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第4章
13 馬鹿になんてさせません!
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旅をするための準備は、それほど時間がかからなかった。
でも、一番大変だったのは魔物対策だった。
以前、竜の巣へ行った時は、王家の馬車だったから、魔物のことをすっかり忘れていたのだ。
ヴィフレア王家の馬車には、宮廷魔道具師が作った魔物避けの馬車用ランプと馬具が使われている。
上位の魔獣クラスでなければ、近寄れない最強仕様だ。
でも、そんな立派な馬や馬車を一般人が用意できるわけがない。
だから、傭兵を雇うのだとか。
「フラン、これで本当に魔物対策は大丈夫ですか?」
フランと一緒に市場へやってきて、日持ちする食料を購入している。
なにかあった時のための非常食は、馬車に常備しておくといいらしい。
フランは旅の経験があるから、私より知識を持っていて、頼りになる。
「魔物避けのランプがあるだけで、かなり違うよ。魔物は火と魔石が嫌いだからさ」
「火はなんとなくわかりますが、魔物は魔石が嫌いって、どうしてですか?」
「え? おれに聞かれてもわかんないよ……。ただ、そうだとしか……」
食料袋に購入した瓶詰めジャムを入れながら、フランは首をかしげた。
「魔石は魔道具師が見つけたものだからな。それまでは、この世界に魔石は存在しなかった」
「シエルさん!」
私の前に現れたのは、竜族のシエルさんだった。
シエルさんは竜の姿から、人間の姿に擬態しているけれど、神秘的なオーラは隠しきれていない。
「石は魔力を覆う殻だ。魔物は本能的に魔力が自分たちを殺すものだと知っている」
「魔術で殺されてきたからですね。魔物がリアムを避けるって言ってました」
シエルさんはリアムの名前を聞いて、嫌そうな顔をした。
「そんなにリアムが嫌いですか?」
「魔術師も魔道具師も好きではない。からあげの魔術師だけは別だ。お前のことは気に入っている」
「は、はぁ……ありがとうございます……」
本職は魔道具師。
魔道具を褒められたい私としては、ちょっと複雑な心境である。
「ヴィフレア一族は魔法しか使えなかった。それを魔道具師を名乗る男が現れ、石を魔石にし、奴らに与えたせいで、この世界は一変した」
竜族の寿命は長い。
シエルさんは三百年前の戦いを知っているし、族長息子と言っていたから、族長はもっと長生きなのだと思う。
歴史に詳しくて、私が知らないことも当然のように知っている。
――人間が魔物や獣人、竜と渡り合えるようになったのは、魔石を利用した魔道具が作られてからってことですよね。
魔道具師のファルクさんたちが、装備品にこだわっていたのは、根っこに戦いの歴史があったからだ。
『魔術と魔道具は人々を守るもの』
それが、ヴィフレア王国の初代国王と建国の魔道具師が目指した魔道具だったという。
シエルさんの壮大な話を真面目に聞いていると、みんなが振り返り、こちらを見ているのに気づいた。
「シエルさん。もしかして、竜語じゃなくて人間の言葉を話してます?」
シエルさんは得意顔で、私に言った。
「ああ。人の言葉を使えるように勉強した。市場で買い物を楽しみたいからな」
からあげ屋の屋台の前では、大量のからあげを購入している竜族の姿が見えた。
人の姿に擬態しているとはいえ、彼らの姿は神々しい。
シエルさんは金髪と金色の瞳という神秘的な容姿をしている。
異国風の服装をしていなかったら、とても目立っていたと思う。
今のところ異国人を装うことで、かろうじて竜族だとバレずに済んでいる。
もし、竜だとわかったら、騎士団が総出で討伐にやってくるだろう。
たとえ、彼らがからあげの袋を嬉しそうに抱えていたとしても……
「えーと、シエルさん。しばらく旅に出るので、数週間ほど留守にします」
「ほう。どこへ旅する予定だ?」
「実家の領地が東のほうにあって、来るように言われているんです」
「結婚の準備か? 王子がお前を妃に望んでいると、市場の人間が話しているのを聞いた」
人々の間に、私の結婚の噂が流れていると知った。
「妃だなんて。私とリアムはまだそんなっ……」
「死神? 相手は第一王子ではないのか?」
――第一王子? ルーカス様のこと?
