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コミカライズ記念 特別番外編【宮ノ入シリーズ①:恋人編】
10 撫子の宮会(2)
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「はい。出席されている方のお顔とお名前はわかります」
「そんなの嘘よ!」
聖子さんに注意をされたので、顔と名前を憶えてきたのに、なぜか『嘘』だと言われてしまった。
「おばあさまのことは瑞生さんから聞いて、知っているんでしょうけど、他の方までわかるわけないわ!」
綾香さんまで加わった。
たしかに普通の方法では、わかるはずがない。
けれど、こちらには顔写真と名前を把握できる閻魔帳……ではなく、八木沢ファイルが存在する。
――八木沢さんだけは敵に回したくないわ……
私は努めてにこやかに、撫子の宮会に参加する奥様たちに挨拶をしていく。
「先日、マンションのカフェ前でお会いしましたよね? 睦世さん、緋沙さん……」
私が彼女たちの名前を呼ぶと、聖子さんはサッと顔色を変えた。
「聖子さんと同じ華道教室へ通われている徳恵さん、茶道のお免状をお持ちの歌純さん」
簡単なプロフィールも頭に叩き込んできた。
「まっ、まぁ! わたくしのことまでご存じですの?」
「瑞生さんの奥様になられる方に覚えていただけているなんて、光栄ですわ」
私に好意的に手を差し出した二人を咎めるように、聖子さんはじろりと睨みつけた。
二人は気まずそうに手を引っ込める。
「もう結構よ。あなたの記憶力がいいのはわかったわ」
「ご挨拶が全員に済んでいません」
「いいと言ってるでしょ!」
「聖子おば様! おばあさまの前でヒステリックに怒鳴り散らすはやめて」
綾香さんは鋭い声音で、聖子さんを止めた。
「綾香さん、撫子の宮会に誘っていただきありがとうございます」
私が話しかけると、綾香さんは『呼ぶんじゃなかった』というような顔をした。
聖子さんもまた同様に、苦々しい表情を浮かべている。
――会長と懇意の貴子さまを招待して、その前で私に恥をかかせるつもりだった?
どうやら、そのつもりだったらしく、当てが外れた聖子さんは、頬を赤く染め、私をにらみつけた。
「美桜さんは恐ろしい人ね。私に嫌がらせするなんて……!」
――なっ!? 嫌がらせしたのは聖子さんじゃ……
そもそも、手土産を考えていた時点で、なんだか様子がおかしかった。
宮ノ入家が使うお店にするつもりが、すべて押さえられ、購入できなかった。
それならと思い、宮ノ入家と懇意の料理人のリストを調べた。
その中でも人気なのが、フランス料理のイケメンシェフ。
料理教室の講師を依頼するほど、奥様たちのお気に入り。
――お気に入りのイケメンが作ったものに、文句を言う奥様はいない(確信)!
