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第44話:『食の聖女』の誕生
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レオン様との城下町デート(と私が心の中で呼んでいるだけだが)から数日が過ぎた。私の手に入れた未知の食材たちは次々と新しい料理へと姿を変え、帝国三巨頭の胃袋をさらに深く掴んでいった。
茄子もどきは味噌もどきと蜜で甘辛く炒めた『茄子味噌』となり、レオン様にご飯を三杯もおかわりさせた。炎豆は私の予想通り極上の『あんこ』へと生まれ変わり、それを使ったおはぎはギルバート様を感動のあまり五分間ほど無言にさせた。
私の日常は厨房と、そこに集う大切な人たちとの交流で満ち足りていた。だから、私は全く気づいていなかったのだ。
私の小さな厨房から始まった物語が、城壁を越え、アスガルドの城下町でとんでもない噂となって広まっていることに。
その噂は様々な場所で同時多発的に生まれていた。
発火点の一つは文官たちが暮らす官舎の一角。
あの日、私のオムライスを食べて劇的に回復した少年レオ君は、すっかり元気になっていた。彼の母親は井戸端会議で会う人会う人に、感謝と共にその奇跡を語って聞かせた。
「聞いてくださる? 月影の宮の姫様が作ってくださった魔法の卵料理のおかげなのよ! あれを食べたら、あんなにぐったりしていたうちの子が、次の日には駆け回るほど元気になって!」
その話は子供を持つ母親たちの間で瞬く間に広まっていった。「病気の子供を元気づける、不思議な料理を作るお姫様がいるらしい」と。
また別の発火点は騎士団の訓練場。
唐揚げの香りで気絶し、その唐揚げによって長年の疲労から解放された騎士クラウス。彼は陛下の「他言無用」という命令を固く守っていた。しかし、訓練で疲れ果てた同僚たちが体の痛みを訴えているのを見ると、どうしても黙っていられなかった。
「……いいか、ここだけの話だぞ。月影の宮の姫様の料理はただ美味いだけじゃない。食べると本当に嘘みたいに疲れが吹っ飛ぶんだ。俺のこの肩の痛みが一瞬で消えたんだからな…」
彼の囁きは騎士たちの間で「疲労を回復させる秘薬のような料理を作る姫様」という、伝説めいた噂となって密かに共有されていった。
そして最も騒々しい発火点は城下の酒場だった。
あの日、カツ丼によって魂に火をつけられた鍛冶職人たち。彼らは仕事が終わると酒場に集い、酒を酌み交わしながら、いかに自分たちが食べたものが凄かったかを大声で自慢し合った。
「聞いたか! 俺たちの姫様が作った『カツドン』の話を! あれはな、ただの飯じゃねえ! 魂の燃料だ! あれを食ってから俺の打つ剣の切れ味が三割は増したね!」
「おうよ! 姫様は俺たち職人の女神様だ!」
彼らの武勇伝は酒場の酔客たちによって、「食べると超人的な力が湧いてくる料理を作る姫様」という荒唐無稽な英雄譚へと姿を変えていった。
貴族たちのサロンでさえ、その噂は囁かれていた。
皇太后様のお茶会に参加した貴婦人たちは、あの日食べたスコーンとジャムの味が忘れられなかった。
「あの方のお菓子には本当に不思議な力があるのよ。あの甘酸っぱいジャムをいただいてから、長年悩まされていた不眠がすっかり良くなったの」
「まあ! 私も心が安らいで、夫との喧嘩が減ったわ」
彼女たちの口コミは「人の心を癒し安らぎを与えるお菓子を作る、慈悲深い姫君」という上品な尾ひれをつけて広まっていった。
病気の子供を元気にし、騎士の疲れを癒し、職人に力を与え、貴婦人の心を安らげる。
これらの、源流は同じでありながら全く異なる支流となって流れていた噂が、アスガルドという大きな街の中でやがて一つの大河となって合流し始めた。
そして噂は人から人へと伝わるうちに、少しずつ、しかし確実にその純度を変えていく。
「病を治し、怪我を癒し、力を与え、心を救う……。そんなことができるのは、もはや人間業ではない」
「まるで古い叙事詩に謳われる、伝説の聖女様のようだ」
誰が最初にそう言ったのか。
それはもう誰にも分からなかった。
しかしその日、市場の片隅で病気の母親を看病する一人の少女が、天に祈るように呟いた言葉が決定的な引き金となった。
「お城の離宮にいるお姫様は、食べ物で人々を救ってくださるんだって……。ああ、どうか食の聖女様。私のお母さんを助けて……」
食の聖女。
そのあまりにも分かりやすく、そして人々の希望を掻き立てるキャッチーな呼び名は、まるで乾いた草原に落ちた火種のように、爆発的にアスガルドの民衆の間に広まっていった。
その頃、噂の中心人物である私は、そんな大騒ぎになっていることなど露知らず、厨房でマルタたちとのんびりお茶を飲んでいた。
「アリア様」
