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第52話:悪意の使節団
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リンドブルム王宮は、にわかに活気づいていた。
その中心にいるのは第一王女イザベラ。彼女がガルディナ帝国へ派遣される公式使節団の代表に決まってから、城の空気は一変した。まるで国の命運をかけた一大事業にでも取り組むかのような、熱気が渦巻いていた。
「ドレスは、我が国で最も美しいとされる『夕焼けの絹』で新調なさい。宝石も国庫にある最も大粒のものを」
「随行員は、我が国の精鋭騎士と最も作法の美しい侍女たちを選抜せよ」
国王自らがそう号令をかけた。厄介払いのようにアリアを追い出した時とは、まさに天と地ほどの差だった。それは、失ったものを取り戻そうとする焦りの表れでもあった。
イザベラは、その熱狂の中心で優雅に微笑んでいた。
彼女の頭の中では、すでに完璧な計画が練り上げられていた。
まず帝国に到着したら、再会を喜ぶ心優しき姉を演じる。そしてアリアの功績を褒め称え、彼女をすっかり油断させるのだ。
その上で、ゆっくりと、しかし確実に彼女の化けの皮を剥がしていく。
(どうせ、帝国の料理人の誰かを誑し込んでレシピでも盗んだのでしょう。あるいは、卑しい色仕掛けで皇帝に取り入ったか。どちらにせよ、あの子一人でできることではないわ)
イザベラの思考は、凝り固まった優越感と妹への侮蔑に満ちていた。魔力を持たない無能なアリアが自分を超えることなど、天地がひっくり返ってもあり得ない。それが彼女の世界の絶対的な真理だった。
計画の最終目標は、アリアの功績を全て奪い取ること。
『食の聖女』と呼ばれているのは実はリンドブルム王国の秘伝の調理法のおかげであり、無能なアリアではなく、魔力を持つこの自分こそがその真の後継者なのだと、帝国中に知らしめる。
そうすれば、皇帝の寵愛も民衆の尊敬も、全てが自分のものになる。アリアは再びただの『無能な出来損ない』に戻り、今度こそ絶望の底で朽ち果てていくのだ。
その甘美な未来予想図を思い浮かべるたび、イザベラの唇は三日月のように歪んだ。
「まあ、アリアも可哀想に。帝国での暮らしは、さぞかし心細いことでしょう。姉として、何か慰めになるものを持っていってあげなくては」
彼女はそう言うと、侍女に命じてアリアがリンドブルムにいた頃に使っていた数少ない私物を集めさせた。
古びて、少しだけシミのついたドレス。母親の形見だと言っていた安物の櫛。そして、彼女が大切にしていた小さなハーブの苗が植えられた植木鉢。
イザベラは、その植木鉢を手に取るとにこりと微笑んだ。そして、誰にも見られていないことを確認すると、その茎を爪先でぷつりと根元から折り取った。
「あら、大変。長旅で枯れてしまったようですわね」
彼女は心にもないことを呟きながら、枯れた(殺した)苗の入った植木鉢を、他のガラクタと一緒に豪華な贈答品を入れる箱の一番底へと押し込んだ。
これが、アリアの心を折るための最初の一撃になるだろう。
◆
一方、ガルディナ帝国のアリアは、故郷からの使節団が訪れるという知らせをレオン様から直接聞いていた。
「リンドブルムから、使節団が?」
私の声は、自分でも驚くほど上擦っていた。
「ああ。和平協定の進捗確認と友好親善が目的だそうだ。代表は君の姉君――イザベラ王女だと」
姉様が、来る。
その事実に、私の心は複雑に揺れ動いた。
嬉しいという気持ちが確かにある。血を分けたたった一人の姉。昔はあんな風ではなかった。私がまだ幼かった頃、優しく頭を撫でてくれた温かい記憶も確かに残っている。
もしかしたら、姉様も変わってくれたかもしれない。遠く離れた帝国で頑張っている私を認めてくれるかもしれない。
そんな淡い期待。
しかし同時に、体の奥底から冷たい恐怖が這い上がってくるのも感じていた。
あの侮蔑に満ちた翠の瞳。氷のように冷たい言葉。私という存在の全てを否定し、見下していた姉の姿。それが長年私を縛り付けてきたトラウマの正体だった。
私の表情の変化に、レオン様はすぐに気づいた。彼は私が淹れたハーブティーを一口飲むと、静かに、しかし力強い声で言った。
「何も心配することはない」
その声には、絶対的な安心感があった。
「ここはリンドブルムではない。俺の国だ。そして、君はもはやただの人質ではない。俺が、そしてこの国が全力で君を守る。誰にも君を傷つけさせはしない」