案の定、私の手土産は大切に扱われている。
少女のように、「早く中身を確認したいわね」「楽しみだわ」と、はしゃいでいる姿が見える。
「今日は美桜さんの紹介を兼ねたお茶会ですものね。皆様に失礼のないように、楽しまれるといいわ」
聖子さんの表情からいって、『楽しまれるといい』とは思えない。
精一杯の我慢をしているようにしか見えない顔で、私に言った。
――うまく振舞えば、瑞生さんの恋人として認めてもらえると思っていたけど……
聖子さんは最初から私を認めるつもりはなかったようだ。
挨拶はうまくいったものの、聖子さんは『敵』だと思っているし、綾香さんは面白くなさそうな顔をしている。
けれど、友好的に接しようとしてくれる人も中にはいるようで――
「美桜さん、お茶をどうぞ」
「こちらのマカロンも召し上がってみて?」
「あら、本店からわざわざご注文されたの?」
「ええ。パリに本店があるでしょう。せっかくですから、本店の味を召し上がっていただきたくて」
当たり前のように交わされる会話にめまいが起きそうになった。
身内だけのお茶会で、ここまでしなくてもと思ったけれど、奥様たちはそうではなかった。
「美桜さんは結婚してからも、お仕事をなさるの?」
「はい。そばで、瑞生さんを支えたいと思っています」
「まあ、すばらしいこと。私の夫なんて、仕事に口出しすると、嫌な顔をしますのよ」
「あら、私なんて、休日の過ごし方いについて、注意しただけで叱られましたわ」
「あなたも? 休みくらい好きにさせてくれって言うのでしょ」
全員が私を歓迎していないというわけではなさそうで、ホッとした。
ふと、聖子さんのほうへ目をやると、とても不機嫌そうな顔をしていることに気づいた。
綾香さんもこちらを睨んでいる。
「あ、あら……」
「ええっと……その……」
他の方々もそれに気づき、会話が弾んでいたのに、徐々に誰も話をしなくなった。
――私のせいで、他の方が嫌がらせをされるのは、申し訳ないわ。
聖子さんと綾香さんの顔を見て、沖重にいた頃を思い出した。
私に親しい人ができると、継母も梨沙も嫌がらせをし、遠ざけて孤立させた。
――主催は聖子さん、私がいると楽しめないだろうし、ほどほどのところで帰るべきよね……
「美桜さんと仲良くおしゃべりされているのね」
「皆さん、社交的ですもの」
聖子さんと綾香さんのわかりやすい嫌味に、気まずい空気が流れ、雰囲気は最悪。
貴子さまは異様な空気に気づき、困った顔をして頬に手をあてた。
――困ったわ。どうやって、この場の空気を変えたらいいの?
そう思っていると、インターホンが鳴った。
「なにかしら? もう全員揃っているでしょ。他に招待客なんて……」
聖子さんがそう言い、来客を確認しようとモニター画面を覗き込んだ瞬間――息を呑んだ。
「聖子おば様? どうかなさったの?」
綾香さんの声も耳に入っていないようで、その場に立ち尽くして、画面を凝視している。
けれど、来客を追い返しはしなかった。
「……どうぞ、お入りになって」
絞り出すような聖子さんの声が気になり、玄関のほうに目をやると――
「瑞生さん!」
いつものスーツ姿ではなく、休日用のシャツとテーパードパンツという服装で、モノトーンだけどカジュアル感があり、魔王感が薄れ、さわやかな雰囲気を漂わせている、
「美桜。今日は挨拶だけで、帰る予定だろう?」
――挨拶だけ? そんなこと、瑞生さんに言ってないけど。
瑞生さんはこうなることを察し、迎えに来てくれたのかもしれない。
さっきまでの重々しい空気が、瑞生さんの登場で一変し、全員の視線は瑞生さんに向いていた。
「瑞生さんが撫子の宮会へ来るなんて……」
「常務の家まで足を運ぶのは、初めてじゃないかしら」
瑞生さんに聖子さんや奥様たち、綾香さんはなにもできない。
「あらまあ、瑞生さんはやっぱり会長のお孫さんねぇ。若い頃の会長に似ているわ」
「貴子さん。お元気そうで」
「ええ。瑞生さんが恋人を連れてきたというお話をうかがって、心配になって顔を出したんですよ」
――あまり、いい噂ではなさそう。
貴子さまが心配されるくらいの噂。
その噂の出所は、聖子さんとその取り巻きの方々なのか、落ち着かない様子だった。
