魔法世界の解説者・完全版

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外伝・「戦乙女の英雄」

9話 「ファニーの周りの人々」

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「実は、今日はファニー様にお願いがあって参りました」
物凄く不機嫌そうなトゥーロン伯爵、つまり今は「満面の笑顔」と言う訳だね。

実際に目を見ると伯爵は優しい目をしているので表情に関しては慣れてしまうと案外どうと言う事もなく「こう言う感じ」と思える様になる。

「え?わたくしに?ですか?」
トゥーロン伯爵程の人物が自分如き小娘にお願いとは?と、不思議に思い首を傾げるファニー。

「ミリアリア、ファニー様にご挨拶しなさい」
トゥーロン伯爵の存在感があり過ぎて伯爵の足にしがみついてる少女に目が行かなかった。

「まあ!ミリアリア様ではございませんか?お久しぶりですわ」

その少女は、10歳になったトゥーロン伯爵の娘のミリアリアだった。
ミリアリアは父の足から手を離してツツツーとファニーの前まで来て、
「お久しぶりです!ファニー様!」と元気に挨拶して頭をペコリと下げる。

「これこれ・・・ミリアリア・・・」

父の言葉にハッとしたミリアリアは、
「トゥーロン伯爵家が次女、ミリアリア・フォン・トゥーロンがご挨拶させて頂きます」
と今度はきちんとカーテシーで挨拶をした。

「うふふふ、ヴィアール辺境伯家が長女、ファニー・フォン・ヴィアールで御座います」
ファニーもカーテシーで返礼する。

「トゥーロン伯爵閣下が今日学園に来た理由はミリアリア嬢をファニーの「侍女」して貰いたいとファニーにお願いしに来たんだよ」

ここまで完全に空気だった王太子ヤニックがトゥーロン伯爵の来園理由を説明する。

「え?!ミリアリア様がわたくしの侍女?!」ファニーが驚くのは無理も無い。

侯爵家などの高位の貴族家ならその系譜の男爵家の娘が侍女として仕えるのは良くある話しなのだが、辺境伯家に伯爵家の娘に仕える話しは聞いた事が無いからだ。

ましてトゥーロン伯爵家は実質侯爵家と同格でヴィアール辺境伯家より家格が高い。

「娘にどうしてもとお願いされまして・・・」後ろ頭をポリポリと搔くトゥーロン伯爵。
分かってはいたが親バカな所がある様子。

詳しく話しを聞けば、来季から新入生として王立学園に入園するミリアリアが、
「シスター制度でファニー様に仕えたいです!」と言い張っているとの事。

シスター制度とは学園内で令嬢同士が仮の姉妹となり妹が姉から行儀作法など学ぶ制度だ。
兄弟が居ないひとりっ子の令嬢には人気が有る制度だ。

ちなみに学年や年齢は関係ない、現にファニーは年下のエスティマブル公爵令嬢の仮妹だからだ。

「え?!わたくしが姉ですの?!なぜで御座いますか??」
何の脈絡も無くファニーから「妹」の申請された知りメチャクチャ驚いたエスティマ。

「わたくしは令嬢として落第点なのでエスティマ様に付いて勉強させて頂きたいのです」

「え?・・・ファニー様はそれ以上に優秀な方なので大丈夫ですわ!」

「令嬢として落第点なのは否定しないんですね・・・」

「いえだってファニー様は社交を一切致しませんでしょう?評価のしようが無いのですわ」
社交を一切やらない貴族令嬢・・・確かに令嬢として合格不合格以前の話しだ。

「でも、そんな所も素敵なのです!」

「そ・・・そう言うモノなのですか?」

「はい!」

ちなみに一応ファニーも今までに社交らしきモノはやってはいた・・・
ただし「陸戦戦術研究会」と「槍術愛好会」なる物騒な集まりに限定されているが。
社交と言うより「演習」に近かったとも言えるが。

さすがにコレは「淑女としてやべぇよ」とエスティマブルに付いてお茶会などに最近は参加している。
そして女性の人気者のファニーが参加するお茶会は毎回大盛況になるとの事。

そして現実に社交を始めて見て、エスティマブル公爵令嬢としてのファニー辺境伯令嬢の評価は・・・

「ええと・・・何事の忖度も無く正直に申し上げますと「普通」ですわね」

「普通!ですか?!良かった・・・本当に良かったですわぁ・・・」
公爵令嬢からの「普通」の評価にファニーは心の底からホッとしたのであった。
コイツは今までも外面は案外良かったからね。

「わたくし的には普段のファニー様の方が好きですわ・・・」
上目使いにエスティマにそう言われて鼻血が出たファニー。

そう言う所がダメだっちゅーねん・・・


話しを戻そう。


以上の点からも「シスター制度」と「侍女」は結びつかない様な気がする。
そしてファニーもそう思ったのか・・・・

「なるほど・・・でもシスター制度は侍女とは、お話しが違いますわよ?」

「そうです!違います!ファニー様に侍女はもう要りません!」

ん?何か誰かファニーの言葉に被せて来た?

