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第1章

第6話

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:アルフレートside

俺たちは筆記テストと実技テストを受けるため指定された場所に来た。

俺たちは入口で黄色の紙切れ2枚渡される。

「それは後程、説明がありますが大切に持っていて下さい。黄色の方は向かって左側、水色の方は向かって右側へ移動してください。」

中に入ると学院のエントランスホールで、早くも他の学生が集まっていた。
他の学生と言ってもほとんどが貴族で、ざっと40人はいるだろう。

俺たちはできるだけ距離をとり壁際にひっそりと立つことにした

そう、朝食中二人で決めたのだ。
今年の新入生で平民は俺たち2人。出来るだけ平穏な生活を送るため初日である今日は特に大人しくして、目立たないようにすること。

ただ、俺はもう無理な気がしている。
だってそこら辺にいる貴族の坊ちゃん共がこちらをチラチラ見てくるから。

そう、視線の先は俺の隣。

ミアはやや小柄ながらもハッキリとした顔立ちをしていて美人だ。
それに黙ってさえすれば、気品さえ感じられる。黙ってさえすれば。

ただ、本人にその自覚は1ミリさえないのでこれから俺は苦悩の日々を送ることになるだろうな…

くいくいっと俺の袖を引っ張るので耳を傾ける。

「なんか…アル、女の子達にすごい見られてるけど顔になんかついてるんじゃないの?」

「えっ、まじで。どう?ついてる?」

俺の顔をまじまじと見つめ頬に手を当てたり横に向かしたり

「何もついてないね…なんで見てくるのかな」

「……やっぱり平民だから珍しいのかもな。」

「ふふ…珍獣の気分だね」

「…今の見たか?」
「か、かわいい…」

そんなことを言いながら、思わず笑うミアに釘付けになる男ども。

人睨みしたいところだが相手は貴族。
くそっ、見てんじゃねぇーよ


「皆様、ご静粛にお願いします。
これより、クラス分け筆記テスト、実力テストを行います。
実技テストでは2チームに別れ簡単な模擬戦を行います。
どちらのテストも身分は一切関係ございません。両方の合計点でA~Cクラスにわけさせていただきます。なお、不正が発覚した場合、厳重に処罰させていただきますのでご承知ください。それでは、玄関で渡された紙の色ごとにチームで別れて頂きます。黄色の方は西へ、水色の方は東へ移動してください。」


司会の話を聞いたあと、男は嬉嬉として動き、女は面倒くさそうに移動し始めた。

「私達は向こうみたい。行こう」


案内された部屋で席につくと、問題用紙と答案用紙が渡される。

「回答時間は60分。終わったものは手を挙げて係員に回収させてください。回収されたら次の場所へ移動していただきます。…それでは始め」

紙をめくる

『以下の問題で対処方法を書け。
第一問:森にファイヤーボアが現れた。さぁ、どうする?』

前に倒したばかりだな

A.風魔法で槍を作って心臓を一突き、毛皮を剥いで水魔法で浄化。後は、解体してもいいし、そのまま精肉店に運んでもいい。

『第二問:街中にフライアントが大群で現れた。さぁ、どうする?』

あのでかい蟻かぁ…気持ち悪いんだよな…

A.水魔法で広域に雨をふらせ羽を潰す。その後雷魔法で一斉に焼く

『第三問:人が魔物に攫われた。どうする?』

A.人に結界を張って、浮遊で運んだら保護。魔物をある程度弱ませたら光魔法で浄化する。

こんな感じの問題がざっと30問。
流石にめんどくさかった……

ミアはしっかり書いてるんだろうか…

手を挙げて係員に回収してもらう。
次に移動したのは訓練場と呼ばれる、だだっ広い所だった。まだ俺しかいないので余計に広く感じるだけかもしれないが。
きっとここで実技テストなんだろうと思いながら準備体操をする。

数分の差でミアも到着した。

「次は実技テストか…。ねぇ、あの問題書くの大変だったよね!?」

「確かに、めんどくさかったな。でも、お前まともに書いたのか?」

「一応ね。途中から全部「殺す」にしてやろうかと思ったけどやめといた。どうせアルがまともに書いてるだろうから、クラス離れるの嫌だし。アルが書きそうな真面目な答えにしたわ」

クラスが離れるが嫌だってさ。嫌だって。
嫌だってさ!!!

俺は静かに喜びを噛み締める。
ついでに可愛いミアの頭を撫でる。

「おぉ、筆記テスト開始から僅か20分程なのに…もう来ておったか。」

歳を召したおじいさんは杖をつき、いかにも魔術師というローブ姿で訓練場に現れた。


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