男女に友情は無いと私は思うけど、どう思う?

マンミン

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無職の片無さん〜その1〜

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僕は、仕事を辞めた。


働く気力もなく、会社の人たちは辞めないで休職してゆっくり休んでと言われたけど、僕にはもう無理だった。


何の為に働いていたのか?


ただ部屋にいて、時間が過ぎていた。


だけど、喉も乾くし、お腹も減る。


一日は、朝シャワーを浴びて、コンビニに行き、持てるだけの食べ物と飲み物を買っても、帰宅する。


そのまま家まで引きこもる。


食べ物は、3日前後で無くなるから、またシャワーを浴びてからを繰り返していた。


ベッドに寝て、思うのは、美穂との出会いから、事故前日前までの出来事だ。


そこまで思ってから、また美穂との出会いからを繰り返し思い出していた。


そこから先に進む事が出来ないんだ。


生きていても意味が無いと思い、二週間くらいした時に首を吊って自殺しようとしたら、ケンチャンと夏海が家に来て止められた。


ドラマみたいに、ケンチャンに殴り飛ばされたよ。


僕が自殺をしようとした事を知った両親にも殴られるか、ビンタされるかと思った。


現実は父親は動かなかったし、母親は泣いていた。そんな2人に僕は何も言えず、ただ見ている事しか無かった。


その後、両親に抱きつかれたくらいだ。僕は、ただただ温かいと感じるだけしか無かった。


その翌日、夏海とケンチャン、ノスタルジアの店長とオーナーの4人が来た。


僕にはとって、ノスタルジアの店長とオーナーはただのバイト先の人だったし、深く興味も無かった。


二人は夫婦で、店長は旦那さんでオーナーは奥さんだった。


「片無くん。辛かったね」


オーナーの言ってる意味が分からなかった。


「辛いのは、君だけじゃない!前を向いて歩け」


店長の言ってる意味が分からなかった。


愛する人を失った気持ちが分かってたまるか!


僕は、2人に殴りかかったけど、店長に腕関節を決められて地面に叩きつけられた。


「不幸自慢をしたいなら、連れてってやる!」


店長に無理やり起こされ、ノスタルジアに連れていかれた。


ノスタルジアでは、カウンター席に10人の中高年の男女がいた。


皆それぞれ知っている。


ノスタルジアの顧客たちだ。


カウンター席はこの10人の特等席だった。全員が集まる事もなく、いつもバラバラだったのだか、今日は、初めてみんな揃っていた。


僕は、ピアノの席に座らされて、左右に夏海とケンチャンが座った。


「俺はさ、両親を高校の時に亡くしたんだ」


その中の誰かが語り始めた。


一人が終わると次の人が話を始めた。皆それぞれ悲しい過去を持っていて、僕はただ聞いていた。


全員の話を聞き終えた時に、オーナーから言われた事がある。


「片無くんが亡くなれば、あなたと同じ思いをする両親や友人たちがいます。それでも死にますか?」


夏海やケンチャンの顔や両親の顔が浮かんだ。


「この悲しみの連鎖を止めるのは誰ですか?止められるのは、生きているあなたでしょう」


「どうしても辛いなら、歌えばいい、歌うだけじゃ辛いなら、ピアノそれでも弾けばいいさ。それでも辛いなら、ここに楽器を使えるやつらがいるから、セッションだって出来る」


カウンターに座る人それぞれが楽器を持っていた。


「ここは感傷を伴う懐かしさノスタルジアだ。過去をお想うなら、みんなでだ」


店長がそう言っていた。


オーナーにポカポカと叩かれていて、格好良さが半減した。

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