【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ

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【第87話】 アークライト独立宣言、光の国の誕生

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王都を揺るがしたマルティン侯爵の断罪劇。その報は、辺境の独立領邦アークライトにも、大きな変化をもたらしていた。アークライトを直接脅かし、その発展を阻害しようとしていた最大の黒幕が排除されたのだ。そして、王国中央は、権力闘争と混乱の泥沼にはまり込み、もはや辺境の一領地にまで干渉する余裕を失っている。それは、アークライトにとって、まさに千載一遇の好機だった。

「リアム様、今こそ、その時ですわ」
執務室で、最新の王都情勢を分析していたセレスティアが、確信に満ちた強い眼差しでリアムに告げた。「王国は自らの腐敗によって力を失い、我々を縛る枷は、事実上、消え去りました。周辺領主たちも、我々の力と王国の現状を鑑み、静観する構えを見せています。これ以上の好機は望めません。今こそ、アークライトの完全なる独立を、世界に宣言すべきです!」

彼女の言葉は、リアムの胸の中にあった最後の躊躇いを打ち消した。王国への義理? もはや存在しない。彼らはリアムを見捨て、敵意を向け、その存在を抹殺しようとしたのだ。アークライトは、リアムと仲間たち、そして集まった領民たちの手で、ゼロから築き上げられた、全く新しい共同体。誰にも従属する必要などない、自分たちの国なのだ。

「……ああ、そうだな」リアムは、静かに、しかし揺るぎない決意を込めて頷いた。「我々は、もはや誰の顔色を窺う必要もない。自分たちの道を、自分たちの足で歩むべき時が来た。セレスティア、皆を集めてくれ。アークライトの未来を左右する、重大な決断を共有したい」

程なくして、執務室にはルナ、ミリア、ドルガンが集まった。リアムは、彼らに向かい、改めて自らの決意を告げた。
「皆、聞いてほしい。俺は、アークライトの独立を、正式に宣言することを決めた。王国にも、他のいかなる勢力にも従属しない、我々自身の国を、この地に築き上げる」

その言葉に、仲間たちは、待っていた時が来た、というように、力強く頷いた。
「……あなたの決断を、支持するわ、リアム」ルナが、静かに、しかし絶対的な信頼を込めて言った。「あなたが築く国が、光り輝く未来へと続くことを、私は信じている」
「はいっ! ついにですね! 私、アークライトのためなら、なんだってします! 独立万歳!」ミリアが、拳を握りしめ、瞳を輝かせた。
「ふぉっふぉ! ようやくか! 待っておったぞ、その言葉を! 独立国家アークライト! いい響きではないか! ワシらの技術で、世界を驚かせてやろうではないか!」ドルガンが、豪快に笑った。
「ええ。元首リアム・アークライトの下、我々は新たな歴史を刻むのですわ。必ずや、この国を、世界に誇れる国家へと導いてみせます」セレスティアも、誇らしげに頷いた。

仲間たちの揺るぎない支持は、リアムの決意をさらに固いものにした。彼は次に、領民の代表者たち――ゴードン、ヘンリー老、アルバン、そして各地区から選ばれた者たち――を集め、彼らに直接、独立の決意とその意義を説明した。

「諸君、我々は、今、歴史の岐路に立っている」リアムは、真剣な眼差しで彼らを見つめた。「我々は、王国から独立し、アークライト国として、新たな道を歩むことを決意した。これは、単なる私の決定ではない。我々全員が、自らの未来を、自らの責任で選択するということだ。道は平坦ではないかもしれない。だが、私は信じている。我々には、それを成し遂げる力と、資格があると。どうか、私と共に、この新たな国の礎を築いてほしい。皆の力が必要だ」

リアムの真摯な言葉と、これまでの彼の指導力、そしてアークライトで手に入れた平和で豊かな生活への誇りが、代表者たちの心を一つにした。
「リアム様……いえ、元首閣下! 我々はずっと、あなたについてきました! あなたが導く国ならば、どんな未来であろうと、我々は共に歩みます!」ゴードンが、感極まった様子で力強く宣言した。
「そうだとも! このアークライトこそが、我々の真の故郷! この国のためなら、命も惜しくない!」元兵士の代表が叫んだ。
他の代表者たちも、次々と独立への賛同と、リアムへの絶対的な忠誠を表明した。それは、恐怖や義務感からではない、心からの信頼と、未来への希望に基づいた誓いだった。

領民たちの総意を得て、独立宣言への準備は、最終段階へと入った。セレスティアが中心となり、具体的な計画が練られていく。
独立宣言の日は、アークライト領が誕生してからちょうど一年となる記念日に定められた。領内の広場で盛大な式典を行い、リアムが独立を高らかに宣言する。それに合わせて、周辺領主への事前通告(黙認を取り付けるための根回し)と、王国中央への公式文書の送付も行われる手筈となった。外交と内政、両面での準備が、急ピッチで進められていった。

アークライト国全体が、独立という歴史的な瞬間に向けて、期待と決意に満ち溢れていた。誰もが、自分たちが新しい歴史を創る一員であるという高揚感と、その責任の重さを感じていた。
リアムは、領主から、独立国家の初代元首へと、その立場を大きく変えようとしていた。彼の心には、過去への決別と、未来への希望、そして何よりも、愛する仲間たちと国民たちを守り抜くという、強い覚悟が満ちていた。

(俺は、この国を、世界で最も自由で、公正で、そして温かい場所にしてみせる……!)

彼は、執務室の窓から、独立宣言式典の準備が進む広場を見つめた。アークライトの旗が、誇らしげに風にはためいている。仲間たちの笑顔、国民たちの熱意。それら全てが、彼の決意を後押ししていた。
独立への道は、確かなものとなった。領地の誓いは、固く結ばれた。次は、その誓いを、高らかに世界へと宣言する時だ。リアムは、仲間たちと共に、その輝かしい瞬間へと、静かに、しかし力強く、歩みを進めていく。アークライトの新たな歴史が、今、始まろうとしていた。
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