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第4章
15 見過ごせない命令無視 ※ルーカス視点
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――ユディンは僕に忠誠を誓うだろうか?
僕の思うがままになった王宮は居心地がいいが、アールグレーン公爵家の後ろ楯がほしい。
今の王宮は、リアムに媚びていた連中を追い出し、平穏そのもの。
足りない人員は、サンダール公爵家の人間を補充したが、さすがにそれだけでは間に合わない。
サンダール公爵には言えないが、あいつが僕を裏切った時のことを考え、アールグレーン公爵家の力が必要だ。
「ユディンのお願いを聞いてやったんだし、空気を読まない迷惑な男でも、多少の遠慮はするだろう」
王家の紋章が入った机に寄りかかった。
僕がいるのは、王の執務室だ。
代々の国王が座っていた机と椅子がある。
――僕が王だ。
この部屋にいると、その実感が高まってくる。
「サーラはアールグレーン公爵領へ行けば、嫌でも自分の立場がわかるだろうし、あの調子に乗った態度を改めるはずだ」
王家に次ぐ魔力を持つアールグレーン公爵家。
親族たちは【魔力なし】のサーラを一族の汚点として、存在を無視してきた。
歓迎されないだろう。
できそこないの【魔力なし】、家の意向に逆らう裏切り者、王子の妃になりそこねた役立たず――問題はまだまだあるけどね?
そんな彼女をもう一度、妃にしてあげようと言った僕に感謝してほしいくらいだ。
――僕はなんて寛大な夫だろう!
そんなことを考えていると、部屋の扉をノックする音に気づいた。
「誰だ?」
「ルーカス様、おはようございます。本日の昼食はいかがされますか?」
「侍従か。入室を許す」
僕の身の回りの雑務をこなす侍従が現れた。
「侍従。昼食の前に着替えを。午後用の服に着替えたい。昼食は自室へ運ぶように」
「かしこまりました」
侍従はうなずくと、侍女を呼び、着替えの準備を命じた。
「では、ルーカス様。部屋へ戻られますか?」
「今日は来客もないからね。執務室にいてもやることがない」
「……さようでございますか」
侍従が言いたいことは、なんとなく察することができた。
だが、侍従はなにも言わなかった。
王宮は人が減り、父上がいた時のような活気はなくなっていた。
だが、僕の心は穏やかだ。
部屋へ戻ると、侍女たちが準備をして待っていた。
時間に余裕があるため、ゆっくり身だしなみを整え、アクセサリーを選ぶ。
そのどれもが、護符か魔力を補うための魔道具だ。
「おや? ルーカス様。そちらの魔石は、サンダール公爵家からの贈り物ですか?」
侍従が見つけたのは、サンダール公爵が持ってきた僕への贈り物だった。
なんでも、変わった魔石らしく、サンダール公爵家の紋章が入った宝石箱に入れられていたが、蓋が空いていた。
「まだ【研磨】前の魔石だけど、変わった魔石らしくてね」
「ほう。【研磨】前の石で、これほど不思議な色合いを持っているのであれば、なにか特別な力を秘めておりそうですな」
石の断面は鏡のようになっており、侍従と僕の姿を映している。
「セアンの【鑑定】によると、【鏡】の効果がある魔石らしい」
「それは、いったいどんな効果が?」
「護符と同じ効果だと言っていたかな」
サンダール公爵は『僕を守る』という意思表示をするのが目的で、これを贈った。
希少で効果なものであることは間違いない。
「ファルクを呼んで、この魔石でなにか作らせよう」
「ファルク殿は、たしかな腕とセンスをお持ちですからな」
「ああ」
「しかし、セアン様はさすが宮廷魔道具師長ですなぁ。これほど珍しい魔石を見つけられるとは」
セアンは才能を認められ、サンダール公爵家の養子になったサンダール公爵家の忠犬だ。
サンダール公爵はセアンを信頼し、領地内の採掘場で採掘された石は、すべてセアンに【鑑定】させている。
それだからか、セアンの【鑑定】スキルは他の魔道具師に比べ、群を抜いている。
「そういえば、ルーカス様。騎士団長が休暇中と聞きましたが、王宮の警備は大丈夫でしょうか?」
「心配しなくていい。宮廷魔術師たちがいる」
近衛騎士団がいなくても、宮廷魔術師たちが王宮にいるのだ。
それにリアムがいれば――
――そうだ。リアムがいる。
リアムに国王代行として命令を下し、こき使ってやるのも面白いかもしれない。
今まで、あいつは僕を劣った存在だと思って、馬鹿にしてきた。
その劣った存在に、こき使われる屈辱をあいつに与えてやろう。
「リアムに門番をさせてみるか」
「リアム様でございますか? リアム様は休暇中だと、他の侍従から聞いております」
「は? リアムが休暇?」
宮廷魔術師長が休暇を取る場合、国王の許可が必要になるはずだ。
なにを勝手に休んでいるんだ?