「いや、それが結構シスター制度繋がりで卒業後に主従関係になる事も多いんだよファニー。
この制度は学園在学中に卒業後の人間関係の構築が目的だからね」

「そうなのです!」遂に我が意を得たミリアリア、ヤニック王太子への好感度が上がった。

「そんな?!」ヤニックによるシスター制度本来の目的の説明に2人の女性が反応する。

1人はミリアリアだがもう1人は?・・・魔法兵団のフローラだった・・・
教室を飛び出したファニーを護衛のフローラが追いかけるのは当然だわな。

「おや?君はアンデュール伯の御息女のフローラ嬢ではないか?」
トゥーロン伯爵は死角の位置に居たフローラをようやく見つける。 

「お久しぶりで御座いますトゥーロン閣下」
今は魔法兵団の軍服を着て帯剣しているので会釈のみをするフローラ。
これが軍人なら普通で不敬には当たらない。

むしろ軍務中に目を伏せて相手から視線を外すカーテシーで挨拶したら怒られる。
目を伏せたその隙に「バッサリ」なんて事が昔にあったからだ。

フローラはファニーの話し相手のトゥーロン伯爵の死角に陣取りファニーに対して何か有ればすぐに取り押される様にしていたのだ。

「うむうむ、護衛対象と相対する者に対して素晴らしい位置どりだったね。
護衛としての基本をしっかりと抑えているねフローラ少尉」

「!!!!!ありがとうございます!トゥーロン近衛卿閣下!!」

近衛兵団のトップであり軍人のトップスリーに入るトゥーロン伯爵に褒められてメチャクチャ嬉しそうに敬礼するフローラ。

「むう・・・フローラ様は私がファニー様の侍女になるのに反対なのですか?」
必要以上に侍女になる事に反対してくるフローラに対して不貞腐れるミリアリア。

「うっ?・・・学園内でファニー様のお世話をするのは私だけで充分だからです」
何故がフローラも不貞腐れる、何で?

「え?わたくしは自分で身支度関係は全て出来ますのでお世話係は特に・・・」

「そう言う事ではありません!ファニー様!」

「そうです!フローラ様の言う通りです!」

「ごめんなさーい?!」2人の凄い気迫に思わず謝るファニー。

こんな女性陣を見て・・・

「ヤニック殿下・・・我々は居ない方が良いかも知れませんね?
ミリアリアよ、ファニー様とフローラ嬢と良く話し合いなさい」

「そうですね、ファニー?多分君が拒否しても無理だろうから諦めた方が良いと思うよ?」

男2人は女同士の理解不能の諍い勃発にどう対処して良いか分からずにトンズラする事にした。

「殿下?!」ヤニックに見捨てられてショックを受けるファニー。

その後1時間に渡りミリアリアとフローラは「きゃーきゃー」とキャットファイトを行い、ファニーが「もうお二人共、わたくしの侍女で良いですからー!」と妥協して諍いは終了した。

公爵令嬢を骨抜きにして、実家とは完全に系譜違いの有力な伯爵家の令嬢を2人も侍らせたファニーに周囲の者達は「さすがは戦乙女の英雄だ」と尊敬の眼差しで彼女を見るのだった。

ファニーは「わたくしは女性を侍らせる趣味など持ち合わせておりません!」と、断固抗議したが誰にも聞き入れられる事は無かった。

そして・・・

「ファニー!私に対して素っ気ないのはそう言う事だったのかい?!」

「だからどう言う事ですのーーー?!」

挙げ句の果てには婚約者にまで百合疑惑の目で見られてファニーは・・・・・・グレた。

いきなり物語の舞台は王都より15km北方にある森の中に移動をする。

「アイツは薙ぎ払いの一撃で仕留めろよファニー」

「はい!」

ガアアアアアアアアーーー!!!!スッパーーーーン!!!

ファニーの薙ぎ払いでジャイアントベアーの首が飛ぶ!
グレたファニーが冒険者の仕事を受けて魔物の討伐を開始したのだ。






『世界の創造主よ・・・新作は3000字台・・・ですか?これは一体、どう言う事ですか?』

『普通で!普通でお願いします!
新作をずっと10000字オーバーで投稿し続けるなんて常軌を逸していますっての!
そもそも今までは元々の下地があったから出来ていただけですって!』

『え~?出来ないんですかぁ?」

『すみません無理ぽです!許して下さい!』
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