悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

すえつむ はな

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第三章 BL小説の存在、世に知られる

069 公爵令嬢、失神する

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 ゆっくりと、アルフレッドの唇が離れた。
 しかし、離れることで余計に今までどれだけ近い距離にいたかを実感し、猛烈な恥ずかしさに襲われる。

「あ、あああ……アルフレッド様……?」

「愛してるよ、メリーローズ」

「あっ……愛っ……?」

 聞き返す前に、また抱きしめられた。
 耳元で、アルフレッドが囁く。

「君は? メリーローズ。僕のことをどう思っているのか、教えて」

「ど、どどど、どうって……それは、その、大好きですわ」

 つい、普段から思っている言葉が出てしまった。

 この場面で「大好き」と言ってしまうことの危うさが理解できるほど、メリーローズの頭は回っていなかったのだ。

 一方アルフレッドにしてみれば、自分が「愛してる」と言い、「大好きです」と答えが返ってきたことで、メリーローズとは互いに同じ想いを抱いている、と判断する。
 当然のことだろう。

 キスも、抱擁も、愛の言葉も、彼女は受け入れてくれた。

(僕たちは、愛し合っているんだ)

 幸せで、天にも昇る心地だった。

 だからもう一度、その喜びを嚙み締めようとしたことについて、誰もアルフレッドを責めることはできないだろう。

「んむっ…………?」

 再びアルフレッドがメリーローズに口づけをしてきた。

 ほとんど雁字搦がんじがらめといっていいほど、強く回された腕の力で、腰が折れそうである。

(つっ……強い! アルたんの力、強い……!)

 服を着ているとほっそりとして見える腕だが、意外なほどに力が強く、がっちりホールドされてしまっていた。

(それに、思ったより、胸板……厚い……)

 他の男子生徒に紛れていると華奢に見える体だが、こうして密着されると意外に鍛えられた胸筋を感じる。

 メリーローズの妄想の中で、アルフレッドは抱きしめる側ではなく、抱きしめられる側であった。
 そして、愛するより、愛される方。

 何しろ理想の「受」なのだ。
 愛を受け取る側であり、こんな風に能動的に誰かに愛を捧げる方ではないのだ。

 メリーローズは、自分の中のアルフレッド像が崩れていくのを感じた。

 唇はまだ触れ合っている。

(こんなの前世でだって、ドラマとか、映画の中でしか見たことないのに)

 情熱的なキスなんて、美人女優がするものだ。

 自分がされるなんて、思ってもみなかった……


 気が遠くなりかけて崩れ落ちそうになる。

 その体を、アルフレッドが強く支えてくれた。
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