私達には婚約者がいる【菱水シリーズ④】

椿蛍

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32 堕ちるなら ※R-18

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以前、泊まったスイートルームとは違うスイートルームで、今回は部屋数が少ない代わりに眺めもよく浴室からも美しい眺めが楽しめる。
そんな部屋には知久が頼んだのか、よく冷えたスパークリングワインとホールサイズのケーキとフルーツ、サンドイッチが並んでいた。
お昼が多かったせいか、少ししか食べられなかったけど、それはたいした問題じゃなかった。
浴槽には薔薇の花びらが浮いていて甘い香りがする。
これはハネムーン仕様じゃないのかしらと思わずにいられないくらい豪華だった。

「あのね、知久。それで、種明かしはどうなったの?」

「んー、どうなんだろうねー」

「言いなさいよ」

「小百里からキスしてくれたら言おうかな」

薔薇の香りがする温いお湯を肩にかけ、舌を肌の上で遊ばせる。
お湯が落ちていくのを追って、舌が這う。

「……っ!」

知久は私の反応を楽しんで、笑っていた。

「い、一緒にお風呂に入ったら教えるって約束だったでしょ!?」

背後から抱きかかえ、私の背中に唇を押しあて、肌を味わうように舐めた。

「と、もひさ……!」

怒るわよ、と振り返った先に髪を濡らした知久が前髪をかきあげて、色っぽく目を細めて私を見つめている姿があった―――ぞくりとして肌が粟立った。
ゾっとするほど、知久は綺麗だった。
髪の先から落ちた水滴が、知久の滑らかな皮膚の上に滑っていく。
見なければよかったと後悔した。
色気がありすぎて、圧倒的に不利。
触れられている手から伝わる刺激が、私の理性を蝕んだ。

「ほら、小百里。ワイン飲んで。これ、美味しいよ?」

「ん……」

振り返ったタイミングで、自分の口からワインを飲ませる。
私の言葉を消すようにして。
口の端からこぼれたワインを舐めとり、首筋に口づける。

「ま、まってっ……」

「小百里はワイン好きだよね」

悪魔のように笑って、耳元で囁いた。

「それとも俺のキス?」

「と、もひ……さ」

頭がくらくらとして、このままじゃ、なにも聞けなくなる。
体の熱とアルコールのせいか、のぼせてしまいそうになっていた。
ずっと与えられている刺激に耐えようと浴槽の縁を握っていると、その指を知久が解いた。

「指を痛めるよ」

「だっ……て……」

わざとなのか、私に見せつけるように指を一本ずつ舐めていく。
その顔は挑発的で、恐ろしいほどに色っぽい。
アルコールの味がまだ舌先に残っていた。
私が酔っているのはアルコール?
それとも、知久の触れる指や舌?
知久は私を煽って、自分にすがりつくのを待っている。

「んっ……」

お湯の中で胸をゆっくりと、すくいあげる。
零れたお湯の音と熱を帯びた私と知久の目が絡み合って、下腹部が甘く痺れた。
私も知久も会えなかった分のキスを何度も繰り返し、タガが外れたように―――泣きそうになりながら、キスをした。
息を乱してもやめてはくれない。

「小百里、もっとだよ」

「欲張りね……」

「何年分だと思ってるのかな?」

「帰って来てから、私にキスしたのを忘れたの?」

「お預けされたやつは数えない」

根に持っているらしく、知久は意地悪な顔をした。
思い出したのか、チリッとした痛みと共に私の体に赤い痕を残していく。
その痕を宝物のように舌がなぞる。

「……ん」

体にいくつ刻み付けたのか、続く舌の感触に身を悶えさせた。
下腹部に指が触れ、びくりと震えた。
知久の指は繊細で、優しい。
その優しい動きが私の頭をおかしくする。
同じ場所を何度も繰り返し、責め続けた。

「あ……や、めっ……て……おかしくなるから……」

「やめて欲しいって顔はしてないけど?」

ぐらりと目の前が揺れ、倒れかけた体を大きな手が受け止めた。
手のひらが熱い。
知久の顔を見上げると、くすりと笑った。

「俺もきついんだよ?」

ちゅ、と音をたてて体にキスを落とす。

「でも、聖人君子になれるんじゃないかってくらい待たされたから、これくらいはなんでもないな」

感じていたのを隠していても、私の白い肌は朱に染まり、息を乱していたのを知久は見逃さなかった。

「小百里の顔が見たい。こっちを向いて」

「知久っ……」

背後から抱かれているのと、正面からでは恥ずかしさが違う。
明るい浴室のライトに照らされて、体の隅々まで見られるのは恥ずかしい。
体を捻って隠そうとしたけれど、腰をつかまれて動けなかった。
なにをするのかと思っていたら、足を抱えて顔を秘部へと埋めた。

