悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

すえつむ はな

文字の大きさ
59 / 206
第二章 ゲーム開始

026-2

しおりを挟む
「アルフレッド様とお兄様以外の攻略対象は、このメンバーよ」


 ★フィルバート・エンフィールド
 《不良系年下枠》
 赤みのある茶色い髪と茶色い瞳、一代で巨万の富を築いた商売人の父を持つ。
 父の少々阿漕あこぎな手を使う商売の方法に、反発している。


「実は年齢だけじゃなく、アルたんより身長も低いの。実はここも萌えどころなのよー!」

「萌えどころは今聞いておりません。はい、次」


 ★アーネスト・ハンフリー
 《クールな野心家枠》
 子爵家の次男坊。比較的低い爵位の家の出だが、学院での成績が良く、密かに向上心と野心を燃やしている。
 常に上手く立ち回るために計算して行動しているが、それゆえときに疲弊してしまうことがある。


「そんな疲れたアーネストを癒すのがアルたんの優しさ……」

「その情報は今不要です。はい、次」


 ★ランドルフ・ソーントン
 《大人包容力枠》
 攻略対象の中で、唯一の社会人で三十歳。高等学院の教師。


「ソーントン……? どこかで聞いたような…………あっ!」

 シルヴィアは記憶をたどり、つい最近受けた授業でその名前を聞いたことを思い出した。

「どうかした?」

「ランドルフ・ソーントン。先日受けた、魔法学の教師です」

「その人ってかなり上背があってガッシリした体格? あと黒髪にサファイアブルーの瞳だった?」

「あ、はい。その通りです。教師と言うより兵士のような、筋肉質な感じの体型でした」

「やっぱり! 間違いないわ。その先生も、攻略対象よ。じゃあ、アルたんやお兄様の他、かくれキャラのフェリクス様を含めて、攻略対象はこれで全員揃ったわ」

 うんうんと頷くメリーローズに対し、シルヴィアはどこか腑に落ちない様子で考え込む。

「どうしたの?」

「いえ、……攻略対象だったにしては、ミュリエル嬢もソーントン先生も、授業のとき、お互い無反応だったと思って」

「あら、それでいいのよ。ランランとのフラグが立つのは、ミュリエルが生徒会に入ってしばらくしてからだもの」

(ランラン……)

 たぶん「ドルフ」から取ったあだ名なのだろう。ソーントン教師の風貌からは、似ても似つかない名前を、よく考えつくものだと逆に感心する。

「確認ですが、ミュリエル嬢がフィルバート殿、アーネスト様と出会ってフラグが立つのは、生徒会に入るときなのですね?」

「そう。お兄様の推薦でミュリたんが生徒会メンバーに選ばれるのが二週間後だから、その頃にさりげなく、わたくしたちも生徒会室へ遊びに行けば、の様子を直接観察できるわ」

(フィルフィル……アネアネ……)

 シルヴィアは、反応したら負けだと思った。

 とはいえ、一つだけ突っ込みを入れておきたい箇所がある。

「先生、質問です!」

 メリーローズがノリやすいよう、教室ごっこで質問する。

「はい、シルヴィアくん」

 案の定、間髪入れずに教師になりきった。

「フィルバート殿は『不良系年下枠』とありますが、ミュリエル嬢から見ればフィルバート殿は年上ではありませんか?」

「やっだー、だってアルたんから見れば年下でしょう?」

 間髪入れずに教師の仮面が剥がれた。

「先生、いえお嬢様。とりあえず、今は『対ミュリエル嬢』の対策を練っておりますので、アルフレッド殿下ではなくミュリエル嬢から見た関係でお願いします」

「ええー」

「文句を言わない! いいですか、これはお嬢様やランズダウン家の方々の命がかかっているのですよ!」

「わかったわ。命あっての物種。命あってのBLよね」

 メリーローズはまだ少し不服そうながら、最後の攻略対象の説明を始める。


 ★フェリクス・ロード
 《闇落ちストーカー枠》
 幼少期から病弱でほとんど王宮から出たことがなく、自分に自信がない。そのためミュリエルを好きになっても自分から積極的に行動せず、代わりに彼女の敵と判断した相手に危害を加える。