思わず思わず、真顔になった。
「ルーカス様とは結婚しません。それから、リアムは死神じゃないです。見た目はたしかにそれっぽいですけど」
ちょっとムッとして、私が言うと、シエルさんはくすりと笑った。
「ちゃんとリアムって呼んでください。勘違いされやすいですけど、リアムは優しくて、私を助けてくれるすごい魔術師なんです!」
「優しい? それはお前にだけではないのか? 奴は敵に容赦しない」
「だったら! せめて、シエルさんだけでも、リアムの敵じゃなくて、味方になってもらえませんか?」
「そこまで、お前が必死になって頼み込む人間でもあるまい。少々、妬けるな」
竜族にとって、魔術師は自分たちを脅かす危険な存在だ。
そして、その魔術師の頂点に立つリアムは、彼らにとって最大の敵であるのは間違いない。
「シエルさん、からかわないでください。私は本気で言ってるんです」
「我も本気だが。竜の巣にいつもお前がいると面白そうだしな」
「面白い!? 私に笑いを求められても困ります」
――もしや芸人として勧誘されている!?
「そういう意味で言ったのではないのだが……」
シエルさんはちらりと周囲を目をやった。
なんの変哲もない賑やかな市場の光景である。
「今日は死神はいないのか」
「死神じゃなくて、リアムです」
どうやら、リアムがいるかどうか確認したようだ。
「余計なお世話かもしれないが、奴だけはやめておけ」
シエルさんは私を哀れむように見た。
「呪われた魔術師だ。愛しても幸せにはなれまい」
「え? 呪われた?」
「忠告はした。ではな」
からあげが入った袋を抱えた竜族が、シエルさんを待っていた。
立ち去ろうとしたシエルさんはなにを思ったのか、足を止めて振り返り、私の顔をジッと見た。
「……ここへ来てもお前がいないとは、つまらんな」
シエルさんは退屈なのかもしれない。
人生……竜生にも楽しみは必要だと思う。
「シエルさん。実はまた、新しいものを考えているんです」
「ほう」
「だから、帰ってくるのを楽しみに待ってていてください!」
シエルさんは微笑んだ。
「わかった。お前は人間だが気に入っている。少しでも長く生きろ。危険な目にあった時は、竜族を呼べ」
これは、無事に帰ってこいという言葉だ。
竜族のシエルさんにとって、人間の時間は短く、あっという間に過ぎていく。
――でも、記憶は残る。
シエルさんは昔のことを鮮明に覚えている。
だから、きっと私のことも忘れないでいてくれるはずだ。
そして、他の竜たちも。
私は竜族のみんなが忘れないような人生を送りたい。
シエルさんの大きな背中を見送りながら、そう思った。
「でも、このままだと、からあげを見るたびに思い出す私の存在……」
後世に残るからあげ令嬢の伝説。
からあげは美味しいけど、からあげのイメージで終わりたくない!