「相変わらず、勝手な奴だ。どうせ屋敷にいるんだろう。呼び出せ!」
いつもなら、侍従は僕の命令に、すんなり承諾するはずが、困惑した様子で返事がない。
「どうしたんだ?」
「い、いえ、その……リアム様は旅行だと聞いているのですが……」
「僕は許可していないぞ!」
宮廷魔術師は国王の直属。
国王を守るのは、宮廷魔術師の役目だ。
特に宮廷魔術師長は他の宮廷魔術師と違い、王都の外へ出る際は、国王の許しが必要になる。
国王の側近なのだ。
――リアムめ! 僕を王だと認めていないと、行動で示したのか!
「どこへいった避暑地か? それとも、他国か?」
侍従が身を縮こまらせたのを見て、嫌な予感がした。
「……アールグレーン公爵領でございます」
――サーラに同行したのか!
それを聞いた瞬間、感情が抑えられず、激しい口調で侍従に命じていた。
「今すぐ、宮廷魔術師たちにリアムを追わせ、捕まえろ!」
「そ、それが、宮廷魔術師たちのほとんどが病欠でして……」
「病欠?」
「腹痛と頭痛と発熱があるそうです」
――それ、仮病だろ?
そう言いたかったが、グッとこらえた。
リアムを身近で見てきた宮廷魔術師たち。
他の誰よりもリアムの強さを理解しているのは、宮廷魔術師たちだ。
我が弟ながら、まるで化け物のようだ。
だが、問題はそこじゃない。
宮廷魔術師たちは、王である僕のために、命を賭けてまで戦う気がないということだ。
――僕に逆らうのか。気に入らない。ならば、従わせるまで。
「王命に背くつもりかと言って、宮廷魔術師たちを脅してやれ」
「ひ、ひえっ! ルーカス様、宮廷魔術師たちを敵に回してはいけません! 彼らはこのヴィフレア王国を守る砦! 王が宮廷魔術師と争ったことは一度としてありませんぞ!」
侍従は僕を必死になって止めた。
「ルーカス様。落ち着いてください。リアム様が向かったのはアールグレーン公爵家。ユディン様が当主になれば、サーラ様の勘当を解き、妃に戻すでしょう」
ユディンのへらへらした顔が頭に浮かんだ。
『勘当? そんなの父上が勝手にやったことだし、無効だよ!』と言うユディンの姿が目に浮かぶ。
サーラの勘当はユディンが公爵となれば、確実に無効となる。
なぜなら、僕とユディンが敵対するメリットはないからだ。
だが、正直言って、ユディンは苦手だ――いや、得意な人間のほうが少ないだろう。
「アールグレーン公爵家の血を引くユディン様なら、国王代行に逆らい、リアム様に味方することが、いかに無駄であるかおわかりになるはずです」
「そうだな。だが、宮廷魔術師に伝えろ。病が治り次第、リアムを追い、捕まえ王宮へ連れてこいと」
侍従は従順にうなずくと、部屋から出ていった。
――忌々しい! 宮廷魔術師め! なぜ、僕に従わない!
