愛される王女の物語

ててて

文字の大きさ
7 / 36
第1章 家族

義母

しおりを挟む
バァンっ

本日2度目、扉がなんの躊躇もなく開く。私はもう、目が覚めていて着古したヨレヨレのワンピースを着ていた。

「っ、あらあら。何かあったって聞いたけどじゃない。」

入ってきた貴婦人は紫色の髪に寄せた胸、大きく高そうな宝石がたくさん散りばめられたドレスを着ている。
ドミニカ様だ。

「12歳のお誕生日おめでとう。良かったわねぇ、無事、歳が重ねられて。」

ペコっと頭を下げる。

「ふん!ったく、そんな汚らしい格好して。辞めてちょうだい。ラベンナが真似してくれたらどうするのよ!」

そういい私を睨みつける。

「本当にゴミみたいね。聞いたわよ?ラベンナに失礼なことをしたそうじゃない。」

そういうとドミニカ様は右手をおおきく振り私の頬に落とした。

パンッ

「今日は外にいなさい。邪魔よ」


そう言ってドミニカ様は私の腕を引っ張り外に無理やり放り出した。尻もちをつく。

今日は外に出される日か…
まだ、鞭で叩かれるよりマシだよね


…せっかくだし、庭でも散歩しようかな。
いつもなら、お腹がすくのであまり動かず隅で座り込むのだけれど、今日はにんじんを食べれたし歩いても大丈夫そう。

多少ふらつきはあるが、ゆっくり歩きながらいつもは行ったことのない奥まで歩く。

辺りを見回すと一つだけ飛び抜けて大きなお屋敷があった。きっとあそこが王宮だろう。あの国王陛下と第1王子が住んでいらっしゃるらしい。

しばらく歩き、王宮と後宮の間の庭園を見渡す。たくさんの花が咲き誇っていた。

綺麗…
しっかり手入れをされていて、この花は愛されているのね。

「ねぇ、その頬どうしたの?」

後ろを振り向くと金髪に青の目をしたお兄さんが立っていた。驚いて固まってしまう。お兄さんは先程ドミニカ様に叩かれた頬を心配してくれてるみたいだ。

「それ痛くない?」

こくり、と頷いてみせる。

「ねぇ、ここで何してるの?」

何をしている…花を見ている
指で花を指す

そうすると彼は隣にしゃがみこむ。

「花が好きなの?」

いや、今日初めて見たのですが…
好きと言われたら好きかな。綺麗だから。こくりと頷いてみせる。

「………ねぇ君、喋れないの?先程から一言も声を発していないけれど。」

怪訝そうに問いてくる。

あ……ついクセになってしまっていた。ここにはラベンナお姉様も居ないし喋ってもいいのかな…?
この方は身なりが整っているし、偉い人の子供かも…私、とても失礼な態度とってるかも?

「い、いえ。もうし、わけござい、ません。
あまり、話すことにな、れていなくて…」

やはり、喉の調子は昨日に引き続き悪い。毒の影響…それとも今まで声を出さなかったのが原因か……

「謝らなくてもいいよ、良かった。話せるには話せるんだね。」

そう言い、優しく頭を撫でてくれる。
驚いた。メイドや使用人たち以外でこんなに優しく微笑んでくれる人がいるなんて…

思わず顔をまじまじと見つめてしまった。
その時に目が合うと、彼は一瞬手を止め目を見開く。

「……君、どこから来たの?誰か使用人の子ども?いや、そんなまさか…迷子じゃないよね。」

どこって言ってもあそこですが…

私は何気なく後宮の方へ指を指す。
お兄さんは私の指の方向へと視線をやってから2度ほど私を見た。

「……まさか」

そういうと、お兄さんはグイッと私を抱き上げる。

「きゃっ」

「ごめん、確かめたいことがあるんだ。
一緒に来て」

そう言ってお兄さんは走り出す。
風を切るような音を立てながらどんどん視界が変わっていった。

気づいたらどこかの建物の中に入り、ある部屋の前にいた。そこで下ろされ手を繋がれる。

コンコン

重厚な扉の音が響く。


「入れ」

中からテノールの声が聞こえた。




「失礼します。」










しおりを挟む
感想 342

あなたにおすすめの小説

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

【短編】お姉さまは愚弟を赦さない

宇水涼麻
恋愛
この国の第1王子であるザリアートが学園のダンスパーティーの席で、婚約者であるエレノアを声高に呼びつけた。 そして、テンプレのように婚約破棄を言い渡した。 すぐに了承し会場を出ようとするエレノアをザリアートが引き止める。 そこへ颯爽と3人の淑女が現れた。美しく気高く凛々しい彼女たちは何者なのか? 短編にしては長めになってしまいました。 西洋ヨーロッパ風学園ラブストーリーです。

大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた

黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」 幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。 小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。

BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。 父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した! メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!

処理中です...