魔道具師として認識されたいところだ。
「サーラ。話は終わった?」
フランが干した肉や小麦粉、砂糖や塩などを購入して戻ってきた。
「ありがとうございます。私が話している間に買ってきてくれたんですね」
「うん」
旅の食料は、町や村に立ち寄った時にも仕入れることができる。
今のところ、立ち寄る町を決め、商人ギルドに頼んで宿屋を予約してもらったので、野宿せずに済む。
けれど、なにが起こっても困らないよう食料は多めに積んだ。
「あとは市場の店主たちに、ファルクさんの依頼を話して、今日の予定は終わりです」
「それが一番の難関だと思うよ」
はぁっとフランはため息をついた。
表通りで商売をする――それは、裏通りの人々にとって、雲の上のような人々と関わるということだ。
同じ王都に暮らしながら、表通りと裏通りは、まったくの別世界で、正反対の生活だ。
貧富の差は大きく、対等に商売するなんて無理だと、誰もが思うはずだ。
――でも、私はそう思わない。
表通りも裏通りも関係なく、みんなが楽しんでいた市場のお祭り。
その光景が、私の目に焼きついて残っている。
まずは、揚げパンの人気店を訪ねてみた。
「こんにちは!」
「サーラちゃん! いらっしゃい!」
店主が器用にパン生地をねじり、形を作る。
その生地を油を入れた大きな鉄鍋に、生地が次々と放り込まれていく。
沈んだ生地がぷかりと浮いてきたら、ひっくり返して、しばらく揚げる。
きつね色になったら、サッと揚げ、甘い砂糖をまぶす。
紙にくるんだ熱々の揚げパンを渡してくれた。
「いやぁ、こないだサーラちゃんが【修復】してくれた椅子だけど、前より丈夫になってたよ」
屋台の人たちは休憩用に小さな椅子や木箱などを使っている。
揚げパン屋のおじさんは、恰幅のいい人で、子供が座るような椅子では、体重に耐え切れずに壊れてしまった――というわけである。
ちょうど通りかかった私が、椅子を【修復】した。
「それはよかったです。……あのっ! よかったら、表通りで揚げパンを売りませんか?」
「表通りに揚げパンを?」
「はい!」
「裏通りで屋台をやってる人間が、表通りで商売なんてとんでもない!」
速攻でお断りされてしまった。
お隣の屋台で、私と揚げパン屋の主人の話を聞いていたのは、肉串の屋台の奥さんだった。
こちらにひょっこり顔を出した。
「サーラちゃん、それは無理ってもんだよ」
「私は無理だと思っていません!」
「サーラちゃんは私たちを対等に扱ってくれるけどね……。普通の貴族はそうじゃない」
「俺たちはこの市場で商売ができるだけで、じゅうぶんだ」
「そうそう。賑やかで明るくて。いつものお客様がきてくれるなら、それでいいの!」
そんなふうに言われるだろうと思っていた。
だから、私は簡単に引き下がったりしない!
「私は裏通りの商品が、表通りに劣るとは思っていません」
市場のみんなは笑っていたけど、私は笑わなかった。
私は本気で表通りと裏通りが一緒に商売ができると考えているからだ。
真剣な私の顔を見て、笑っていた市場の人たちが怯んだ。
「裏通りのお祭りは好評ですし、お忍びで貴族も大勢来てました。商品は悪くないんです!」
「そ、そりゃあ、もちろん。私たちも売る物に誇りはあるよ。でもねぇ……表通りで商売している店は店構えからして違うだろ?」
裏通りの市場は建物ではなく、屋台や露店が多かった。
それに比べて、表通りの店は歴史を感じる建物の店もあれば、最新の華やかでおしゃれな店もある。
話を聞いていたフランが、私には理解できないと思ったのか、横から口を挟んだ。
「あのさ、サーラ。みんなが言ってるのは、舞踏会に招待されたけど、着ていくドレスがないってことなんだよ。みすぼらしいドレスで参加したら、笑い者になる。みんな、笑い者になりたくないんだ」
フランはかぶっていたキャスケット帽をぎゅっと握り締めた。
握り締めた帽子は、フランが耳を出したまま、表通りの魔道具店に入れなかった時に買った帽子だ。
獣人であるフランは、差別されるのを恐れ、魔道具店に入るのをためらった。
その時のことをフランは思い出しているようだった。
「絶対、笑い者にはさせません」
「サーラ……」
