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第一章
13 Bクラス
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一日の授業が終わると、お嬢様グループに囲まれた。
髪の毛がボサボサなままで、まだ体育の授業の疲労感が残っているようだった。
それを『頑張るなぁ』と私と希和は冷静に眺めていた。
懲りてないというか、しぶといというか……
どこからそのネバーギプアップ精神がわき上がってくるのか、教えて欲しいくらいだよ。
「乙花さん。地下の部屋に行くんですって?」
「ご存じ? Bクラスの部屋は問題を起こした人間が行く反省室なのよ」
「あなたのような乱暴な人にはお似合いね」
乱暴した覚えはないんだけど、さっきの授業でだいぶ堪えているのか、声に勢いがなかった。
きっと明日は筋肉痛だね。
そう思いながら、鞄を手にしただけで綾子さんは私からススッと距離をとった。
攻撃してきたのはお嬢様軍団からなのにヒドイ扱いじゃないですかね……コレ。
「どきなさい」
希和が一声かけると、ヒッと小さく悲鳴があがり、取り囲んでいたお嬢様達はサッと道を開けてくれた。
「ビビるくらいならケンカを売ってくるんじゃないわよ!」
中学時代の裏番長の風格が戻ってきちゃってるよ、希和……
希和はふんっと肩にかかった髪を手で払った。
そして、指でメガネをあげた。
「佳穂。Bクラスなんて行くことないわよ。あたしの部屋に来なさい」
「だめだよ。古柴君はどうするの?」
「廊下に寝かせるわ。犬だし」
「やめてあげて! 泣けてくる!」
まさかの廊下。
あっ、でも今のはさすがに冗談だよね。
ははっと私が笑うと希和は真顔で言った。
「古柴なら天然の毛皮を着ているから平気よ」
希和は本気だった。
古柴君っ……!
その報われぬ忠誠心にそっと涙をぬぐった。
「私は大丈夫だから、古柴君といてあげて」
「あんたが前向きなのはいいけれど、あたしの部屋に来なさいよ。いいわね?」
「ありがと。でもBクラスがどんなところなのか興味あるから行ってみるよ!」
生徒の間では地下の反省室って呼ばれる場所らしい。
確かに響きはアレだけど。
すっごく興味がある。
だって、Bクラスだよ?
普通に暮らしてたらAクラスのエリアしかいけないけど、今ならBクラスエリアに行けちゃうんだよ。
いわば、RPGでいう表世界から裏世界に転移しちゃうようなものだ。
じゃーねっと希和に元気よく手を振って分かれるとワクワクしながら、地下へと向かった。
「おおっー!」
私が想像したとおり、地下は石の壁になっていてゲームのダンジョンみたいだった。
確かに地下牢っぽい。
これは気分が盛り上がる。
私は勇者カホ!
魔王を倒すべく、レベルをあげるのだ。
ただし、パーティメンバーはなしっと……
ちょっと寂しくなりながら、地下の通路を歩いていく。
地下はひんやりしていて薄暗い。
夏は居心地よさそうだよね。
あと、おばあちゃんの漬け物とか手作り味噌を置くのにちょうどいいスペースかもしれない。
「ここが私の新しい部屋?」
部屋番号が書いたドアの前に立った。
鍵はカードじゃなくて、普通の鍵。
これは期待できる。
きっと中はRPGゲームの宿屋か石造りで中世的な牢屋っぽい雰囲気のはず。
わくわくしながら、鍵を差し込んでがちゃりとドアを開けるとそこは―――普通の部屋でした。
え、なに、このがっかり感。
天井は低いけど、ベッドと学習机、本棚があり、ちゃんとクローゼットもある。
お風呂とトイレも完備。
報告。
アパートみたいな普通の部屋でした。
「つまらない……」
ダンジョン感は廊下だけですか。
これはマリアステラ学園のがっかりランキングベストテンに入るわ。
はぁ……ここまでやるなら、部屋もRPG風っぽくしてよ。
中途半端が一番嫌っ!
しょんぼりしながら荷物を片付けた。
まあ、予想はしてたよ?