彼の言葉は、私の心の不安を温かい光で包み込むようだった。
そうだ。私はもう一人じゃない。
私には、この人がいる。エリオット様も、ギルバート様も、マルタたちもいる。
「……はい」
私は顔を上げた。私の瞳には、もう迷いはなかった。
「最高の料理で、おもてなしをしなくてはなりませんね」
私がそう言って微笑むと、レオン様は満足そうに頷いた。
その日の午後。使節団来訪の報は、すぐにエリオット様とギルバート様の耳にも入った。
「イザベラ王女、ですと? ふむ、リンドブルムもようやくアリア殿の真の価値に気づき、慌てて探りを入れに来た、というところですかな」
宰相執務室で、エリオット様は冷静に分析した。
「探りだと!? 俺には、姫様が手に入れた名声を横取りしに来たとしか思えん!」
ギルバート様は憤然として拳を机に叩きつけた。
「いずれにせよ、油断はできません。相手の出方を慎重に見極める必要があります」
「当たり前だ! もしあの女が姫様を少しでも侮辱するような素振りを見せたら、たとえ王女であろうと俺の剣が許さんぞ!」
「落ち着きなさい、筋肉団長。外交問題に発展させる気ですか」
「なんだと、ひょろ長もやし宰相!」
いつも通りの口論を、レオン様が冷たい一瞥で制した。
「どちらにせよ、アリアに指一本触れさせん。それだけだ。二人とも、抜かるなよ」
「「はっ!」」
帝国のトップ三人は、こうしてまだ見ぬ敵(イザベラ)に対する鉄壁の防衛網を築き上げていた。アリアを守るという、ただ一つの目的のために。
数日後。
リンドブルム王国の豪華絢爛な装飾が施された馬車の列が、帝都アスガルドの城門をくぐった。
その中心の馬車の中で、イザベラは窓の外の白い都を値踏みするような目で見つめていた。
(ふん。確かに見た目だけは立派ですわね。でも、文化も芸術も我がリンドブルムには遠く及ばない田舎者の国)
彼女はこれから始まる『狩り』を思い、扇の陰で優雅に、そして残酷に微笑んだ。
その頃、アリアは。
王城の中央厨房で、歓迎の宴で振る舞う特別な料理の準備に心を躍らせていた。
姉様はどんな料理が好きだったかしら。昔、母様が作ってくれたあの温かいシチューをもう一度作ってあげたら、喜んでくれるかもしれない。
彼女の心は、姉との再会への純粋な期待で満ちていた。
これから始まるのが甘い再会の物語ではなく、嫉妬と悪意に満ちた醜い戦いの序章であることなど、夢にも思わずに。
嵐は、もうすぐそこまで迫っていた。
その中心にいるのは第一王女イザベラ。彼女がガルディナ帝国へ派遣される公式使節団の代表に決まってから、城の空気は一変した。まるで国の命運をかけた一大事業にでも取り組むかのような、熱気が渦巻いていた。
「ドレスは、我が国で最も美しいとされる『夕焼けの絹』で新調なさい。宝石も国庫にある最も大粒のものを」
「随行員は、我が国の精鋭騎士と最も作法の美しい侍女たちを選抜せよ」
国王自らがそう号令をかけた。厄介払いのようにアリアを追い出した時とは、まさに天と地ほどの差だった。それは、失ったものを取り戻そうとする焦りの表れでもあった。
イザベラは、その熱狂の中心で優雅に微笑んでいた。
彼女の頭の中では、すでに完璧な計画が練り上げられていた。
まず帝国に到着したら、再会を喜ぶ心優しき姉を演じる。そしてアリアの功績を褒め称え、彼女をすっかり油断させるのだ。
その上で、ゆっくりと、しかし確実に彼女の化けの皮を剥がしていく。
(どうせ、帝国の料理人の誰かを誑し込んでレシピでも盗んだのでしょう。あるいは、卑しい色仕掛けで皇帝に取り入ったか。どちらにせよ、あの子一人でできることではないわ)
イザベラの思考は、凝り固まった優越感と妹への侮蔑に満ちていた。魔力を持たない無能なアリアが自分を超えることなど、天地がひっくり返ってもあり得ない。それが彼女の世界の絶対的な真理だった。
計画の最終目標は、アリアの功績を全て奪い取ること。
『食の聖女』と呼ばれているのは実はリンドブルム王国の秘伝の調理法のおかげであり、無能なアリアではなく、魔力を持つこの自分こそがその真の後継者なのだと、帝国中に知らしめる。
そうすれば、皇帝の寵愛も民衆の尊敬も、全てが自分のものになる。アリアは再びただの『無能な出来損ない』に戻り、今度こそ絶望の底で朽ち果てていくのだ。
その甘美な未来予想図を思い浮かべるたび、イザベラの唇は三日月のように歪んだ。
「まあ、アリアも可哀想に。帝国での暮らしは、さぞかし心細いことでしょう。姉として、何か慰めになるものを持っていってあげなくては」