フランが泣き笑いのような顔で、私を見上げた。
「サーラなら、きっとそう言うと思ったよ……」
市場の人たちの気持ちは、あの時のフランと同じ気持ちなのだ。
でも、表通りの人々の気持ちは変化している。
裏通りのお祭りにやってきたり、私の店で買い物をしたり、以前とまったく違う雰囲気だ。
それに気づいているのは、私だけじゃないはずだ。
「裏通りと表通りの店が、対等に商売できると、私は証明してみせます!」
「いやいや、市場の姿を見てくれよ! 対等って呼べないだろ?」
「あんた、ちょっと黙ってな」
肉屋の主人を黙らせると、奥さんがずいっと前に出た。
奥さんは黙って肉を焼いてろと言わんばかりに、肉屋の主人に肉串を持たせると、黙って肉を焼き始めた。
どうやら、店を取り仕切っているのは奥さんのほうらしい……
「私らはさ、サーラちゃんに協力したくないわけじゃあない。市場を助けてくれた恩があるし、信用してるよ」
肉串屋の奥さんに同感とばかりに、揚げパン屋の奥さんも話に加わった。
「サーラちゃんに依頼を持ってきたのは誰? もしかしたら、サーラちゃんを追い詰める罠かもしれないでしょ? それが私たちは心配なのよ」
市場の妻たちの言葉に、うんうんと男性陣は遠くでうなずいていた。
市場の店主は奥さんの意向に従う姿勢だ。
「サーラちゃんが失敗すれば、裏通りからいなくなってしまうかもしれないじゃない?」
「それだけはないって約束してくれないとね!」
奥さんたちは私のことを自分の娘みたいに心配してくれていた。
――まるで、私の家族みたい。
裏通りのみんなは温かかった。
信頼できる人たちだ。
だから、私はこの先の王都を――ヴィフレア王国をどんなふうにしたいか話すことにした。
今の裏通りの人々なら、一緒に目指してくれるような気がしたからだ。
「今は商売だけですけど、私はいずれ表通りと裏通りの隔たりをなくしたいと考えています」
私の言葉に裏通りのみんなは驚いていた。
「裏通りの人が表通りを気軽に歩けたり、表通りの人がお忍びじゃなくて、堂々と市場へ買い物に来るような国にしたいんです」
このヴィフレア王国は魔術師と魔道具師の国と呼ばれている。
でも、私は【魔力なし】であっても、獣人でもあっても関係なく、みんなが楽しく暮らせる国であってほしいと思う。
「そう……。サーラちゃんはそんなことを考えているのね」
「これは簡単に断れねぇ話だな」
「少し時間をもらえるか? 少し考えてから返事をしたい」
私はうなずいた。
「もちろんです」
全員の顔つきが変わった。
これが、表通りと裏通りが繋がるための試みだと気づいたからだ。
「表通りの店と対等な立場で商売をする……」
「俺たちが本当にそんなことができるのか……?」
彼らが難しい顔をするのも当たり前だ。
夜に灯す明かりすら調達するのが大変な裏通りと、惜しみ無く魔石を使える表通り。
その差をどうするか、すべて私に委ねられた。
悪くない返事をもらえた私は、フランと一緒に市場を出た。
「サーラはさ。とんでもないことを考えるね。表通りに裏通りの店を出すなんてさ、本当になったらすごいことだよ」
フランは無理だと言いたいところだろうけど、言わなかった。
「実現できたら、人々の意識が大きく変わると思うんです」
「うん。おれも楽しみだ。あのさ、サーラ。こんな時になんだけどさ」
「なんですか?」
「いつか獣人国に来てほしい。みんな、サーラが大好きだし、会いたいって言ってるんだ!」
「私も獣人の皆さんが大好きですよ!」
まさに夢の国『もふもふランド』である。
うさ耳、リス耳、犬耳――猫ちゃんなんかいたりして。
考えただけで、うっとりしてしまう。
「獣人国に行くなら、ブラシを持っていかないといけませんね!」
なにが悪かったのか、不信感たっぷりの目でフランから見られてしまった。
さっきまでの私の信頼はなんだったのというくらいの目だ……
「今回は無理だろうけどさ。サーラに言っておかなきゃって思ったんだ」
「ぜひ、行きたいです。私が獣人の皆さんのことが大好きだって、伝えておいてくださいね!」
「うん! わかったよ!」
私とフランは旅支度を終えた。
いよいよ、私とフランは旅立つ――アールグレーン公爵領へ!