リアムが王にふさわしいと言いたいのか――サンダール公爵から贈られた石の断面に、僕の顔が映った。
リアムに嫉妬し、醜く歪んだ表情が見えた。
僕が王になれば、今まで僕が味わってきた屈辱をリアムにも味わすことができると思っていた。
だが、まだ一度もリアムに勝ったという実感がない。
――理由はわかっている。それはサーラ、君がリアムのそばにいるからだ……
僕の思うがままになった王宮は居心地がいいが、アールグレーン公爵家の後ろ楯がほしい。
今の王宮は、リアムに媚びていた連中を追い出し、平穏そのもの。
足りない人員は、サンダール公爵家の人間を補充したが、さすがにそれだけでは間に合わない。
サンダール公爵には言えないが、あいつが僕を裏切った時のことを考え、アールグレーン公爵家の力が必要だ。
「ユディンのお願いを聞いてやったんだし、空気を読まない迷惑な男でも、多少の遠慮はするだろう」
王家の紋章が入った机に寄りかかった。
僕がいるのは、王の執務室だ。
代々の国王が座っていた机と椅子がある。
――僕が王だ。
この部屋にいると、その実感が高まってくる。
「サーラはアールグレーン公爵領へ行けば、嫌でも自分の立場がわかるだろうし、あの調子に乗った態度を改めるはずだ」
王家に次ぐ魔力を持つアールグレーン公爵家。
親族たちは【魔力なし】のサーラを一族の汚点として、存在を無視してきた。
歓迎されないだろう。
できそこないの【魔力なし】、家の意向に逆らう裏切り者、王子の妃になりそこねた役立たず――問題はまだまだあるけどね?
そんな彼女をもう一度、妃にしてあげようと言った僕に感謝してほしいくらいだ。
――僕はなんて寛大な夫だろう!
そんなことを考えていると、部屋の扉をノックする音に気づいた。
「誰だ?」
「ルーカス様、おはようございます。本日の昼食はいかがされますか?」
「侍従か。入室を許す」
僕の身の回りの雑務をこなす侍従が現れた。
「侍従。昼食の前に着替えを。午後用の服に着替えたい。昼食は自室へ運ぶように」
「かしこまりました」
侍従はうなずくと、侍女を呼び、着替えの準備を命じた。
「では、ルーカス様。部屋へ戻られますか?」
「今日は来客もないからね。執務室にいてもやることがない」
「……さようでございますか」
侍従が言いたいことは、なんとなく察することができた。
だが、侍従はなにも言わなかった。
王宮は人が減り、父上がいた時のような活気はなくなっていた。
だが、僕の心は穏やかだ。
部屋へ戻ると、侍女たちが準備をして待っていた。
時間に余裕があるため、ゆっくり身だしなみを整え、アクセサリーを選ぶ。
そのどれもが、護符か魔力を補うための魔道具だ。
「おや? ルーカス様。そちらの魔石は、サンダール公爵家からの贈り物ですか?」
侍従が見つけたのは、サンダール公爵が持ってきた僕への贈り物だった。
なんでも、変わった魔石らしく、サンダール公爵家の紋章が入った宝石箱に入れられていたが、蓋が空いていた。
「まだ【研磨】前の魔石だけど、変わった魔石らしくてね」
「ほう。【研磨】前の石で、これほど不思議な色合いを持っているのであれば、なにか特別な力を秘めておりそうですな」
石の断面は鏡のようになっており、侍従と僕の姿を映している。
「セアンの【鑑定】によると、【鏡】の効果がある魔石らしい」
「それは、いったいどんな効果が?」
「護符と同じ効果だと言っていたかな」
サンダール公爵は『僕を守る』という意思表示をするのが目的で、これを贈った。
希少で効果なものであることは間違いない。
「ファルクを呼んで、この魔石でなにか作らせよう」
「ファルク殿は、たしかな腕とセンスをお持ちですからな」
「ああ」
「しかし、セアン様はさすが宮廷魔道具師長ですなぁ。これほど珍しい魔石を見つけられるとは」
セアンは才能を認められ、サンダール公爵家の養子になったサンダール公爵家の忠犬だ。
サンダール公爵はセアンを信頼し、領地内の採掘場で採掘された石は、すべてセアンに【鑑定】させている。
それだからか、セアンの【鑑定】スキルは他の魔道具師に比べ、群を抜いている。
「そういえば、ルーカス様。騎士団長が休暇中と聞きましたが、王宮の警備は大丈夫でしょうか?」
「心配しなくていい。宮廷魔術師たちがいる」
近衛騎士団がいなくても、宮廷魔術師たちが王宮にいるのだ。
それにリアムがいれば――
――そうだ。リアムがいる。
リアムに国王代行として命令を下し、こき使ってやるのも面白いかもしれない。
今まで、あいつは僕を劣った存在だと思って、馬鹿にしてきた。
その劣った存在に、こき使われる屈辱をあいつに与えてやろう。
「リアムに門番をさせてみるか」
「リアム様でございますか? リアム様は休暇中だと、他の侍従から聞いております」
「は? リアムが休暇?」
宮廷魔術師長が休暇を取る場合、国王の許可が必要になるはずだ。
なにを勝手に休んでいるんだ?