「ご心配なく」
瑞生さんは王子様のように、私の手を取ると、奥様たちは頬を染めた。
さっき、イケメンシェフのお菓子をもらった時よりも、ずっと盛り上がっていた。
「瑞生さんたら、済ました顔でやるわねぇ」
「美桜さんには優しくて紳士的で安心したわ」
「撫子の宮会に女性を迎えに来た男性は、瑞生さんが初めてじゃないかしら?」
この撫子の宮会へ男性が来るのは、とても勇気がいると思う。
瑞生さんだって、来たくなかったはずだ。
――でも、来てくれた。
じっと瑞生さんを見つめると、ぽんっと頭を叩き、私の背中を押した。
帰ろうということだと察し、玄関へ向かおうとすると――
「瑞生さん、美桜さん。少しお待ちになって」
椅子に座っていた貴子さまが立ち上がった。
自分の胸元を飾っていたブローチを外し、私のほうへ歩み寄る。
「貴子さま?」
「これを受け取っていただけないかしら?」
すずらんの真珠とダイヤモンドのブローチだった。
「こんな高価なものはいただけません!」
慌ててお断りすると、貴子さまは微笑み首を横に振った。
「これはね、お借りしていたものだから、私が元気なうちに返しておきたいと思っていたの」
貴子さまは私の胸元に、ブローチをつけた。
「このブローチは、会長の奥様が身につけていたものです」
瑞生さんはブローチに視線を落とした。
「亡くなった祖母の?」
「ええ。私が嫁いできた時、すずらんのブローチを褒めたら、会長の奥様はその場で外して、私につけてくださったんですよ」
懐かしそうに貴子さまは目を細めた。
「私は世間知らずだったから、嫁ぐのが不安でした。でもね、このブローチをいただいた時、宮ノ入家でやっていける気がしたの」
「……そうだったんですか」
私はブローチに触れ、微笑んだ。
「私は自分の孫だけでなく、瑞生さんも雅冬さんも孫のように思っているの。そして、直真さんのことも」
貴子さまは私の手を握った。
「瑞生さんをよろしくお願いします。会長に似て、気難しいところがあるけれど、根は優しい子ですから」
「は、はい! 瑞生さんが優しいのは知っています!」
私が答えると、貴子さまはとても嬉しそうな顔をして微笑んだ。
「会長には私からも言っておきましょう。ちょっと意地悪が過ぎますからね」
瑞生さんは黙ったまま、貴子さまに頭を下げた。
貴子さまが私たちの関係を認めた以上、誰も私たちの関係について口出しすることができなくなったのだった。
会長以外は――
「そんなの嘘よ!」
聖子さんに注意をされたので、顔と名前を憶えてきたのに、なぜか『嘘』だと言われてしまった。
「おばあさまのことは瑞生さんから聞いて、知っているんでしょうけど、他の方までわかるわけないわ!」
綾香さんまで加わった。
たしかに普通の方法では、わかるはずがない。
けれど、こちらには顔写真と名前を把握できる閻魔帳……ではなく、八木沢ファイルが存在する。
――八木沢さんだけは敵に回したくないわ……
私は努めてにこやかに、撫子の宮会に参加する奥様たちに挨拶をしていく。
「先日、マンションのカフェ前でお会いしましたよね? 睦世さん、緋沙さん……」
私が彼女たちの名前を呼ぶと、聖子さんはサッと顔色を変えた。
「聖子さんと同じ華道教室へ通われている徳恵さん、茶道のお免状をお持ちの歌純さん」
簡単なプロフィールも頭に叩き込んできた。
「まっ、まぁ! わたくしのことまでご存じですの?」
「瑞生さんの奥様になられる方に覚えていただけているなんて、光栄ですわ」
私に好意的に手を差し出した二人を咎めるように、聖子さんはじろりと睨みつけた。
二人は気まずそうに手を引っ込める。
「もう結構よ。あなたの記憶力がいいのはわかったわ」
「ご挨拶が全員に済んでいません」
「いいと言ってるでしょ!」
「聖子おば様! おばあさまの前でヒステリックに怒鳴り散らすはやめて」
綾香さんは鋭い声音で、聖子さんを止めた。
「綾香さん、撫子の宮会に誘っていただきありがとうございます」
私が話しかけると、綾香さんは『呼ぶんじゃなかった』というような顔をした。
聖子さんもまた同様に、苦々しい表情を浮かべている。
――会長と懇意の貴子さまを招待して、その前で私に恥をかかせるつもりだった?