でも、一番大変だったのは魔物対策だった。
以前、竜の巣へ行った時は、王家の馬車だったから、魔物のことをすっかり忘れていたのだ。
ヴィフレア王家の馬車には、宮廷魔道具師が作った魔物避けの馬車用ランプと馬具が使われている。
上位の魔獣クラスでなければ、近寄れない最強仕様だ。
でも、そんな立派な馬や馬車を一般人が用意できるわけがない。
だから、傭兵を雇うのだとか。
「フラン、これで本当に魔物対策は大丈夫ですか?」
フランと一緒に市場へやってきて、日持ちする食料を購入している。
なにかあった時のための非常食は、馬車に常備しておくといいらしい。
フランは旅の経験があるから、私より知識を持っていて、頼りになる。
「魔物避けのランプがあるだけで、かなり違うよ。魔物は火と魔石が嫌いだからさ」
「火はなんとなくわかりますが、魔物は魔石が嫌いって、どうしてですか?」
「え? おれに聞かれてもわかんないよ……。ただ、そうだとしか……」
食料袋に購入した瓶詰めジャムを入れながら、フランは首をかしげた。
「魔石は魔道具師が見つけたものだからな。それまでは、この世界に魔石は存在しなかった」
「シエルさん!」
私の前に現れたのは、竜族のシエルさんだった。
シエルさんは竜の姿から、人間の姿に擬態しているけれど、神秘的なオーラは隠しきれていない。
「石は魔力を覆う殻だ。魔物は本能的に魔力が自分たちを殺すものだと知っている」
「魔術で殺されてきたからですね。魔物がリアムを避けるって言ってました」
シエルさんはリアムの名前を聞いて、嫌そうな顔をした。
「そんなにリアムが嫌いですか?」
「魔術師も魔道具師も好きではない。からあげの魔術師だけは別だ。お前のことは気に入っている」
「は、はぁ……ありがとうございます……」
本職は魔道具師。
魔道具を褒められたい私としては、ちょっと複雑な心境である。
「ヴィフレア一族は魔法しか使えなかった。それを魔道具師を名乗る男が現れ、石を魔石にし、奴らに与えたせいで、この世界は一変した」
竜族の寿命は長い。
シエルさんは三百年前の戦いを知っているし、族長息子と言っていたから、族長はもっと長生きなのだと思う。
歴史に詳しくて、私が知らないことも当然のように知っている。
――人間が魔物や獣人、竜と渡り合えるようになったのは、魔石を利用した魔道具が作られてからってことですよね。
魔道具師のファルクさんたちが、装備品にこだわっていたのは、根っこに戦いの歴史があったからだ。
『魔術と魔道具は人々を守るもの』
それが、ヴィフレア王国の初代国王と建国の魔道具師が目指した魔道具だったという。
シエルさんの壮大な話を真面目に聞いていると、みんなが振り返り、こちらを見ているのに気づいた。
「シエルさん。もしかして、竜語じゃなくて人間の言葉を話してます?」
シエルさんは得意顔で、私に言った。
「ああ。人の言葉を使えるように勉強した。市場で買い物を楽しみたいからな」
からあげ屋の屋台の前では、大量のからあげを購入している竜族の姿が見えた。
人の姿に擬態しているとはいえ、彼らの姿は神々しい。
シエルさんは金髪と金色の瞳という神秘的な容姿をしている。
異国風の服装をしていなかったら、とても目立っていたと思う。
今のところ異国人を装うことで、かろうじて竜族だとバレずに済んでいる。
もし、竜だとわかったら、騎士団が総出で討伐にやってくるだろう。
たとえ、彼らがからあげの袋を嬉しそうに抱えていたとしても……
「えーと、シエルさん。しばらく旅に出るので、数週間ほど留守にします」
「ほう。どこへ旅する予定だ?」
「実家の領地が東のほうにあって、来るように言われているんです」
「結婚の準備か? 王子がお前を妃に望んでいると、市場の人間が話しているのを聞いた」
人々の間に、私の結婚の噂が流れていると知った。
「妃だなんて。私とリアムはまだそんなっ……」
「死神? 相手は第一王子ではないのか?」
――第一王子? ルーカス様のこと?
