悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

すえつむ はな

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第三章 BL小説の存在、世に知られる

069-2

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「大丈夫?」

 微笑みながら、優しく抱きしめる。
 先ほどまでの情熱的な抱擁と違い、今はそっと包むようなハグだった。

「わ、わたくし……キスなんて、初めてで……」

 何も考えられず、正直に打ち明けてしまう。

「実は、僕もだよ」

(えっ…………?)

「僕も、今のがファーストキスなんだ」

 アルフレッドの照れたような笑顔に、メリーローズは頭から血が引いていくのを感じた。

(アルたんのファーストキスを……まさか、わたくしが奪ってしまうなんて……)

 今度こそ、メリーローズは気が遠くなり倒れてしまう。

「お兄様……ごめんなさい……」

 謎の言葉を残して。

「メ、メリーローズ。しっかりして、メリーローズ!」


「ど、どうしよう」

 意識をなくしたメリーローズの体を横抱きにして、部屋に入ろうとしたアルフレッドの目に映ったのは、バルコニーの入り口でサムズアップしたメルヴィンの笑顔だった。

「おい、笑っていないで中に入れてくれ」

「勿論だ。いや、なかなかに熱烈なラブシーンだったぞ! ところでメリーはどうしたんだ?」

「いや、その、気絶してしまって……」

「気絶するようなキス。……ま、まさかお前、舌を入れ……」

「入れてません!」

「じゃあ、なんでメリーは気を失ってしまったんだ?」

「僕だって聞きたいよ」

 ソファにメリーローズの体を横たえ、改めて状況を確認する。

「だから、その……キスは二回したんだ。そして、『愛している』と告白したら、『わたくしも大好き』と答えてくれたんだ」

「ふふん、いいね。いい感じだね。それで?」

 乗り出して聞くメルヴィンに、アルフレッドが不審な目つきになる。

「問題はその後だ。彼女は『これが初めてのキスだ』と言った」

「そうだろうね。で? 何でそんな目で俺を見るんだ?」

「……僕も『今のがファーストキスだ』と言った」

「そうか! 君も初めてだったんだね! まあ、いいじゃないか。それで?」

「その後、気を失ったんだよ。『お兄様、ごめんなさい』と言って」

「…………俺? 何で俺に謝るんだ?」

「僕が聞きたいね。なぜ君に謝る? 君たちは何か僕に隠していることはないか?」

「まっ、待て、待て待て! 何を疑っている? 俺たちは血の繋がった兄妹だぞ?」

「本当かなあ……」

 あらぬ疑いに、メルヴィンはアルフレッドの両肩を掴んで顔を近づけ、その目を見つめた。

「おい、いい加減にしろ。俺たちはちゃんと兄妹だし、人道にもとるようなことはしていない!」

「そういう行為はお止めくださいませ、メルヴィン様。無駄にお嬢様を興奮させます」

 いつの間にか、シルヴィアが二人の間に割って入っていた。
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