どうやら、そのつもりだったらしく、当てが外れた聖子さんは、頬を赤く染め、私をにらみつけた。
「美桜さんは恐ろしい人ね。私に嫌がらせするなんて……!」
――なっ!? 嫌がらせしたのは聖子さんじゃ……
そもそも、手土産を考えていた時点で、なんだか様子がおかしかった。
宮ノ入家が使うお店にするつもりが、すべて押さえられ、購入できなかった。
それならと思い、宮ノ入家と懇意の料理人のリストを調べた。
その中でも人気なのが、フランス料理のイケメンシェフ。
料理教室の講師を依頼するほど、奥様たちのお気に入り。
――お気に入りのイケメンが作ったものに、文句を言う奥様はいない(確信)!
案の定、私の手土産は大切に扱われている。
少女のように、「早く中身を確認したいわね」「楽しみだわ」と、はしゃいでいる姿が見える。
「今日は美桜さんの紹介を兼ねたお茶会ですものね。皆様に失礼のないように、楽しまれるといいわ」
聖子さんの表情からいって、『楽しまれるといい』とは思えない。
精一杯の我慢をしているようにしか見えない顔で、私に言った。
――うまく振舞えば、瑞生さんの恋人として認めてもらえると思っていたけど……
聖子さんは最初から私を認めるつもりはなかったようだ。
挨拶はうまくいったものの、聖子さんは『敵』だと思っているし、綾香さんは面白くなさそうな顔をしている。
けれど、友好的に接しようとしてくれる人も中にはいるようで――
「美桜さん、お茶をどうぞ」
「こちらのマカロンも召し上がってみて?」
「あら、本店からわざわざご注文されたの?」
「ええ。パリに本店があるでしょう。せっかくですから、本店の味を召し上がっていただきたくて」
当たり前のように交わされる会話にめまいが起きそうになった。
身内だけのお茶会で、ここまでしなくてもと思ったけれど、奥様たちはそうではなかった。
「美桜さんは結婚してからも、お仕事をなさるの?」
「はい。そばで、瑞生さんを支えたいと思っています」
「まあ、すばらしいこと。私の夫なんて、仕事に口出しすると、嫌な顔をしますのよ」
「あら、私なんて、休日の過ごし方いについて、注意しただけで叱られましたわ」
「あなたも? 休みくらい好きにさせてくれって言うのでしょ」
全員が私を歓迎していないというわけではなさそうで、ホッとした。
ふと、聖子さんのほうへ目をやると、とても不機嫌そうな顔をしていることに気づいた。
綾香さんもこちらを睨んでいる。
「あ、あら……」
「ええっと……その……」
他の方々もそれに気づき、会話が弾んでいたのに、徐々に誰も話をしなくなった。
――私のせいで、他の方が嫌がらせをされるのは、申し訳ないわ。
聖子さんと綾香さんの顔を見て、沖重にいた頃を思い出した。
私に親しい人ができると、継母も梨沙も嫌がらせをし、遠ざけて孤立させた。
――主催は聖子さん、私がいると楽しめないだろうし、ほどほどのところで帰るべきよね……
「美桜さんと仲良くおしゃべりされているのね」
「皆さん、社交的ですもの」
聖子さんと綾香さんのわかりやすい嫌味に、気まずい空気が流れ、雰囲気は最悪。
貴子さまは異様な空気に気づき、困った顔をして頬に手をあてた。
――困ったわ。どうやって、この場の空気を変えたらいいの?