マルタがどこか面白そうに、そして少しだけ困ったように口を開いた。
「どうやら城下では、アリア様は『食の聖女』と呼ばれているそうでございますよ」
「ぶっ!?」
私は飲んでいたハーブティーを盛大に吹き出しそうになった。
「しょ、食の聖女!? わ、私が!? 何かの間違いでは!?」
「いえ、間違いなくアリア様のことだと。なんでも病を治し怪我を癒す、奇跡の料理をお作りになるとか」
マルタの説明に私は頭を抱えた。話が大きくなりすぎている。私はただ、美味しいものを食べてもらいたいだけなのに。
「そ、そんな、大げさです! 私にそんな力はありません!」
私が真っ赤になって否定すると、隣にいた若い侍女がくすくすと笑いながら言った。
「でも、アリア様。私たちにとってはアリア様は本当に聖女様のような方ですよ。アリア様が来てくださってから、この離宮は毎日が楽しくて温かい場所に変わりましたもの」
その言葉に他の侍女たちも「そうです、そうです!」と頷く。
彼女たちの真っ直ぐで温かい眼差しに、私の顔はますます熱くなった。
「……からかわないでください」
そう言うのが精一杯だった。
その夜。皇帝執務室ではエリオットが集められた城下の噂に関する報告書を、レオンハルトに提出していた。
「……『食の聖女』、ですか。民衆とはいつの時代も劇的な物語を好むものですな」
エリオットはどこか面白そうに言った。
レオンハルトは報告書に静かに目を通していた。その口元には微かな、しかし確かな満足の笑みが浮かんでいる。
「ふさわしい呼び名だ」
彼はぽつりとそう呟いた。
「彼女は確かにこの国を救う光だ。民が彼女をそう認識し始めたのなら、それは喜ばしいことだ」
「しかし陛下。これ以上彼女の力が公になれば、国内外の様々な勢力が彼女を狙うことになりましょう。危険です」
エリオットの懸念はもっともだった。
「分かっている」
レオンハルトの瞳が皇帝としての鋭い光を宿した。
「月影の宮の警備は三倍に増やせ。そして彼女の身辺に俺の直属の影をつけろ。いかなる脅威も彼女に触れさせるな」
「御意」
エリオTットは静かに頭を下げた。
レオンハルトは窓の外の月を見上げた。その月はまるでアリアがいる月影の宮を、優しく照らしているかのようだった。
彼の心はアリアが民衆に受け入れられていることへの喜びと、彼女の存在が脅かされることへの強い庇護欲で満たされていた。
『食の聖女』。その輝かしい称号はアリアの運命をさらに大きく、そして光り輝く舞台へと押し上げようとしていた。
その先にどんな困難が待ち受けていようとも。
俺が必ず彼女を守り抜く。
レオンハルトは静かな夜空に固くそう誓った。
茄子もどきは味噌もどきと蜜で甘辛く炒めた『茄子味噌』となり、レオン様にご飯を三杯もおかわりさせた。炎豆は私の予想通り極上の『あんこ』へと生まれ変わり、それを使ったおはぎはギルバート様を感動のあまり五分間ほど無言にさせた。
私の日常は厨房と、そこに集う大切な人たちとの交流で満ち足りていた。だから、私は全く気づいていなかったのだ。
私の小さな厨房から始まった物語が、城壁を越え、アスガルドの城下町でとんでもない噂となって広まっていることに。
その噂は様々な場所で同時多発的に生まれていた。
発火点の一つは文官たちが暮らす官舎の一角。
あの日、私のオムライスを食べて劇的に回復した少年レオ君は、すっかり元気になっていた。彼の母親は井戸端会議で会う人会う人に、感謝と共にその奇跡を語って聞かせた。
「聞いてくださる? 月影の宮の姫様が作ってくださった魔法の卵料理のおかげなのよ! あれを食べたら、あんなにぐったりしていたうちの子が、次の日には駆け回るほど元気になって!」
その話は子供を持つ母親たちの間で瞬く間に広まっていった。「病気の子供を元気づける、不思議な料理を作るお姫様がいるらしい」と。
また別の発火点は騎士団の訓練場。
唐揚げの香りで気絶し、その唐揚げによって長年の疲労から解放された騎士クラウス。彼は陛下の「他言無用」という命令を固く守っていた。しかし、訓練で疲れ果てた同僚たちが体の痛みを訴えているのを見ると、どうしても黙っていられなかった。
「……いいか、ここだけの話だぞ。月影の宮の姫様の料理はただ美味いだけじゃない。食べると本当に嘘みたいに疲れが吹っ飛ぶんだ。俺のこの肩の痛みが一瞬で消えたんだからな…」
彼の囁きは騎士たちの間で「疲労を回復させる秘薬のような料理を作る姫様」という、伝説めいた噂となって密かに共有されていった。
そして最も騒々しい発火点は城下の酒場だった。
あの日、カツ丼によって魂に火をつけられた鍛冶職人たち。彼らは仕事が終わると酒場に集い、酒を酌み交わしながら、いかに自分たちが食べたものが凄かったかを大声で自慢し合った。