思わず思わず、真顔になった。
「ルーカス様とは結婚しません。それから、リアムは死神じゃないです。見た目はたしかにそれっぽいですけど」
ちょっとムッとして、私が言うと、シエルさんはくすりと笑った。
「ちゃんとリアムって呼んでください。勘違いされやすいですけど、リアムは優しくて、私を助けてくれるすごい魔術師なんです!」
「優しい? それはお前にだけではないのか? 奴は敵に容赦しない」
「だったら! せめて、シエルさんだけでも、リアムの敵じゃなくて、味方になってもらえませんか?」
「そこまで、お前が必死になって頼み込む人間でもあるまい。少々、妬けるな」
竜族にとって、魔術師は自分たちを脅かす危険な存在だ。
そして、その魔術師の頂点に立つリアムは、彼らにとって最大の敵であるのは間違いない。
「シエルさん、からかわないでください。私は本気で言ってるんです」
「我も本気だが。竜の巣にいつもお前がいると面白そうだしな」
「面白い!? 私に笑いを求められても困ります」
――もしや芸人として勧誘されている!?
「そういう意味で言ったのではないのだが……」
シエルさんはちらりと周囲を目をやった。
なんの変哲もない賑やかな市場の光景である。
「今日は死神はいないのか」
「死神じゃなくて、リアムです」
どうやら、リアムがいるかどうか確認したようだ。
「余計なお世話かもしれないが、奴だけはやめておけ」
シエルさんは私を哀れむように見た。
「呪われた魔術師だ。愛しても幸せにはなれまい」
「え? 呪われた?」
「忠告はした。ではな」
からあげが入った袋を抱えた竜族が、シエルさんを待っていた。
立ち去ろうとしたシエルさんはなにを思ったのか、足を止めて振り返り、私の顔をジッと見た。
「……ここへ来てもお前がいないとは、つまらんな」
シエルさんは退屈なのかもしれない。
人生……竜生にも楽しみは必要だと思う。
「シエルさん。実はまた、新しいものを考えているんです」
「ほう」
「だから、帰ってくるのを楽しみに待ってていてください!」
シエルさんは微笑んだ。
「わかった。お前は人間だが気に入っている。少しでも長く生きろ。危険な目にあった時は、竜族を呼べ」
これは、無事に帰ってこいという言葉だ。
竜族のシエルさんにとって、人間の時間は短く、あっという間に過ぎていく。
――でも、記憶は残る。
シエルさんは昔のことを鮮明に覚えている。
だから、きっと私のことも忘れないでいてくれるはずだ。
そして、他の竜たちも。
私は竜族のみんなが忘れないような人生を送りたい。
シエルさんの大きな背中を見送りながら、そう思った。
「でも、このままだと、からあげを見るたびに思い出す私の存在……」
後世に残るからあげ令嬢の伝説。
からあげは美味しいけど、からあげのイメージで終わりたくない!