「いやっ……やめて!」

まさかそんな場所を舐められるとは思いもよらず、それも明るい中で見られたくなかった。

「留学前、小百里は俺に全部くれるって約束したよね」

「意味がちがっ……や、あ」

舌が中で動いたのがわかり、体を跳ねさせた。
お互いの粘液が絡み合い、ぬるりとした感触を足の間に感じ、自分がこぼしたものだとわかった。
知久は容赦がなかった。
感じているのがわかると舌だけじゃなく、指で中を擦りあげてとんとんとリズムよく感じる部分を探し当てて叩いた。

「あ、あぁ、ひ、あ……や、あ、そこばっかりっ……」

舌の感触だけでなく、知久の熱い息がかかり、理性が吹き飛びそうになる。
やわらかい花弁を舌で押し潰され、体がのけぞった。
指が動きを速め、浅い部分を何度も擦りあげると頭の中が真っ白になった。

「い、やっ……あ、あぁあっ」

体から力が抜けて動けなかった。
一人だけ乱れて達してしまったことが、恥ずかしかった。
淫らな姿を見せてしまったと思っていると、動けない体を抱えてベッドルームに入り、知久は性急に体を重ねた。

「何回か小百里の乱れたところをみてやろうって思っていたけど無理みたいだ」

にじんだ汗と熱い肌。
余裕がないのは私だけじゃなく、知久もだった。
胸に顔を埋め、舌が突起をなぞる。
知久は足を抱えて引き寄せると、自分の硬くなったものをあてた。
ぐっと浅く中に入ってきた時、圧迫感を感じて苦しげにしていると知久は私の髪を撫でた。

「初めての時、小百里は痛かっただろうから、今回はどろどろにしてから抱こうって決めていたけど、あんな姿見せられたら我慢できなくなる」

「だ、誰のせいよ!」

「小百里だよ。あんな甘くて余裕がない小百里の声、たまらない」

「そっ……あっ、あぁっ!」

ぐっと奥まで、一気に差し込まれて目の前がチカチカした。
圧迫感に声が出ず、口を開けるとその口に知久の唇が重なり、舌を引きずり出した。

「ふあ……あぁ」

キスをしながら、中をゆっくりと動かされて時おり奥を突く。
その突き上げられる感覚がたまらず、もがくとまた唇を追って塞がれた。

「んぅっ……」

「小百里の中、熱いな」

ギシギシとベッドが軋む音がして激しく体を揺さぶられた。

「知久っ……もっ……」

奥まで思いっきり突かれて視界が暗くなる。
熱いものを腹の奥に感じて知久が息を吐く。
どくどくと体に満たされたその熱に目を閉じた。
もうこれで終わり。
そう思っていたのに知久は私の中から出ていくどころか、また中でゆるゆると動きだし、達した体がまた反応し始める。

「む、り……まだっ……」

「一回だけじゃ足りない。だめ?」

可愛くおねだりすれば許されると思っているのだろうか。
もう無理だからと首を横に振ったけど、知久はにこっと笑った。

「あと一回くらいはいけるよね」

「まっ……」

深く穿たれて意識が飛びそうになり、シーツを掴んだ。

「ひ、あぁっ……」

さっきまでは優しくまだ浅かったのだと思い知る。

「……今なら死んでもいいな」

ふとこぼれた知久の言葉に驚き、目を見開いた。

「死なないよ」

「……ええ」

息を乱したまま、私は知久にしがみついてキスをした。
熱を感じたくて。
私達は生きていて、存在を確かめられる熱が欲しかった。
触れた肌はどこも熱くて汗がにじんでいる。

「死なないで、知久」

「もちろん。死なないよ。小百里から求めてくれてるのに死ねるわけがない」

しがみついた私の腕に触れ、くすりと笑う。
私から抱きしめられて満足そうな顔をしている。
私は彼の手の内。
本当に悪い人。
私はわかっていても止まれない。
だって、彼の望みは私の望み。
このまま、一緒に甘く堕ちてしまいたい。
どこまでも。
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