「フェリクス様とミュリエル嬢は、いつ、どこで出会うのですか?」

「生徒会室よ。彼は生徒会役員ではないけど、アルたんに会いに行ってミュリエルと出会うの。だからミュリたんが生徒会メンバーになって以降の話ね」

 ゲームの中で、アルフレッドの弟ということからフェリクスはよく生徒会室へ遊びに行くそうだ。
 しかも、最初に何度かプレイする間は、フェリクスから表立ったアクションがなかったため、かくれ攻略対象だということにも、気づかなかった。

「ま、だからこそ『かくれ攻略対象』なのよね」

 ただ時々、メリーローズをはじめとするミュリエルへの対抗キャラが、突然ケガをしたり体調不良でしばらく出番が消えたりすることがあって、不思議には感じていたらしい。

「後から『フェリクスの仕業しわざだった』ってわかったんだけど、初めの頃は急にゲームがスムーズに動いたなー、くらいの認識だったわ」

「それで、フェリクス様とミュリエル嬢とのフラグが立つのは、いつなのでしょう。やはり出会いの場面ですか?」

「ううん、違ったと思う。ただ、それがいつなのかっていうと、はっきり思い出せないのよね……」

 他の攻略対象との間では、フラグが立ったり好感度が上がったりすると、エフェクトがかかるのですぐわかるが、フェリクスはそれがないのでわかりにくい、と説明する。

「『えふぇくと』って、何でしょうか?」

「あー、画面上でキャラの周りにキラキラーっとした光が見えたりするのよ」

「光…………?」

 十九世紀ヨーロッパ風世界の住人であるシルヴィアでは、モニターに映るゲームの画面の話をしても、理解しにくいだろう。
 どう説明すればいいかとメリーローズが思案していると、シルヴィアが思わぬ解釈をした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。

三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*  公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。  どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。 ※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。 ※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。

アホ王子が王宮の中心で婚約破棄を叫ぶ! ~もう取り消しできませんよ?断罪させて頂きます!!

アキヨシ
ファンタジー
貴族学院の卒業パーティが開かれた王宮の大広間に、今、第二王子の大声が響いた。 「マリアージェ・レネ=リズボーン! 性悪なおまえとの婚約をこの場で破棄する!」 王子の傍らには小動物系の可愛らしい男爵令嬢が纏わりついていた。……なんてテンプレ。 背後に控える愚か者どもと合わせて『四馬鹿次男ズwithビッチ』が、意気揚々と筆頭公爵家令嬢たるわたしを断罪するという。 受け立ってやろうじゃない。すべては予定調和の茶番劇。断罪返しだ! そしてこの舞台裏では、王位簒奪を企てた派閥の粛清の嵐が吹き荒れていた! すべての真相を知ったと思ったら……えっ、お兄様、なんでそんなに近いかな!? ※設定はゆるいです。暖かい目でお読みください。 ※主人公の心の声は罵詈雑言、口が悪いです。気分を害した方は申し訳ありませんがブラウザバックで。 ※小説家になろう・カクヨム様にも投稿しています。

『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』

放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」 王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。 しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!? 「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!) 怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー

芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。    42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。   下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。  約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。  それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。  一話当たりは短いです。  通勤通学の合間などにどうぞ。  あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。 完結しました。

婚約破棄されたのでファンシーショップ始めました。 ― 元婚約者が、お人形さんを側室にしようとして大恥をかきました ―

鷹 綾
恋愛
隣国の王子から「政略的にも個人的にも魅力を感じない」と婚約破棄された、ファンタジア王国第三女王タナー。 泣きも怒りもせず、彼女が考えたのは――「いつか王宮の庇護がなくなっても困らない生き方」だった。 まだ八歳。 それでも先を見据え、タナーは王都の片隅で小さなファンシーショップを開くことを決意する。 並ぶのは、かわいい雑貨。 そして、かわいい魔法の雑貨。 お茶を淹れてくれるクマのぬいぐるみ店員《テイデイ・バトラー》、 冷めないティーカップ、 時間になると小鳥が飛び出すアンティーク時計――。 静かに広がる評判の裏で、 かつての元婚約者は「お人形さんを側室にしようとして」赤っ恥をかくことに。 ざまぁは控えめ、日常はやさしく。 かわいいものに囲まれながら、女王は今日も穏やかにお店を開けています。 --- この文面は ✔ アルファポリス向け文字数 ✔ 女子読者に刺さるワード配置 ✔ ネタバレしすぎない ✔ ほのぼの感キープ を全部満たしています。 次は 👉 タグ案 👉 ランキング用超短縮あらすじ(100字) どちらにしますか?

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

処理中です...