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社会人の片無さん。
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全てが順調だった日々。
お盆の夏祭り。
美穂と駅前で待ち合わせの時間。
夏海やケンチャンはいるんだけど、美穂は時間になっても来なかったんだ。
いつもは、遅れるなど連絡があるのに。
家出たよーってからのやり取りが無く、僕からの連絡も既読にならない。
夏海とケンチャンには、先に行くように伝えたんだけど、二人とも待ってくれてたんだ。
何度電話しても留守電に繋がりをどれだけ繰り返しただろうか。
着信が有ったのは、どれだけ時間が経った後なののかは覚えていない。
覚えるの得意だったんだけどね。
美穂からではなく、美穂のお父さんからの電話だった。
信じられない言葉だった。
「美穂が亡くなった。病院にいるから、来てほしい」
「お義父さん。。。」
「蓮くん。来てほしい。私も信じられないんだ」
美穂のお父さんから、聞いたことのない暗く小さい声に僕は、これ以上言葉を発する事が出来なかった。
体はとても軽いのに、一歩も動かなくなった自分がいるんだ。
足から頭に向かって、何かが動いて軽いのに。足は一歩も動かせない。
その何かが、心臓と肺を苦しめるんだ。
夏海やケンチャンが声を掛けてくれてるが、何かのせいで分からない。
夏海が僕のスマホを奪って、美穂のお父さんと話している時も僕は何も動けなかった。
夏海にビンタされて2人に引っ張られて病院向かった時の一瞬だけ、動く事が出来た。
と言っても道中を全く覚えてない。
気がついたら、病院の慰安室前にはいた。僕は中には入る事が出来なかった。
夏海とケンチャンはベッドに向かって泣いている。
美穂のご両親と目が有った。僕と同じく目だ。
絶望に染まった瞳に僕は、吸い寄せられる様に入った。もうこの時の僕はどうかしていたんだと思う。
「お義父さん。お義母さん。亡くなったって噓ですよね」
ベッドに近づくと、綺麗な寝顔で仰向けになる美穂がいた。
「嘘寝上手いなー。鼻で小さく浅く息してるでしょ」
頬を触り、唇も触るけど、鼻息を感じる事も出来ない。
何よりも肌が冷たいんだ。
「ははっ、良くできたマネキンだね。これドッキリでしょ」
美穂のご両親の方を見るが何も言わない。
「どこかに隠しカメラが有って、美穂が出てくるだよね」
周りを見るが、泣いている夏海とケンチャンだけだった。
「美穂、出て来てよ!!」
「蓮くん。美穂は夕方、交通事故で亡くなったんだ」
嘘だよ。
「暴走した車が歩道に乗り上げて、美穂は轢かれたそうだ」
僕らの未来は?
「こんなこと許せない!!!」
僕もだよ。誰だよ!めちゃくちゃにした奴は!!!
「車の暴走事故を起こした人もトラックに衝突して亡くなっているんだ」
なんだよそれ。。。なんだよそれ!!!
「お義父さん。嘘だと言ってよ」
「お義母さんも黙ってないで、嘘だと言ってよ!!」
それ以上何も言わない美穂の両親に僕は。。。
ベットで寝ている美穂の顔を見る。
息をしないで目を瞑る美穂を見て湧き上がる気持ちを出した。言葉にならない叫びを上げながら、抱きしめた。
抱きしめても動かず頭が重力に引かれてるのを。右手で僕の胸元に引き寄せて泣き続けた。
僕の命を半分あげるから、生き返ってほしい。
ただただ、僕の体温が美穂に伝わるだけで、心音は感じられなかったけど、抱きしめずはいられなかった。
抱きしめて、泣いて叫ぶ事しか出来なかった。
こうして、僕の幸せが終わった。
お盆の夏祭り。
美穂と駅前で待ち合わせの時間。
夏海やケンチャンはいるんだけど、美穂は時間になっても来なかったんだ。
いつもは、遅れるなど連絡があるのに。
家出たよーってからのやり取りが無く、僕からの連絡も既読にならない。
夏海とケンチャンには、先に行くように伝えたんだけど、二人とも待ってくれてたんだ。
何度電話しても留守電に繋がりをどれだけ繰り返しただろうか。
着信が有ったのは、どれだけ時間が経った後なののかは覚えていない。
覚えるの得意だったんだけどね。
美穂からではなく、美穂のお父さんからの電話だった。
信じられない言葉だった。
「美穂が亡くなった。病院にいるから、来てほしい」
「お義父さん。。。」
「蓮くん。来てほしい。私も信じられないんだ」
美穂のお父さんから、聞いたことのない暗く小さい声に僕は、これ以上言葉を発する事が出来なかった。
体はとても軽いのに、一歩も動かなくなった自分がいるんだ。
足から頭に向かって、何かが動いて軽いのに。足は一歩も動かせない。
その何かが、心臓と肺を苦しめるんだ。
夏海やケンチャンが声を掛けてくれてるが、何かのせいで分からない。
夏海が僕のスマホを奪って、美穂のお父さんと話している時も僕は何も動けなかった。
夏海にビンタされて2人に引っ張られて病院向かった時の一瞬だけ、動く事が出来た。
と言っても道中を全く覚えてない。
気がついたら、病院の慰安室前にはいた。僕は中には入る事が出来なかった。
夏海とケンチャンはベッドに向かって泣いている。
美穂のご両親と目が有った。僕と同じく目だ。
絶望に染まった瞳に僕は、吸い寄せられる様に入った。もうこの時の僕はどうかしていたんだと思う。
「お義父さん。お義母さん。亡くなったって噓ですよね」
ベッドに近づくと、綺麗な寝顔で仰向けになる美穂がいた。
「嘘寝上手いなー。鼻で小さく浅く息してるでしょ」
頬を触り、唇も触るけど、鼻息を感じる事も出来ない。
何よりも肌が冷たいんだ。
「ははっ、良くできたマネキンだね。これドッキリでしょ」
美穂のご両親の方を見るが何も言わない。
「どこかに隠しカメラが有って、美穂が出てくるだよね」
周りを見るが、泣いている夏海とケンチャンだけだった。
「美穂、出て来てよ!!」
「蓮くん。美穂は夕方、交通事故で亡くなったんだ」
嘘だよ。
「暴走した車が歩道に乗り上げて、美穂は轢かれたそうだ」
僕らの未来は?
「こんなこと許せない!!!」
僕もだよ。誰だよ!めちゃくちゃにした奴は!!!
「車の暴走事故を起こした人もトラックに衝突して亡くなっているんだ」
なんだよそれ。。。なんだよそれ!!!
「お義父さん。嘘だと言ってよ」
「お義母さんも黙ってないで、嘘だと言ってよ!!」
それ以上何も言わない美穂の両親に僕は。。。
ベットで寝ている美穂の顔を見る。
息をしないで目を瞑る美穂を見て湧き上がる気持ちを出した。言葉にならない叫びを上げながら、抱きしめた。
抱きしめても動かず頭が重力に引かれてるのを。右手で僕の胸元に引き寄せて泣き続けた。
僕の命を半分あげるから、生き返ってほしい。
ただただ、僕の体温が美穂に伝わるだけで、心音は感じられなかったけど、抱きしめずはいられなかった。
抱きしめて、泣いて叫ぶ事しか出来なかった。
こうして、僕の幸せが終わった。
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表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
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