聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~

夏見ナイ

文字の大きさ
27 / 105

026. もふもふ第二号は黒猫?(ケットシー登場)

辺境の冬は、リリアーナの想像を遥かに超えて厳しかった。窓の外は、見渡す限り白。雪は容赦なく降り続き、時には猛烈な吹雪となって、粗末な小屋を激しく揺さぶった。気温は氷点下を大きく下回り、どれだけ焚き火をしても、小屋の隅々まで温めることは難しい。外に出られる時間も限られ、砦へのスープ作りや、必要最低限の薪拾い以外は、小屋の中でフェンと共に息を潜めるように過ごす日々が続いていた。

「……それにしても、すごい雪ね……」
ある日の午後、リリアーナは小屋の小さな窓から、降りしきる雪を眺めながら呟いた。窓ガラスなどないため、木の板で塞いだ隙間から覗くだけだが、外の猛威は十分に伝わってくる。
「アゥ……」
隣では、大きな体を丸めて横になっていたフェンが、同意するように低い声で鳴いた。彼は、冬になってからというもの、以前にも増してリリアーナのそばを離れようとしなかった。その温かい体温と柔らかい毛皮は、リリアーナにとって何よりの暖房であり、心の支えでもあった。

幸い、冬支度は万全だった。壁の隙間を塞ぎ、床に厚く藁を敷いたおかげで、小屋の中は外の極寒とは別世界のように、かろうじて暖かさが保たれている。そして何より、リリアーナが丹精込めて作った保存食が、小屋の一角にずらりと並んでいた。ヤマブドウのジャム、乾燥キノコやハーブ、木の実の塩漬け、そして自慢の燻製肉。これらがあるおかげで、食料の心配をせずに冬を越せそうだという安心感があった。

「お腹、空いた? フェン」
リリアーナは立ち上がり、保存食の中から燻製肉を少し取り出した。それを薄く切って、自分とフェンの分を皿に分ける。さらに、乾燥キノコとハーブで取った温かいスープも用意した。質素だが、心のこもった食事だ。
フェンは、待ちかねたように燻製肉に齧りつき、美味しそうに喉を鳴らした。リリアーナも、温かいスープを飲みながら、燻製肉をゆっくりと味わう。厳しい冬の中の、ささやかだが幸せな時間だった。

食事が終わり、リリアーナが後片付けをしていると、外の風の音が一段と強くなった。雪も、横殴りに吹き付けているようだ。本格的な吹雪になってきたのかもしれない。
「今夜は荒れそうね……」
リリアーナが不安げに呟いた、その時だった。

ヒュン、という風切り音とは違う、何かか細い音が、吹雪の音に混じって聞こえたような気がした。
「……今の、何かしら?」
リリアーナは耳を澄ませたが、再び聞こえてくるのは激しい風雪の音だけだった。気のせいかと思った、その瞬間。

グルルル……!

フェンが、突然低い唸り声を上げ、素早く立ち上がった。全身の毛を逆立て、扉の方を睨みつけている。その目は鋭く光り、明らかな警戒心を示していた。
「フェン? どうしたの?」
リリアーナは緊張した。フェンがこれほど警戒するということは、何かが近づいているのだ。魔物か? それとも……?

リリアーナも息を殺し、扉の方に注意を向ける。吹雪の音に紛れて、扉をカリカリと引っ掻くような、小さな音が聞こえる。それは、大型の魔物が出すような音ではなかった。もっと小さく、か弱い響き。
しかし、フェンの警戒は解けない。彼は唸り声を続け、いつでも飛びかかれるような体勢を取っている。

(……どうしよう……)

リリアーナは迷った。吹雪の中、扉の外にいるのが何であれ、このまま放置すれば凍え死んでしまうかもしれない。しかし、フェンがこれほど警戒するということは、危険な存在である可能性もある。
それでも、やはり見過ごすことはできなかった。リリアーナは、フェンをなだめるように声をかけながら、意を決して扉に近づいた。
「フェン、大丈夫よ。ちょっと様子を見るだけだから」

リリアーナは、扉の閂をそっと外し、吹雪が吹き込まないように、ほんの少しだけ扉を開けて外を覗いた。

「……!」

そこにいたのは、リリアーナの予想もしなかった存在だった。
雪に半ば埋もれるようにして、小さな黒い塊がうずくまっていた。それは、一匹の黒猫だった。しかし、ただの黒猫ではない。その毛並みは、濡れて雪が付着しているにもかかわらず、まるでベルベットのような深い艶を放っていた。そして、リリアーナの気配に気づいて顔を上げたその瞳は、驚くほど大きく、鮮やかな緑色に輝いていた。まるで、夜空に煌めく二つの星のようだ。体は小さく、痩せていたが、その佇まいには、どこか気高さと、強い意志のようなものが感じられた。明らかに、普通の野良猫とは違う、不思議な雰囲気を纏っていた。

そして、その小さな体は、寒さと疲労で震え、かなり衰弱している様子だった。片方の前足には、痛々しい傷も見えた。このままでは、長くはもたないだろう。

(……猫……? でも、ただの猫じゃないみたい……。それに、怪我もしてる……)

リリアーナの心は決まった。たとえこの猫が何者であろうと、目の前で凍えさせてしまうわけにはいかない。
「大丈夫? 入って」
リリアーナは優しく声をかけ、扉をもう少し大きく開けた。

黒猫は、一瞬、警戒するようにリリアーナを見上げたが、彼女の声と、小屋の中から漏れる微かな温かさに抗えなかったのか、ふらつく足取りで、ゆっくりと小屋の中へと入ってきた。

グルルル……!

