい、と説明する。
「『えふぇくと』って、何でしょうか?」
「あー、画面上でキャラの周りにキラキラーっとした光が見えたりするのよ」
「光…………?」
十九世紀ヨーロッパ風世界の住人であるシルヴィアでは、モニターに映るゲームの画面の話をしても、理解しにくいだろう。
どう説明すればいいかとメリーローズが思案していると、シルヴィアが思わぬ解釈をした。
★フィルバート・エンフィールド
《不良系年下枠》
赤みのある茶色い髪と茶色い瞳、一代で巨万の富を築いた商売人の父を持つ。
父の少々阿漕な手を使う商売の方法に、反発している。
「実は年齢だけじゃなく、アルたんより身長も低いの。実はここも萌えどころなのよー!」
「萌えどころは今聞いておりません。はい、次」
★アーネスト・ハンフリー
《クールな野心家枠》
子爵家の次男坊。比較的低い爵位の家の出だが、学院での成績が良く、密かに向上心と野心を燃やしている。
常に上手く立ち回るために計算して行動しているが、それゆえときに疲弊してしまうことがある。
「そんな疲れたアーネストを癒すのがアルたんの優しさ……」
「その情報は今不要です。はい、次」
★ランドルフ・ソーントン
《大人包容力枠》
攻略対象の中で、唯一の社会人で三十歳。高等学院の教師。
「ソーントン……? どこかで聞いたような…………あっ!」
シルヴィアは記憶をたどり、つい最近受けた授業でその名前を聞いたことを思い出した。
「どうかした?」
「ランドルフ・ソーントン。先日受けた、魔法学の教師です」
「その人ってかなり上背があってガッシリした体格? あと黒髪にサファイアブルーの瞳だった?」
「あ、はい。その通りです。教師と言うより兵士のような、筋肉質な感じの体型でした」
「やっぱり! 間違いないわ。その先生も、攻略対象よ。じゃあ、アルたんやお兄様の他、かくれキャラのフェリクス様を含めて、攻略対象はこれで全員揃ったわ」
うんうんと頷くメリーローズに対し、シルヴィアはどこか腑に落ちない様子で考え込む。
「どうしたの?」
「いえ、……攻略対象だったにしては、ミュリエル嬢もソーントン先生も、授業のとき、お互い無反応だったと思って」
「あら、それでいいのよ。ランランとのフラグが立つのは、ミュリエルが生徒会に入ってしばらくしてからだもの」
(ランラン……)
たぶん「ランドルフ」から取ったあだ名なのだろう。ソーントン教師の風貌からは、似ても似つかない名前を、よく考えつくものだと逆に感心する。
「確認ですが、ミュリエル嬢がフィルバート殿、アーネスト様と出会ってフラグが立つのは、生徒会に入るときなのですね?」
「そう。お兄様の推薦でミュリたんが生徒会メンバーに選ばれるのが二週間後だから、その頃にさりげなく、わたくしたちも生徒会室へ遊びに行けば、フィルフィルやアネアネの様子を直接観察できるわ」
(フィルフィル……アネアネ……)
シルヴィアは、反応したら負けだと思った。
とはいえ、一つだけ突っ込みを入れておきたい箇所がある。
「先生、質問です!」
メリーローズがノリやすいよう、教室ごっこで質問する。
「はい、シルヴィアくん」
案の定、間髪入れずに教師になりきった。
「フィルバート殿は『不良系年下枠』とありますが、ミュリエル嬢から見ればフィルバート殿は年上ではありませんか?」
「やっだー、だってアルたんから見れば年下でしょう?」
間髪入れずに教師の仮面が剥がれた。
「先生、いえお嬢様。とりあえず、今は『対ミュリエル嬢』の対策を練っておりますので、アルフレッド殿下ではなくミュリエル嬢から見た関係でお願いします」
「ええー」
「文句を言わない! いいですか、これはお嬢様やランズダウン家の方々の命がかかっているのですよ!」
「わかったわ。命あっての物種。命あってのBLよね」
メリーローズはまだ少し不服そうながら、最後の攻略対象の説明を始める。
★フェリクス・ロード
《闇落ちストーカー枠》
幼少期から病弱でほとんど王宮から出たことがなく、自分に自信がない。そのためミュリエルを好きになっても自分から積極的に行動せず、代わりに彼女の敵と判断した相手に危害を加える。
「フェリクス様とミュリエル嬢は、いつ、どこで出会うのですか?」
「生徒会室よ。彼は生徒会役員ではないけど、アルたんに会いに行ってミュリエルと出会うの。だからミュリたんが生徒会メンバーになって以降の話ね」
ゲームの中で、アルフレッドの弟ということからフェリクスはよく生徒会室へ遊びに行くそうだ。
しかも、最初に何度かプレイする間は、フェリクスから表立ったアクションがなかったため、かくれ攻略対象だということにも、気づかなかった。
「ま、だからこそ『かくれ攻略対象』なのよね」
ただ時々、メリーローズをはじめとするミュリエルへの対抗キャラが、突然ケガをしたり体調不良でしばらく出番が消えたりすることがあって、不思議には感じていたらしい。
「後から『フェリクスの仕業だった』ってわかったんだけど、初めの頃は急にゲームがスムーズに動いたなー、くらいの認識だったわ」
「それで、フェリクス様とミュリエル嬢とのフラグが立つのは、いつなのでしょう。やはり出会いの場面ですか?」
「ううん、違ったと思う。ただ、それがいつなのかっていうと、はっきり思い出せないのよね……」
他の攻略対象との間では、フラグが立ったり好感度が上がったりすると、エフェクトがかかるのですぐわかるが、フェリクスはそれがないのでわかりにくい、と説明する。
「『えふぇくと』って、何でしょうか?」
「あー、画面上でキャラの周りにキラキラーっとした光が見えたりするのよ」
「光…………?」
十九世紀ヨーロッパ風世界の住人であるシルヴィアでは、モニターに映るゲームの画面の話をしても、理解しにくいだろう。
どう説明すればいいかとメリーローズが思案していると、シルヴィアが思わぬ解釈をした。
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