悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

すえつむ はな

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最終章 BLよ、永遠なれ

174-2

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 大司教を責めるように騒ぎ立てた男を、アンガスが大司教の敵とみなす。
 事情を説明しようと彼に近づいた大司教の声から、「威嚇」の魔力が放たれた。

「聞きなさい。私は何もしていない。勘違いするな」

「ひいい……っ!」

 大司教に迫られた男が、狂気じみた悲鳴をあげる。

「も、申し訳ございません! お許しください! 殺さないでください! 命だけは助けてください!」

 その叫びを聞いた人々が、大司教に恐れをなした。

「大司教が、今度はあの男を殺そうとしている!」

 事態を見ていたシルヴィアは、魔力持ちのアンガスがこのパニックを引き起こしていることに気づいた。

「どうにかして、あの男を止めないと!」

 一方の大司教もまた、人々に劣らずパニックに陥りかけている。

「違う! 私は誰も殺そうとなんか……。し、信じてくれ」

 アンガスは、困っている大司教の様子に慌てだした。

「しまった。あいつらの頭から『大司教様が人を殺そうとしている』という考えを消さないと」

 今度は何を使えばいいか、わかった。
 大司教の声に乗せて、「忘却」を使う。

「……私は、何をしているんだ?」

「……ここは、どこかしら?」

「……俺は、誰だ?」

 大司教の近くにいた数名の人々が記憶を失くし、虚ろな目でぼんやりと立ち尽くしてしまった。

 その異様な光景を目の当たりにした人々はますますパニック状態になり、法廷の中は阿鼻叫喚といった様相になっていく。

「なぜだ。……なぜ、こんなことになった……」

 大司教は、人々が自分の姿を見て恐れおののき、出口へと殺到する様を見て絶望する。
 昨日まで、自分はローデイル王国の精神的支柱とみなされ、人々の尊敬を集めていたのに……。

「これではまるで、私が魔物か何かのようではないか……」

 そんな彼に、小さい影が声を掛けた。

「あ、あのっ……大司教様……」

 恐る恐る近寄ってくるアンガスを、大司教が怒鳴りつける。

「お前のせいだ……!」

「いえ、あの、俺は、大司教様のためにっ!」

「何が私のためか! 彼らの様子を見よ! もう私はお終いだ!」

 自分が立てた計画や、人生を掛けて築き上げたものが、瓦礫のように崩れ落ちてゆくのを大司教は感じていた。

(完璧だったはずだ。それに私は私欲を捨ててこの国の今と未来のために、動いてきたのに……!)

「認めぬ。こんなことは私は認めぬ」

 なぜこんなことになったのか。
 大司教は振り返り、アンガスを見た。

「……ひっ……!」

 その瞳の冷たさに、アンガスは悲鳴を上げる。

「アンガス、裏切ったな……。私を陥れるために魔力を使ったな……!」

「違います! 違います! 俺は、大司教様のためにっ……!」

 大司教は今や、アンガスが力を暴走させたのは、自分を裏切るつもりなのだと決めつけていた。
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