悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

すえつむ はな

文字の大きさ
175 / 404
第三章 BL小説の存在、世に知られる

086-2

しおりを挟む
 最初は議長になることに抵抗したシルヴィアだったが、他のメンバーからの強い要請で引き受けることになったのだ。

 * * *

「なぜ、わたくしが議長なのですか?」

「だってシルヴィアさんて、頭がいいしー」とアデレイド。

「ええ、一緒の授業を受けていると、それはよく感じますね」とヘザー。

「頼むよ。君の冷静沈着さは、俺もよくわかっている」と、メルヴィン。

「シルヴィアは人に流されずに、間違っているときは、きちんと指摘出来るよね」とアルフレッド。


「わたくしとの掛け合い漫才で磨かれた、突っ込み力のおかげね」
 ……とは、後で自室に戻ったときにメリーローズから言われた言葉である。

「つまり、お嬢様のせいではありませんか!」

「そんなに怒らないで。わたくしが不出来なおかげで、シルヴィアの色々なスキルが磨かれて嬉しいわ」

「ええ、ええ、ありがとうございます!」

 片頬をひきつらせながらシルヴィアは嫌味を言ったが、当然メリーローズには効果がない。
 いつも通り笑顔で返されてしまった。

「どういたしまして。うふ」

 * * *

 さて、話を会議に戻そう。

「はい、アーネストくん」

 シルヴィアに指されたアーネストが「コホン」と咳ばらいをして立ち上がった。

「この夏休み、僕はアシュビー家で伯爵家の領地経営について学んでいたのですが、そのとき気がついたことがございます」

「ほう、なんでしょう?」

「僕が愛する婚約者ヘザーは、幼少期からずっと視力が悪かったことで、現在も使用しているような分厚いレンズの眼鏡を掛けていた為、ご両親さえ彼女の美貌を知らなかったようなのです」

「…………それで?」

「以上です」

「…………そうですか」

 シルヴィアはため息を吐いた。

「はい! わたくしからもついでに報告致します!」

 今度はヘザーが挙手する。

「今の話の『ついで』ですか。期待出来ませんが、伺いましょう」

「わたくしの実家のアシュビー領は、シルヴィアさんのマコーリー領とわずかですが領地が隣接しています。地理的な近さから、もしやと思いシルヴィアさんが披露されたような術を知っている者がいないか、領民たちに聞いて回ったところ、似たような術が伝わっている家系が若干ながらございました」

「ほほう!」

「わたくしの母も元は領内の有力者の家系出身なのですが、わたくしにわずかながら魔力があるのも、母の血筋からでは? と推察したことからこの調査を行いました。とはいえ、これまで調べた中では人の心を操るような危険な術の確認は出来ませんでした」

「そうですね。わたくしが教わったときもそうですが、もしアシュビー領でも危険な術が伝わっていた場合、その術の存在自体を他者に漏らさぬよう戒めている場合が考えられます。ですので、本当に伝わっていなかった可能性もありますが、実は伝わっているという可能性も捨てきれません」

「なるほど、そうですね。でも、もし容易に他人には教えないようにと言われていたとしたら、それを実行に移す可能性も低いのでは? と思います」

「それも一理あります。が、万が一外部からの刺激、例えば金銭ですとか、地位といったエサでつられた場合、その戒めを守り続けてくれるかどうかは、個々人の意思に左右されてしまいます。これからも続けて領内の様子を監視し続けて頂けるようお願いいたします」

 二人のやりとりを聞いていたエルシーが、感心したように頷く。

「普段から少し堅めの言葉遣いの二人だから、会議感が増しますね」

「聞いていると眠くなりますー」

 アデレイドも頷いた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。 【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】 本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。 Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited. © 魯恒凛 / RoKourin

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

処理中です...