悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

すえつむ はな

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第三章 BL小説の存在、世に知られる

088 公爵令嬢の妄想、時と場所を選ばず

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 メリーローズが自ら生み出した妄想にのたうち回っている間に、噂の教師ランドルフ・ソーントンが生徒会室をノックした。

「はい、どうぞ!」

 メルヴィンがドアを開けてランドルフを中へいざなう。
 ランドルフは呼ばれてここまで来たものの、中にいる生徒会メンバー全員からの、やけにモジモジした歓迎の様子に戸惑った。

「あ、あのフェリクス。何か私に用事があると聞いたのだが……」

「はい、お待ちしてました」

 アルフレッドがフェリクスの肩に手を添えて、前に出る。

「フェリクス、君がお呼びしたのだから、君から説明申し上げて」

「あ、う、うん」

 その二人の様子を普通に見るならば、仲の良い兄弟の微笑ましいやり取りであるのだが……

(また、邪気が噴出された。お嬢様は勿論のこと、他の女子からも!)

 ここに集うBL本を嗜む女子学生は、全員今BL本が新刊の出版はおろか、市中に出回ることさえないと知っている。

 知っているとはいえ、だから新しい刺激がなくても我慢できるかと言えば、そうではない。
 我慢していればしているほど、BL本やその手の話への欲求は増しているだろう。

 そんな状況では、こんなちょっとした男子同士のふれあい――それが例え兄弟だったとしても――美味しい供給になってしまうようだ。

 * * *

「フェリクス、君から状況を説明して」

「は、はい、兄上」

 ランドルフは突然の王子たちからの呼び出しに応じて来た城の一室で、アルフレッドとフェリクス二人に迎えられて戸惑っていた。
 すると、目を伏せ頬を染めたフェリクスが「こちらへ」とカーテンを開く。
 その奥にはキングサイズ二つ分ほどもあろうかという、大きな寝台が置かれていた。

「こ……れは……」

「僕たち二人とも、ランドルフに惹かれているんです。でも、大好きな兄上と争いたくない。……でも、ランドルフを諦めることも……出来ない」

「それで、よく話し合った結果、あなたを僕たち二人でシェアしよう、という結論に至ったのです」

「わ、私を……シェ、ア……?」

 二人はランドルフの腕を、アルフレッドは右腕、フェリクスは左腕をゆっくりと撫でながら擦り寄ってきた。

「殿下方……、こ、困ります……」

「ふふっ……なんて逞しい腕……」

「ふふふっ……」


 * * *


「うふふっ……うふふふっ……」

 忍び笑いが漏れているメリーローズの背中を、シルヴィアがこっそりどついた。

「笑い声が漏れてます! 今から大事な話をするのをお忘れですか?」
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