魔道具師として認識されたいところだ。
「サーラ。話は終わった?」
フランが干した肉や小麦粉、砂糖や塩などを購入して戻ってきた。
「ありがとうございます。私が話している間に買ってきてくれたんですね」
「うん」
旅の食料は、町や村に立ち寄った時にも仕入れることができる。
今のところ、立ち寄る町を決め、商人ギルドに頼んで宿屋を予約してもらったので、野宿せずに済む。
けれど、なにが起こっても困らないよう食料は多めに積んだ。
「あとは市場の店主たちに、ファルクさんの依頼を話して、今日の予定は終わりです」
「それが一番の難関だと思うよ」
はぁっとフランはため息をついた。
表通りで商売をする――それは、裏通りの人々にとって、雲の上のような人々と関わるということだ。
同じ王都に暮らしながら、表通りと裏通りは、まったくの別世界で、正反対の生活だ。
貧富の差は大きく、対等に商売するなんて無理だと、誰もが思うはずだ。
――でも、私はそう思わない。
表通りも裏通りも関係なく、みんなが楽しんでいた市場のお祭り。
その光景が、私の目に焼きついて残っている。
まずは、揚げパンの人気店を訪ねてみた。
「こんにちは!」
「サーラちゃん! いらっしゃい!」
店主が器用にパン生地をねじり、形を作る。
その生地を油を入れた大きな鉄鍋に、生地が次々と放り込まれていく。
沈んだ生地がぷかりと浮いてきたら、ひっくり返して、しばらく揚げる。
きつね色になったら、サッと揚げ、甘い砂糖をまぶす。
紙にくるんだ熱々の揚げパンを渡してくれた。
「いやぁ、こないだサーラちゃんが【修復】してくれた椅子だけど、前より丈夫になってたよ」
屋台の人たちは休憩用に小さな椅子や木箱などを使っている。
揚げパン屋のおじさんは、恰幅のいい人で、子供が座るような椅子では、体重に耐え切れずに壊れてしまった――というわけである。
ちょうど通りかかった私が、椅子を【修復】した。
「それはよかったです。……あのっ! よかったら、表通りで揚げパンを売りませんか?」
「表通りに揚げパンを?」
「はい!」
「裏通りで屋台をやってる人間が、表通りで商売なんてとんでもない!」
速攻でお断りされてしまった。
お隣の屋台で、私と揚げパン屋の主人の話を聞いていたのは、肉串の屋台の奥さんだった。
こちらにひょっこり顔を出した。
「サーラちゃん、それは無理ってもんだよ」
「私は無理だと思っていません!」
「サーラちゃんは私たちを対等に扱ってくれるけどね……。普通の貴族はそうじゃない」
「俺たちはこの市場で商売ができるだけで、じゅうぶんだ」
「そうそう。賑やかで明るくて。いつものお客様がきてくれるなら、それでいいの!」
そんなふうに言われるだろうと思っていた。
だから、私は簡単に引き下がったりしない!
「私は裏通りの商品が、表通りに劣るとは思っていません」
市場のみんなは笑っていたけど、私は笑わなかった。
私は本気で表通りと裏通りが一緒に商売ができると考えているからだ。
真剣な私の顔を見て、笑っていた市場の人たちが怯んだ。
「裏通りのお祭りは好評ですし、お忍びで貴族も大勢来てました。商品は悪くないんです!」
「そ、そりゃあ、もちろん。私たちも売る物に誇りはあるよ。でもねぇ……表通りで商売している店は店構えからして違うだろ?」
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話を聞いていたフランが、私には理解できないと思ったのか、横から口を挟んだ。
「あのさ、サーラ。みんなが言ってるのは、舞踏会に招待されたけど、着ていくドレスがないってことなんだよ。みすぼらしいドレスで参加したら、笑い者になる。みんな、笑い者になりたくないんだ」
フランはかぶっていたキャスケット帽をぎゅっと握り締めた。
握り締めた帽子は、フランが耳を出したまま、表通りの魔道具店に入れなかった時に買った帽子だ。
獣人であるフランは、差別されるのを恐れ、魔道具店に入るのをためらった。
その時のことをフランは思い出しているようだった。
「絶対、笑い者にはさせません」
「サーラ……」
フランが泣き笑いのような顔で、私を見上げた。
「サーラなら、きっとそう言うと思ったよ……」