「相変わらず、勝手な奴だ。どうせ屋敷にいるんだろう。呼び出せ!」
いつもなら、侍従は僕の命令に、すんなり承諾するはずが、困惑した様子で返事がない。
「どうしたんだ?」
「い、いえ、その……リアム様は旅行だと聞いているのですが……」
「僕は許可していないぞ!」
宮廷魔術師は国王の直属。
国王を守るのは、宮廷魔術師の役目だ。
特に宮廷魔術師長は他の宮廷魔術師と違い、王都の外へ出る際は、国王の許しが必要になる。
国王の側近なのだ。
――リアムめ! 僕を王だと認めていないと、行動で示したのか!
「どこへいった避暑地か? それとも、他国か?」
侍従が身を縮こまらせたのを見て、嫌な予感がした。
「……アールグレーン公爵領でございます」
――サーラに同行したのか!
それを聞いた瞬間、感情が抑えられず、激しい口調で侍従に命じていた。
「今すぐ、宮廷魔術師たちにリアムを追わせ、捕まえろ!」
「そ、それが、宮廷魔術師たちのほとんどが病欠でして……」
「病欠?」
「腹痛と頭痛と発熱があるそうです」
――それ、仮病だろ?
そう言いたかったが、グッとこらえた。
リアムを身近で見てきた宮廷魔術師たち。
他の誰よりもリアムの強さを理解しているのは、宮廷魔術師たちだ。
我が弟ながら、まるで化け物のようだ。
だが、問題はそこじゃない。
宮廷魔術師たちは、王である僕のために、命を賭けてまで戦う気がないということだ。
――僕に逆らうのか。気に入らない。ならば、従わせるまで。
「王命に背くつもりかと言って、宮廷魔術師たちを脅してやれ」
「ひ、ひえっ! ルーカス様、宮廷魔術師たちを敵に回してはいけません! 彼らはこのヴィフレア王国を守る砦! 王が宮廷魔術師と争ったことは一度としてありませんぞ!」
侍従は僕を必死になって止めた。
「ルーカス様。落ち着いてください。リアム様が向かったのはアールグレーン公爵家。ユディン様が当主になれば、サーラ様の勘当を解き、妃に戻すでしょう」
ユディンのへらへらした顔が頭に浮かんだ。
『勘当? そんなの父上が勝手にやったことだし、無効だよ!』と言うユディンの姿が目に浮かぶ。
サーラの勘当はユディンが公爵となれば、確実に無効となる。
なぜなら、僕とユディンが敵対するメリットはないからだ。
だが、正直言って、ユディンは苦手だ――いや、得意な人間のほうが少ないだろう。
「アールグレーン公爵家の血を引くユディン様なら、国王代行に逆らい、リアム様に味方することが、いかに無駄であるかおわかりになるはずです」
「そうだな。だが、宮廷魔術師に伝えろ。病が治り次第、リアムを追い、捕まえ王宮へ連れてこいと」
侍従は従順にうなずくと、部屋から出ていった。
――忌々しい! 宮廷魔術師め! なぜ、僕に従わない!
リアムが王にふさわしいと言いたいのか――サンダール公爵から贈られた石の断面に、僕の顔が映った。
リアムに嫉妬し、醜く歪んだ表情が見えた。
僕が王になれば、今まで僕が味わってきた屈辱をリアムにも味わすことができると思っていた。
だが、まだ一度もリアムに勝ったという実感がない。
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