だって、お金持ちが集まる学園。
世間一般でいう普通の部屋が地下牢呼ばわりされているんじゃないかなって思っていた。
悲しいくらいにドンピシャ。
せめて雰囲気だけはだしてほしかった。
「こんなの手抜き工事と同じだよ!」
なにが地下牢よ。
鉄格子一つない。
はぁー……気分が盛り上がらない。
「課題しよっと」
娯楽施設もBクラスエリアにはないから、やることもない。
そうなると勉強だけ。
とりあえず、今日の授業の課題をしよう。
マリアステラ学園は成績がすべて。
成績と素行でランクが決まる。
「力がすべてなのは獣人だけじゃないよね」
パートナーになる適合者にも求められる。
まだ入学したばかりは全員がゼロからのスタートラインで同じ条件。
つまり、次の中間テストの成績でランクが動く。
適合者の成績優秀者がキング達と同じ寮エリアで過ごせる。
それがマリアステラ学園の絶対のルール。
教科書を開いた。
私はここでトップに立たなくちゃいけない。
高也の元に戻るため、そして―――獅央家と戦うために。
髪の毛がボサボサなままで、まだ体育の授業の疲労感が残っているようだった。
それを『頑張るなぁ』と私と希和は冷静に眺めていた。
懲りてないというか、しぶといというか……
どこからそのネバーギプアップ精神がわき上がってくるのか、教えて欲しいくらいだよ。
「乙花さん。地下の部屋に行くんですって?」
「ご存じ? Bクラスの部屋は問題を起こした人間が行く反省室なのよ」
「あなたのような乱暴な人にはお似合いね」
乱暴した覚えはないんだけど、さっきの授業でだいぶ堪えているのか、声に勢いがなかった。
きっと明日は筋肉痛だね。
そう思いながら、鞄を手にしただけで綾子さんは私からススッと距離をとった。
攻撃してきたのはお嬢様軍団からなのにヒドイ扱いじゃないですかね……コレ。
「どきなさい」
希和が一声かけると、ヒッと小さく悲鳴があがり、取り囲んでいたお嬢様達はサッと道を開けてくれた。
「ビビるくらいならケンカを売ってくるんじゃないわよ!」
中学時代の裏番長の風格が戻ってきちゃってるよ、希和……
希和はふんっと肩にかかった髪を手で払った。
そして、指でメガネをあげた。
「佳穂。Bクラスなんて行くことないわよ。あたしの部屋に来なさい」
「だめだよ。古柴君はどうするの?」
「廊下に寝かせるわ。犬だし」
「やめてあげて! 泣けてくる!」
まさかの廊下。
あっ、でも今のはさすがに冗談だよね。
ははっと私が笑うと希和は真顔で言った。
「古柴なら天然の毛皮を着ているから平気よ」
希和は本気だった。
古柴君っ……!
その報われぬ忠誠心にそっと涙をぬぐった。
「私は大丈夫だから、古柴君といてあげて」
「あんたが前向きなのはいいけれど、あたしの部屋に来なさいよ。いいわね?」
「ありがと。でもBクラスがどんなところなのか興味あるから行ってみるよ!」
生徒の間では地下の反省室って呼ばれる場所らしい。
確かに響きはアレだけど。
すっごく興味がある。
だって、Bクラスだよ?
普通に暮らしてたらAクラスのエリアしかいけないけど、今ならBクラスエリアに行けちゃうんだよ。
いわば、RPGでいう表世界から裏世界に転移しちゃうようなものだ。
じゃーねっと希和に元気よく手を振って分かれるとワクワクしながら、地下へと向かった。
「おおっー!」
私が想像したとおり、地下は石の壁になっていてゲームのダンジョンみたいだった。
確かに地下牢っぽい。
これは気分が盛り上がる。
私は勇者カホ!
魔王を倒すべく、レベルをあげるのだ。
ただし、パーティメンバーはなしっと……
ちょっと寂しくなりながら、地下の通路を歩いていく。
地下はひんやりしていて薄暗い。
夏は居心地よさそうだよね。
あと、おばあちゃんの漬け物とか手作り味噌を置くのにちょうどいいスペースかもしれない。
「ここが私の新しい部屋?」
部屋番号が書いたドアの前に立った。
鍵はカードじゃなくて、普通の鍵。
これは期待できる。
きっと中はRPGゲームの宿屋か石造りで中世的な牢屋っぽい雰囲気のはず。
わくわくしながら、鍵を差し込んでがちゃりとドアを開けるとそこは―――普通の部屋でした。
え、なに、このがっかり感。
天井は低いけど、ベッドと学習机、本棚があり、ちゃんとクローゼットもある。
お風呂とトイレも完備。
報告。
アパートみたいな普通の部屋でした。
「つまらない……」
ダンジョン感は廊下だけですか。
これはマリアステラ学園のがっかりランキングベストテンに入るわ。
はぁ……ここまでやるなら、部屋もRPG風っぽくしてよ。
中途半端が一番嫌っ!
しょんぼりしながら荷物を片付けた。
まあ、予想はしてたよ?
だって、お金持ちが集まる学園。
世間一般でいう普通の部屋が地下牢呼ばわりされているんじゃないかなって思っていた。
悲しいくらいにドンピシャ。
せめて雰囲気だけはだしてほしかった。
「こんなの手抜き工事と同じだよ!」
なにが地下牢よ。
鉄格子一つない。
はぁー……気分が盛り上がらない。
「課題しよっと」
娯楽施設もBクラスエリアにはないから、やることもない。
そうなると勉強だけ。
とりあえず、今日の授業の課題をしよう。
マリアステラ学園は成績がすべて。
成績と素行でランクが決まる。
「力がすべてなのは獣人だけじゃないよね」
パートナーになる適合者にも求められる。
まだ入学したばかりは全員がゼロからのスタートラインで同じ条件。
つまり、次の中間テストの成績でランクが動く。
適合者の成績優秀者がキング達と同じ寮エリアで過ごせる。
それがマリアステラ学園の絶対のルール。
教科書を開いた。
私はここでトップに立たなくちゃいけない。
高也の元に戻るため、そして―――獅央家と戦うために。
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