市場の人たちの気持ちは、あの時のフランと同じ気持ちなのだ。
でも、表通りの人々の気持ちは変化している。
裏通りのお祭りにやってきたり、私の店で買い物をしたり、以前とまったく違う雰囲気だ。
それに気づいているのは、私だけじゃないはずだ。
「裏通りと表通りの店が、対等に商売できると、私は証明してみせます!」
「いやいや、市場の姿を見てくれよ! 対等って呼べないだろ?」
「あんた、ちょっと黙ってな」
肉屋の主人を黙らせると、奥さんがずいっと前に出た。
奥さんは黙って肉を焼いてろと言わんばかりに、肉屋の主人に肉串を持たせると、黙って肉を焼き始めた。
どうやら、店を取り仕切っているのは奥さんのほうらしい……
「私らはさ、サーラちゃんに協力したくないわけじゃあない。市場を助けてくれた恩があるし、信用してるよ」
肉串屋の奥さんに同感とばかりに、揚げパン屋の奥さんも話に加わった。
「サーラちゃんに依頼を持ってきたのは誰? もしかしたら、サーラちゃんを追い詰める罠かもしれないでしょ? それが私たちは心配なのよ」
市場の妻たちの言葉に、うんうんと男性陣は遠くでうなずいていた。
市場の店主は奥さんの意向に従う姿勢だ。
「サーラちゃんが失敗すれば、裏通りからいなくなってしまうかもしれないじゃない?」
「それだけはないって約束してくれないとね!」
奥さんたちは私のことを自分の娘みたいに心配してくれていた。
――まるで、私の家族みたい。
裏通りのみんなは温かかった。
信頼できる人たちだ。
だから、私はこの先の王都を――ヴィフレア王国をどんなふうにしたいか話すことにした。
今の裏通りの人々なら、一緒に目指してくれるような気がしたからだ。
「今は商売だけですけど、私はいずれ表通りと裏通りの隔たりをなくしたいと考えています」
私の言葉に裏通りのみんなは驚いていた。
「裏通りの人が表通りを気軽に歩けたり、表通りの人がお忍びじゃなくて、堂々と市場へ買い物に来るような国にしたいんです」
このヴィフレア王国は魔術師と魔道具師の国と呼ばれている。
でも、私は【魔力なし】であっても、獣人でもあっても関係なく、みんなが楽しく暮らせる国であってほしいと思う。
「そう……。サーラちゃんはそんなことを考えているのね」
「これは簡単に断れねぇ話だな」
「少し時間をもらえるか? 少し考えてから返事をしたい」
私はうなずいた。
「もちろんです」
全員の顔つきが変わった。
これが、表通りと裏通りが繋がるための試みだと気づいたからだ。
「表通りの店と対等な立場で商売をする……」
「俺たちが本当にそんなことができるのか……?」
彼らが難しい顔をするのも当たり前だ。
夜に灯す明かりすら調達するのが大変な裏通りと、惜しみ無く魔石を使える表通り。
その差をどうするか、すべて私に委ねられた。
悪くない返事をもらえた私は、フランと一緒に市場を出た。
「サーラはさ。とんでもないことを考えるね。表通りに裏通りの店を出すなんてさ、本当になったらすごいことだよ」
フランは無理だと言いたいところだろうけど、言わなかった。
「実現できたら、人々の意識が大きく変わると思うんです」
「うん。おれも楽しみだ。あのさ、サーラ。こんな時になんだけどさ」
「なんですか?」
「いつか獣人国に来てほしい。みんな、サーラが大好きだし、会いたいって言ってるんだ!」
「私も獣人の皆さんが大好きですよ!」
まさに夢の国『もふもふランド』である。
うさ耳、リス耳、犬耳――猫ちゃんなんかいたりして。
考えただけで、うっとりしてしまう。
「獣人国に行くなら、ブラシを持っていかないといけませんね!」
なにが悪かったのか、不信感たっぷりの目でフランから見られてしまった。
さっきまでの私の信頼はなんだったのというくらいの目だ……
「今回は無理だろうけどさ。サーラに言っておかなきゃって思ったんだ」
「ぜひ、行きたいです。私が獣人の皆さんのことが大好きだって、伝えておいてくださいね!」
「うん! わかったよ!」
私とフランは旅支度を終えた。
いよいよ、私とフランは旅立つ――アールグレーン公爵領へ!
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