「聞いたか! 俺たちの姫様が作った『カツドン』の話を! あれはな、ただの飯じゃねえ! 魂の燃料だ! あれを食ってから俺の打つ剣の切れ味が三割は増したね!」
「おうよ! 姫様は俺たち職人の女神様だ!」
彼らの武勇伝は酒場の酔客たちによって、「食べると超人的な力が湧いてくる料理を作る姫様」という荒唐無稽な英雄譚へと姿を変えていった。
貴族たちのサロンでさえ、その噂は囁かれていた。
皇太后様のお茶会に参加した貴婦人たちは、あの日食べたスコーンとジャムの味が忘れられなかった。
「あの方のお菓子には本当に不思議な力があるのよ。あの甘酸っぱいジャムをいただいてから、長年悩まされていた不眠がすっかり良くなったの」
「まあ! 私も心が安らいで、夫との喧嘩が減ったわ」
彼女たちの口コミは「人の心を癒し安らぎを与えるお菓子を作る、慈悲深い姫君」という上品な尾ひれをつけて広まっていった。
病気の子供を元気にし、騎士の疲れを癒し、職人に力を与え、貴婦人の心を安らげる。
これらの、源流は同じでありながら全く異なる支流となって流れていた噂が、アスガルドという大きな街の中でやがて一つの大河となって合流し始めた。
そして噂は人から人へと伝わるうちに、少しずつ、しかし確実にその純度を変えていく。
「病を治し、怪我を癒し、力を与え、心を救う……。そんなことができるのは、もはや人間業ではない」
「まるで古い叙事詩に謳われる、伝説の聖女様のようだ」
誰が最初にそう言ったのか。
それはもう誰にも分からなかった。
しかしその日、市場の片隅で病気の母親を看病する一人の少女が、天に祈るように呟いた言葉が決定的な引き金となった。
「お城の離宮にいるお姫様は、食べ物で人々を救ってくださるんだって……。ああ、どうか食の聖女様。私のお母さんを助けて……」
食の聖女。
そのあまりにも分かりやすく、そして人々の希望を掻き立てるキャッチーな呼び名は、まるで乾いた草原に落ちた火種のように、爆発的にアスガルドの民衆の間に広まっていった。
その頃、噂の中心人物である私は、そんな大騒ぎになっていることなど露知らず、厨房でマルタたちとのんびりお茶を飲んでいた。
「アリア様」
マルタがどこか面白そうに、そして少しだけ困ったように口を開いた。
「どうやら城下では、アリア様は『食の聖女』と呼ばれているそうでございますよ」
「ぶっ!?」
私は飲んでいたハーブティーを盛大に吹き出しそうになった。
「しょ、食の聖女!? わ、私が!? 何かの間違いでは!?」
「いえ、間違いなくアリア様のことだと。なんでも病を治し怪我を癒す、奇跡の料理をお作りになるとか」
マルタの説明に私は頭を抱えた。話が大きくなりすぎている。私はただ、美味しいものを食べてもらいたいだけなのに。
「そ、そんな、大げさです! 私にそんな力はありません!」
私が真っ赤になって否定すると、隣にいた若い侍女がくすくすと笑いながら言った。
「でも、アリア様。私たちにとってはアリア様は本当に聖女様のような方ですよ。アリア様が来てくださってから、この離宮は毎日が楽しくて温かい場所に変わりましたもの」
その言葉に他の侍女たちも「そうです、そうです!」と頷く。
彼女たちの真っ直ぐで温かい眼差しに、私の顔はますます熱くなった。
「……からかわないでください」
そう言うのが精一杯だった。
その夜。皇帝執務室ではエリオットが集められた城下の噂に関する報告書を、レオンハルトに提出していた。
「……『食の聖女』、ですか。民衆とはいつの時代も劇的な物語を好むものですな」
エリオットはどこか面白そうに言った。
レオンハルトは報告書に静かに目を通していた。その口元には微かな、しかし確かな満足の笑みが浮かんでいる。
「ふさわしい呼び名だ」
彼はぽつりとそう呟いた。
「彼女は確かにこの国を救う光だ。民が彼女をそう認識し始めたのなら、それは喜ばしいことだ」
「しかし陛下。これ以上彼女の力が公になれば、国内外の様々な勢力が彼女を狙うことになりましょう。危険です」
エリオットの懸念はもっともだった。
「分かっている」
レオンハルトの瞳が皇帝としての鋭い光を宿した。
「月影の宮の警備は三倍に増やせ。そして彼女の身辺に俺の直属の影をつけろ。いかなる脅威も彼女に触れさせるな」
「御意」
エリオTットは静かに頭を下げた。
レオンハルトは窓の外の月を見上げた。その月はまるでアリアがいる月影の宮を、優しく照らしているかのようだった。
彼の心はアリアが民衆に受け入れられていることへの喜びと、彼女の存在が脅かされることへの強い庇護欲で満たされていた。
『食の聖女』。その輝かしい称号はアリアの運命をさらに大きく、そして光り輝く舞台へと押し上げようとしていた。
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