その瞬間、フェンが再び唸り声を上げ、黒猫の前に立ちはだかった。大きな銀狼と、小さな黒猫。あまりにも対照的な二匹が、互いを睨み合う。小屋の中に、ピリピリとした緊張感が走った。

黒猫は、自分より何倍も大きなフェンを前にしても、怯む様子を見せなかった。むしろ、全身の毛を逆立て、フーッ!と威嚇の声を上げ、小さな体で懸命に立ち向かおうとしている。その姿は、健気であり、同時にその気性の激しさを示していた。

「フェン、だめよ! 威嚇しないで!」
リリアーナは慌ててフェンを制止した。
「この子、怪我をしてるの。それに、外は吹雪よ。少し休ませてあげるだけだから」
リリアーナが真剣な表情で言い聞かせると、フェンは不満げに鼻を鳴らしたが、それでも唸り声はやめ、一歩後ろに下がった。しかし、警戒の視線は黒猫から外さない。

リリアーナは、ほっと息をつき、黒猫に向き直った。
「ごめんなさいね、驚かせて。さあ、こっちへ来て。まずは体を温めないと」
リリアーナは、焚き火のそばに、古い毛布を敷いてやった。黒猫は、まだ警戒心を解いてはいなかったが、フェンが下がったのを見て、少しだけ安心したのか、おずおずと毛布の上に歩み寄り、小さな体を丸めた。それでも、緑色の瞳は油断なくリリアーナとフェンを観察している。

リリアーナは、そっと黒猫のそばにしゃがみ込み、怪我をしている前足を優しく診た。幸い、傷はそれほど深くはないようだが、冷え切ってしまっている。リリアーナは、温かいお湯で湿らせた布で、傷口をそっと拭いてやった。黒猫は、一瞬びくりとしたが、抵抗はしなかった。
「少しだけ、薬草を塗っておきましょうね」
リリアーナは、止血と抗菌作用のある薬草を少量塗り、清潔な布で軽く巻いてやった。

手当てが終わると、リリアーナは温かいミルク(ヤギを飼っている村人から分けてもらった貴重なものだ)を少しだけ器に入れ、黒猫の前に置いてやった。
「お腹、空いているでしょう? 少しだけど、どうぞ」
黒猫は、ミルクの匂いに気づき、鼻をひくつかせた。そして、一瞬ためらった後、小さな舌でぺろぺろとミルクを舐め始めた。よほどお腹が空いていたのだろう。あっという間に器は空になった。

ミルクを飲み終えると、黒猫は少しだけ落ち着いた様子を見せ、毛布の上で丁寧に毛繕いを始めた。その仕草は優雅で、やはりただの猫とは思えなかった。
リリアーナは、そんな黒猫の様子を微笑ましく見ていたが、ふと、その黒猫の首元に、何か小さなものが光っているのに気づいた。よく見ると、それは小さな銀色の鈴のようだった。飼い猫だったのだろうか? それとも、何か特別な意味のあるものなのだろうか。

(……この子、一体どこから来たのかしら……)

新たな疑問が湧き上がってきた。そして、これからどうするべきか。このまま小屋に置いておくわけにもいかないだろう。しかし、外はまだ吹雪だ。少なくとも、天候が回復するまでは、ここにいさせてあげるしかないだろう。

リリアーナがそんなことを考えていると、黒猫は毛繕いを終え、再び毛布の上に体を丸めた。そして、警戒しながらも、疲労には勝てなかったのか、やがてすーすーと小さな寝息を立て始めた。その無防備な寝顔は、先ほどの気位の高そうな態度とは裏腹に、とても愛らしく見えた。

フェンは、まだ少し離れた場所から黒猫の様子を窺っていたが、眠ってしまったのを見て、ようやく警戒を少し解いたようだった。それでも、その表情はどこか不満げで、まるで「厄介な奴が来た」とでも言いたげだった。

リリアーナは、眠る黒猫と、少し拗ねたようなフェンを見比べ、苦笑した。
(……また、食客が増えちゃったみたいね……)
もふもふ第二号は、どうやらプライドの高い、食いしん坊な黒猫らしい。この小さな訪問者が、これからリリアーナの辺境での生活に、どんな波乱と、そして新たな彩りをもたらすのか。それはまだ誰にも分からない。ただ、吹雪の夜に訪れたこの出会いが、また一つ、リリアーナの運命の歯車を動かし始めたことだけは、確かなようだった。
感想 48

あなたにおすすめの小説

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。 【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】 本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。 Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited. © 魯恒凛 / RoKourin

二度目の召喚なんて、聞いてません!

みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。 その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。 それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」 ❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。 ❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。 ❋他視点の話があります。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。

秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。 「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」 第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。 着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。 「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。 行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。 「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」 「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」 氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。 一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。 慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。 しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。 「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」 これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。

聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる

夕立悠理
恋愛
 ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。  しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。  しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。 ※小説家になろう様にも投稿しています ※感想をいただけると、とても嬉しいです ※著作権は放棄してません

夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~

狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない! 隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。 わたし、もう王妃やめる! 政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。 離婚できないなら人間をやめるわ! 王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。 これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ! フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。 よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。 「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」 やめてえ!そんなところ撫でないで~! 夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――