僕はずっと一緒にいたかっただけなんだ

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火曜日

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*ハッピーエンドではありません*
*苦手な方はご遠慮ください*







 オレが生徒会室の扉を開けると、そこには一人で書類整理をしている三秋先輩がいた。
 草矢先輩と三秋先輩は遠い親戚であり、ミステリアスな雰囲気や横顔がよく似ている。けれど、圧倒的に違うのは、その目。三秋先輩の目の前に立つと、そのゾッとする視線に捕まえられたような気がして動けなくなる。




 全身をガチガチに緊張させながらも、オレはなんとか口を開いた。


「あ、あのっ!三秋先輩にっ、お、お聞きしたいことが、ありまして……」

「なんだ?」

「えとっ、あ、あの……草矢先輩とのデートの件、なんですけどっ。オ、オレのデートの時間……放課後じゃなくて、昼休みに変更、できませんか?」

「放課後に予定でもあるのか?」

「あの、えと、あの、えとえと……その………」

「……………………まぁいい。草矢に確認した後に、連絡する」








 オレが火曜日になったと連絡をもらったとき、まとまったデートの時間は放課後だと伝えられた。まぁ、次の授業の予定などを考えると妥当な時間だ。
 けれどオレは、この曜日ごとの恋人制度を作った副会長……三秋先輩に頼みこんで、デートの時間を昼休みにしてもらった。そりゃ放課後のほうが何かと便利なのはわかってる。何かあっても後は帰宅するだけだし。

 それでもなぜ、恐怖に耐えながらもオレが時間をずらしてもらったのかと言うと……








 それは、数週間前に遡る。


 ある日の放課後。
 オレは自分の机に明日提出のノートを忘れていたことを思い出し、帰宅途中で引き返した。
 教室に向かう廊下を急いでいると、遠くに人影を見つけた。


 あのシルエットは……草矢先輩だ!!


 オレが大好きな大好きな草矢先輩を見間違えるはずがない。
 しかし……残念なことに、今日は自分の担当曜日ではない。呼び止めることも、追いかけることもできない。オレは教室に消えていく先輩を見つめるしかなかった。




 ノートを鞄にしまい、急いで帰ろうとさっきの逆ルート進んでいると、長い廊下の先にまた人影を見つけた。名前はわからないけれど、なんとなく顔を見たことがある。


 確か、隣のクラスの……


 そしてその人影は、さっき先輩が入っていった教室の前で止まった。


「!」


 ピンと来たオレはその瞬間、柱の影に身を隠した。そしてそこから顔だけ出しこっそり覗くと、その人影はキョロキョロと周りを確認しながら教室の中へ消えていった。

 オレは足音を忍ばせその教室に近づく。そして窓から影が映らないようそっとしゃがみ、扉に耳を付けた。



……………



 机が一定のリズムで、無駄に大きく軋む。
 時折聞こえる甲高い声、濡れた音、肌がぶつかり合う音。


 …………やっぱり!!!!!


 オレはこの日、この曜日の恋人が誰であるか知ってしまったのだ。









 この恋人制度において、時間以外の細かいルールは特に聞かされていない。自分がどの曜日になるか知らされたときは個別だったため、恐らくどの曜日も顔は知らないはずだ。
 というかこの短い時間でデートをどう充実させるかに頭がいっぱいで、他の曜日が誰かなんて気にする余裕は無かった。



 けれど。
 オレはもともと、この制度には反対だ。恋人が五人もいて、しかもそれを曜日で分けるなんて……ふざけるにも程がある!!


 恋人は、草矢先輩にとって唯一の存在でなければならない。他の誰よりも、恋人じゃないその他の生徒よりも上でなければならない。


 でもでも、この制度を作ってもらえたからこそ、こうして草矢先輩と知り合えた訳で……火曜日限定の恋人になれた訳で……


 オレはもどかしさに唇を噛み締めるしかない。





 ……だったら、他のヤツらができないことをすればいい!五人の中で一番になればいい!!


 そう思い立ってすぐ、オレは三秋先輩の所へ向かった。











「あっ、あ、ァ、そ、草矢先輩っ……」


 昼飯もそこそこに、オレは先輩と身体を繋げる。


「んっ、んぁあああっ!」


 背後から打ち付けるように入ってくる先輩。そしてだんだんと速くなってきたその腰がぐっと触れたかと思うと、オレの中に先輩がどくどくと注がれた。オレの奥は嬉しそうにそれを受け止める。


 草矢先輩……


 けれど先輩を求めてやまないオレは、これじゃ全然足りない。


「草矢せん、ぱい……あの、このまま、もう一回……」


 今は放課後ではなく、昼休みだ。デート終了までまだ時間はある。だからオレは抜かずの二回目をねだった。


「ぁ、ア、あっ、ぁ、あ、あぁぁっ!」


 先輩が突くたびにグチュッグチュッといやらしい音が大きくなり、溢れて太ももに伝っていく熱いものを感じ、オレはたまらなくなる。


「草矢先輩……!」


 オレも草矢先輩の手の中で二回目の白濁を飛ばした。








 身体の奥に草矢先輩がたっぷりと注がれ、身も心も満たされる。その中で何よりも大きいのは……優越感だ。


 放課後のヤツらは、時間に追われてここまでできないだろう。それと、これからすることも……


 オレは心の中でほくそ笑んだ。






 一息ついて、先輩がオレの中から抜け出ていく。オレはそのタイミングでそっと背後に手を回した。
 もちろん先輩を邪魔する訳ではない。先端が抜けると同時に、オレは自身の入口を手できつく抑えるためだ。


 先輩と一緒に、午後からの時間を過ごせる……


 こんなことできるのは、五人の中でもオレだけだ。
 オレは心を躍らせながら制服を身につけた。









 草矢先輩とのデートを終え自分の教室へ戻る前、遠回りだけどオレは隣のクラスの前をワザと通る。

 午後の授業開始まであと少しの教室は、おしゃべりが飛び交い人の出入りが多い。オレは廊下を挟んで向かいの窓にもたれた。



 しばらくすると、行き交う人の波の中にあの顔を見つけた。教室に入る為だろう、こちらに向かってくる。
 オレは何気ない顔を装うが、心の中はドラムロールが鳴り響いていた。


 特に気にする様子も無く急ぎ足で近づいてくるそいつに、オレはタイミングを見計らって歩き出した。


「わっ、ごめん……」

「悪い……」



 肩がぶつかったその瞬間、オレの中で優越感が一気に弾けた。


 オレはオマエよりももっと長い時間草矢先輩と一緒にいられるし?
 ってかなんなら今から草矢先輩と一緒に授業を受けるんで!!


 この優越感が、たまらなく嬉しい。


 オレは振り返ってそいつの後ろ姿を見ながら、いつまでも勝ち誇った笑みを浮かべていた。





 他の曜日のヤツも見つけなきゃ、だな……


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