彼女はそう言うと、侍女に命じてアリアがリンドブルムにいた頃に使っていた数少ない私物を集めさせた。
古びて、少しだけシミのついたドレス。母親の形見だと言っていた安物の櫛。そして、彼女が大切にしていた小さなハーブの苗が植えられた植木鉢。
イザベラは、その植木鉢を手に取るとにこりと微笑んだ。そして、誰にも見られていないことを確認すると、その茎を爪先でぷつりと根元から折り取った。
「あら、大変。長旅で枯れてしまったようですわね」
彼女は心にもないことを呟きながら、枯れた(殺した)苗の入った植木鉢を、他のガラクタと一緒に豪華な贈答品を入れる箱の一番底へと押し込んだ。
これが、アリアの心を折るための最初の一撃になるだろう。
◆
一方、ガルディナ帝国のアリアは、故郷からの使節団が訪れるという知らせをレオン様から直接聞いていた。
「リンドブルムから、使節団が?」
私の声は、自分でも驚くほど上擦っていた。
「ああ。和平協定の進捗確認と友好親善が目的だそうだ。代表は君の姉君――イザベラ王女だと」
姉様が、来る。
その事実に、私の心は複雑に揺れ動いた。
嬉しいという気持ちが確かにある。血を分けたたった一人の姉。昔はあんな風ではなかった。私がまだ幼かった頃、優しく頭を撫でてくれた温かい記憶も確かに残っている。
もしかしたら、姉様も変わってくれたかもしれない。遠く離れた帝国で頑張っている私を認めてくれるかもしれない。
そんな淡い期待。
しかし同時に、体の奥底から冷たい恐怖が這い上がってくるのも感じていた。
あの侮蔑に満ちた翠の瞳。氷のように冷たい言葉。私という存在の全てを否定し、見下していた姉の姿。それが長年私を縛り付けてきたトラウマの正体だった。
私の表情の変化に、レオン様はすぐに気づいた。彼は私が淹れたハーブティーを一口飲むと、静かに、しかし力強い声で言った。
「何も心配することはない」
その声には、絶対的な安心感があった。
「ここはリンドブルムではない。俺の国だ。そして、君はもはやただの人質ではない。俺が、そしてこの国が全力で君を守る。誰にも君を傷つけさせはしない」
彼の言葉は、私の心の不安を温かい光で包み込むようだった。
そうだ。私はもう一人じゃない。
私には、この人がいる。エリオット様も、ギルバート様も、マルタたちもいる。
「……はい」
私は顔を上げた。私の瞳には、もう迷いはなかった。
「最高の料理で、おもてなしをしなくてはなりませんね」
私がそう言って微笑むと、レオン様は満足そうに頷いた。
その日の午後。使節団来訪の報は、すぐにエリオット様とギルバート様の耳にも入った。
「イザベラ王女、ですと? ふむ、リンドブルムもようやくアリア殿の真の価値に気づき、慌てて探りを入れに来た、というところですかな」
宰相執務室で、エリオット様は冷静に分析した。
「探りだと!? 俺には、姫様が手に入れた名声を横取りしに来たとしか思えん!」
ギルバート様は憤然として拳を机に叩きつけた。
「いずれにせよ、油断はできません。相手の出方を慎重に見極める必要があります」
「当たり前だ! もしあの女が姫様を少しでも侮辱するような素振りを見せたら、たとえ王女であろうと俺の剣が許さんぞ!」
「落ち着きなさい、筋肉団長。外交問題に発展させる気ですか」
「なんだと、ひょろ長もやし宰相!」
いつも通りの口論を、レオン様が冷たい一瞥で制した。
「どちらにせよ、アリアに指一本触れさせん。それだけだ。二人とも、抜かるなよ」
「「はっ!」」
帝国のトップ三人は、こうしてまだ見ぬ敵(イザベラ)に対する鉄壁の防衛網を築き上げていた。アリアを守るという、ただ一つの目的のために。
数日後。
リンドブルム王国の豪華絢爛な装飾が施された馬車の列が、帝都アスガルドの城門をくぐった。
その中心の馬車の中で、イザベラは窓の外の白い都を値踏みするような目で見つめていた。
(ふん。確かに見た目だけは立派ですわね。でも、文化も芸術も我がリンドブルムには遠く及ばない田舎者の国)
彼女はこれから始まる『狩り』を思い、扇の陰で優雅に、そして残酷に微笑んだ。
その頃、アリアは。
王城の中央厨房で、歓迎の宴で振る舞う特別な料理の準備に心を躍らせていた。
姉様はどんな料理が好きだったかしら。昔、母様が作ってくれたあの温かいシチューをもう一度作ってあげたら、喜んでくれるかもしれない。
彼女の心は、姉との再会への純粋な期待で満ちていた。
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