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第三章 BL小説の存在、世に知られる
086-2
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最初は議長になることに抵抗したシルヴィアだったが、他のメンバーからの強い要請で引き受けることになったのだ。
* * *
「なぜ、わたくしが議長なのですか?」
「だってシルヴィアさんて、頭がいいしー」とアデレイド。
「ええ、一緒の授業を受けていると、それはよく感じますね」とヘザー。
「頼むよ。君の冷静沈着さは、俺もよくわかっている」と、メルヴィン。
「シルヴィアは人に流されずに、間違っているときは、きちんと指摘出来るよね」とアルフレッド。
「わたくしとの掛け合い漫才で磨かれた、突っ込み力のおかげね」
……とは、後で自室に戻ったときにメリーローズから言われた言葉である。
「つまり、お嬢様のせいではありませんか!」
「そんなに怒らないで。わたくしが不出来なおかげで、シルヴィアの色々なスキルが磨かれて嬉しいわ」
「ええ、ええ、ありがとうございます!」
片頬をひきつらせながらシルヴィアは嫌味を言ったが、当然メリーローズには効果がない。
いつも通り笑顔で返されてしまった。
「どういたしまして。うふ」
* * *
さて、話を会議に戻そう。
「はい、アーネストくん」
シルヴィアに指されたアーネストが「コホン」と咳ばらいをして立ち上がった。
「この夏休み、僕はアシュビー家で伯爵家の領地経営について学んでいたのですが、そのとき気がついたことがございます」
「ほう、なんでしょう?」
「僕が愛する婚約者ヘザーは、幼少期からずっと視力が悪かったことで、現在も使用しているような分厚いレンズの眼鏡を掛けていた為、ご両親さえ彼女の美貌を知らなかったようなのです」
「…………それで?」
「以上です」
「…………そうですか」
シルヴィアはため息を吐いた。
「はい! わたくしからもついでに報告致します!」
今度はヘザーが挙手する。
「今の話の『ついで』ですか。期待出来ませんが、伺いましょう」
「わたくしの実家のアシュビー領は、シルヴィアさんのマコーリー領とわずかですが領地が隣接しています。地理的な近さから、もしやと思いシルヴィアさんが披露されたような術を知っている者がいないか、領民たちに聞いて回ったところ、似たような術が伝わっている家系が若干ながらございました」
「ほほう!」
「わたくしの母も元は領内の有力者の家系出身なのですが、わたくしにわずかながら魔力があるのも、母の血筋からでは? と推察したことからこの調査を行いました。とはいえ、これまで調べた中では人の心を操るような危険な術の確認は出来ませんでした」
「そうですね。わたくしが教わったときもそうですが、もしアシュビー領でも危険な術が伝わっていた場合、その術の存在自体を他者に漏らさぬよう戒めている場合が考えられます。ですので、本当に伝わっていなかった可能性もありますが、実は伝わっているという可能性も捨てきれません」
「なるほど、そうですね。でも、もし容易に他人には教えないようにと言われていたとしたら、それを実行に移す可能性も低いのでは? と思います」
「それも一理あります。が、万が一外部からの刺激、例えば金銭ですとか、地位といったエサでつられた場合、その戒めを守り続けてくれるかどうかは、個々人の意思に左右されてしまいます。これからも続けて領内の様子を監視し続けて頂けるようお願いいたします」
二人のやりとりを聞いていたエルシーが、感心したように頷く。
「普段から少し堅めの言葉遣いの二人だから、会議感が増しますね」
「聞いていると眠くなりますー」
アデレイドも頷いた。
* * *
「なぜ、わたくしが議長なのですか?」
「だってシルヴィアさんて、頭がいいしー」とアデレイド。
「ええ、一緒の授業を受けていると、それはよく感じますね」とヘザー。
「頼むよ。君の冷静沈着さは、俺もよくわかっている」と、メルヴィン。
「シルヴィアは人に流されずに、間違っているときは、きちんと指摘出来るよね」とアルフレッド。
「わたくしとの掛け合い漫才で磨かれた、突っ込み力のおかげね」
……とは、後で自室に戻ったときにメリーローズから言われた言葉である。
「つまり、お嬢様のせいではありませんか!」
「そんなに怒らないで。わたくしが不出来なおかげで、シルヴィアの色々なスキルが磨かれて嬉しいわ」
「ええ、ええ、ありがとうございます!」
片頬をひきつらせながらシルヴィアは嫌味を言ったが、当然メリーローズには効果がない。
いつも通り笑顔で返されてしまった。
「どういたしまして。うふ」
* * *
さて、話を会議に戻そう。
「はい、アーネストくん」
シルヴィアに指されたアーネストが「コホン」と咳ばらいをして立ち上がった。
「この夏休み、僕はアシュビー家で伯爵家の領地経営について学んでいたのですが、そのとき気がついたことがございます」
「ほう、なんでしょう?」
「僕が愛する婚約者ヘザーは、幼少期からずっと視力が悪かったことで、現在も使用しているような分厚いレンズの眼鏡を掛けていた為、ご両親さえ彼女の美貌を知らなかったようなのです」
「…………それで?」
「以上です」
「…………そうですか」
シルヴィアはため息を吐いた。
「はい! わたくしからもついでに報告致します!」
今度はヘザーが挙手する。
「今の話の『ついで』ですか。期待出来ませんが、伺いましょう」
「わたくしの実家のアシュビー領は、シルヴィアさんのマコーリー領とわずかですが領地が隣接しています。地理的な近さから、もしやと思いシルヴィアさんが披露されたような術を知っている者がいないか、領民たちに聞いて回ったところ、似たような術が伝わっている家系が若干ながらございました」
「ほほう!」
「わたくしの母も元は領内の有力者の家系出身なのですが、わたくしにわずかながら魔力があるのも、母の血筋からでは? と推察したことからこの調査を行いました。とはいえ、これまで調べた中では人の心を操るような危険な術の確認は出来ませんでした」
「そうですね。わたくしが教わったときもそうですが、もしアシュビー領でも危険な術が伝わっていた場合、その術の存在自体を他者に漏らさぬよう戒めている場合が考えられます。ですので、本当に伝わっていなかった可能性もありますが、実は伝わっているという可能性も捨てきれません」
「なるほど、そうですね。でも、もし容易に他人には教えないようにと言われていたとしたら、それを実行に移す可能性も低いのでは? と思います」
「それも一理あります。が、万が一外部からの刺激、例えば金銭ですとか、地位といったエサでつられた場合、その戒めを守り続けてくれるかどうかは、個々人の意思に左右されてしまいます。これからも続けて領内の様子を監視し続けて頂けるようお願いいたします」
二人のやりとりを聞いていたエルシーが、感心したように頷く。
「普段から少し堅めの言葉遣いの二人だから、会議感が増しますね」
「聞いていると眠くなりますー」
アデレイドも頷いた。
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