そう思っていると、インターホンが鳴った。
「なにかしら? もう全員揃っているでしょ。他に招待客なんて……」
聖子さんがそう言い、来客を確認しようとモニター画面を覗き込んだ瞬間――息を呑んだ。
「聖子おば様? どうかなさったの?」
綾香さんの声も耳に入っていないようで、その場に立ち尽くして、画面を凝視している。
けれど、来客を追い返しはしなかった。
「……どうぞ、お入りになって」
絞り出すような聖子さんの声が気になり、玄関のほうに目をやると――
「瑞生さん!」
いつものスーツ姿ではなく、休日用のシャツとテーパードパンツという服装で、モノトーンだけどカジュアル感があり、魔王感が薄れ、さわやかな雰囲気を漂わせている、
「美桜。今日は挨拶だけで、帰る予定だろう?」
――挨拶だけ? そんなこと、瑞生さんに言ってないけど。
瑞生さんはこうなることを察し、迎えに来てくれたのかもしれない。
さっきまでの重々しい空気が、瑞生さんの登場で一変し、全員の視線は瑞生さんに向いていた。
「瑞生さんが撫子の宮会へ来るなんて……」
「常務の家まで足を運ぶのは、初めてじゃないかしら」
瑞生さんに聖子さんや奥様たち、綾香さんはなにもできない。
「あらまあ、瑞生さんはやっぱり会長のお孫さんねぇ。若い頃の会長に似ているわ」
「貴子さん。お元気そうで」
「ええ。瑞生さんが恋人を連れてきたというお話をうかがって、心配になって顔を出したんですよ」
――あまり、いい噂ではなさそう。
貴子さまが心配されるくらいの噂。
その噂の出所は、聖子さんとその取り巻きの方々なのか、落ち着かない様子だった。
「ご心配なく」
瑞生さんは王子様のように、私の手を取ると、奥様たちは頬を染めた。
さっき、イケメンシェフのお菓子をもらった時よりも、ずっと盛り上がっていた。
「瑞生さんたら、済ました顔でやるわねぇ」
「美桜さんには優しくて紳士的で安心したわ」
「撫子の宮会に女性を迎えに来た男性は、瑞生さんが初めてじゃないかしら?」
この撫子の宮会へ男性が来るのは、とても勇気がいると思う。
瑞生さんだって、来たくなかったはずだ。
――でも、来てくれた。
じっと瑞生さんを見つめると、ぽんっと頭を叩き、私の背中を押した。
帰ろうということだと察し、玄関へ向かおうとすると――
「瑞生さん、美桜さん。少しお待ちになって」
椅子に座っていた貴子さまが立ち上がった。
自分の胸元を飾っていたブローチを外し、私のほうへ歩み寄る。
「貴子さま?」
「これを受け取っていただけないかしら?」
すずらんの真珠とダイヤモンドのブローチだった。
「こんな高価なものはいただけません!」
慌ててお断りすると、貴子さまは微笑み首を横に振った。
「これはね、お借りしていたものだから、私が元気なうちに返しておきたいと思っていたの」
貴子さまは私の胸元に、ブローチをつけた。
「このブローチは、会長の奥様が身につけていたものです」
瑞生さんはブローチに視線を落とした。
「亡くなった祖母の?」
「ええ。私が嫁いできた時、すずらんのブローチを褒めたら、会長の奥様はその場で外して、私につけてくださったんですよ」
懐かしそうに貴子さまは目を細めた。
「私は世間知らずだったから、嫁ぐのが不安でした。でもね、このブローチをいただいた時、宮ノ入家でやっていける気がしたの」
「……そうだったんですか」
私はブローチに触れ、微笑んだ。
「私は自分の孫だけでなく、瑞生さんも雅冬さんも孫のように思っているの。そして、直真さんのことも」
貴子さまは私の手を握った。
「瑞生さんをよろしくお願いします。会長に似て、気難しいところがあるけれど、根は優しい子ですから」
「は、はい! 瑞生さんが優しいのは知っています!」
私が答えると、貴子さまはとても嬉しそうな顔をして微笑んだ。
「会長には私からも言っておきましょう。ちょっと意地悪が過ぎますからね」
瑞生さんは黙ったまま、貴子さまに頭を下げた。
貴子さまが私たちの関係を認めた以上、誰も私たちの関係について口出しすることができなくなったのだった。
会長以外は――
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