アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯

文字の大きさ
24 / 98
追放編

晩御飯

しおりを挟む
 日が暮れて来たので紅狼の常宿に戻った。夕飯はここの下の酒場兼食堂で。俺も一緒に食べる事になった。

 店に入り、席に着いた。
「しかしアルくんのスキルは規格外ですねえ。まさか魔術書とこのモノクルを合成できるとは‥‥‥」
「ホントっすね。オレッチも属性ナイフ作ってもらえたっす」
「いや、ホント。この剣のお陰でゴーストなんか敵じゃなくなったからな。アル様々だよ、ホント」

「いやいや、みんな褒め過ぎだよ。戦闘では役に立ててないんだし‥‥‥」
「質のいいポーションだって作れるじゃねーか。いいんだよ、褒められた時は素直に受け取っとけって」

 すると一人の冒険者らしき男が近づいて来た。見た感じは犬の獣人だ。

「おう、ルーナ。なんだか楽しそうじゃねーか。オレも混ぜてくれよ」
「‥‥‥お前が来なければ楽しいままだったんだけどな。そのままどっか行け、フランシス」

「おうおう、ずいぶんと冷てぇ言い方するじゃあねーか? 仲間じゃねえか」
仲間の間違いだろうが。今は仲間と飯を食ってるんだ、お前なんかお呼びじゃないんだよ」

 どうやら因縁の相手らしいな。アリウスにこっそり聞いてみた。
「ルーナはもともと奴のパーティーにいたんですけどね‥‥‥」
「ルーナの成長に奴らが追いつけなくなってルーナがパーティーを抜けたんす」
「ほうほう‥‥‥それで?」

「でもフランシスはルーナに惚れてたみたいで‥‥‥」
「いつも会うとしつこいんす。でもルーナは歯牙にもかけないって感じっす」
「なるほどな、相手にされてないんだ」

 フランシスとやらがこっちに向き直る。
「おい!! お前らさっきから聞こえてんだよ! 好き勝手言ってくれるなあ。おい、お前新入りだよな?」
「あぁ、アルフレッドだ。よろしくな!」

 とりあえず挨拶してみた。

「あん? お前は随分と弱そうじゃねえか。なんでお前みたいのがルーナのパーティーに入ってんだよ!? おかしいだろが!!」

 むちゃくちゃ絡んでくるな。
 うーん、鬱陶しい。周りも静かになってしまった。

「そうだ、俺と勝負しようぜ。俺が勝ったらお前はこのパーティーを抜けろ」

 ルーナが立ち上がる。
「てめー、何言ってんだ‥‥‥」
「ルーナ、お前には言ってねーんだよ。おい、男なら勝負受けるよな!?」
 
 はぁ~‥‥‥ 
 どこにでもこういう輩はいるんだな。


「‥‥‥ここじゃ店に迷惑がかかる。表に出ろ」
「はっ! いい度胸してるじゃねーか」

 フランシスが出口に向かって歩いていく。俺はそれに後ろから少し離れてついていった。

 フランシスがドアを開けて出たのを確認して‥‥‥















 ‥‥‥俺はドアを閉め鍵をかけた。

「‥‥‥ふう、さぁ、飲み直そうか」
「「「おーいっ!!」」」
 酒場の客全員からの総ツッコミを受けた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~

下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。 二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。 帝国は武力を求めていたのだ。 フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。 帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。 「ここから逃げて、田舎に籠るか」 給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。 帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。 鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。 「私も連れて行ってください、お兄様」 「いやだ」 止めるフェアに、強引なマトビア。 なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。 ※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...