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一章 ✕✕たい
三話
しおりを挟む――死のう。
いじめられた時から、死にたいとは思っていた。でも、姉が悲しむと思うと、実行に移せなかった。
今はその姉もいない。なら、ためらう理由なんてない。
俺は走って葬式場を出た。
知り合いがいるとこで死ぬなんて真っ平だ。アイツ死んだよって、笑われる気しかしないから。死ぬ前にそんな顔を見るのは絶対に嫌だ。
それなら、隣の市にでも行けばいいか。隣の市からわざわざうちの学校に来てる奴なんてあんまいないと思うし、それでいいだろう。
いつもそうだ。俺はずっとのけ者。蚊帳の外だ。
俺は、繁華街にある花屋の自動ドアのガラスに映っている自分を見た。
そこに映っている俺は、ぱっと見女にしか見えない。名前と容姿だけで、俺は誰からも雑に扱われ、仲間外れにされる。
家族だけはそうでなかったのに、死んでしまった。それならもう生きる意味なんかない。
――やっと隣の市に着いた。
……どこで死のう?
辺りを見回す。
とにかく人気のないところがいい。
住宅街の中に、一つだけ異様な雰囲気を醸す建物があった。
三階建てのビルだ。窓から見える部屋は、何処も明かりがついていない。人はいなそうだ。
門にある表札を見ると、工場なのがわかった。だが、表札の大部分が汚れていて、何の工場なのか全然わからない。随分と年季が入っているみたいだ。
俺は門の中に入った。
壁がところどころひび割れている。窓も割れているところがあって、工場の周りには、瓦礫が散らばっていた。
廃工場なのだろうか。
「弱かったな」
「ああ。本当に弱かった」
同年代くらいの奴が、廃ビルに身体をよりかからせて、地べたにあぐらをかいていた。青い髪を肩まで伸ばした男と、茶パツの外ハネした髪の男だ。彼らの服は、ところどころ血がついている。喧嘩でもしたのだろうか。
……人いるし、場所変えるか?
でも、また探すのもめんどうくさいな。
……知り合いじゃないんだし、別にいいか。
俺は工場の中に入り、階段を上がって屋上に向かった。中はほこりくさく、そこら中にゴミが舞っている。
屋上のドアを開ける。
飛び降り防止の柵を飛び越え、遥か真下にある地面を見た。瓦礫だらけで足場が悪い。平らなところなんてほとんどない。三階建てだとちゃんと死ねるのか不安だったが、これならたぶん問題ないだろう。
……早く死のう。俺なんていらないんだから。
俺は屋上から飛び降りた。
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