獣人は花嫁を選ぶ~百獣の王と少女の恋~【獣人シリーズ①】

椿蛍

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第一章

14 パーティーって?

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Bクラス―――正直言ってナメてました。
調子に乗ってRPG風かっこいい!
なんて言ってすみませんでした。
私から謝罪の言葉を引き出したのは朝食にあった。
もぐっ……と朝食のジャムパンを口にした。
ジャムパンと冷たい牛乳だけ。
昨日の晩ご飯はおにぎりと味噌汁だった。
しかも、部屋に運ばれて来て他の生徒との接触も許されなかった。
今日のお昼からは学食を使ってもいいらしいけど、昨日と今日の朝は罰として部屋での食事ってことらしい。

「罰ってなんの罰ですか?」

そう食事を運んできた人に尋ねてみたけど、『何も聞かされていません』の一点張りだった。
何もないのに罰を受けさせられる理不尽さよ。
食事の粗末さに涙が出そうになる。
牛乳は身長のためにもいいとしてよ?
ジャムパン一個じゃ成長期(まだ伸びるはず!)の私には足りないと思う。
私は身長を伸ばすために食事には気を遣ってるほうなんだからねっ!

「まあ……今日のお昼からは学食に行っていいらしいから、よしとしよう」

自分にそう言い聞かせて鞄を手にした。
階段をのぼり、地下室を出て教室へと向かった。
ガラッと教室のドアを開けたとたん、異様な空気に気づいた。
私の机がひっくり返っていた。
枕返し妖怪の机バージョン?

「なによ。これ?」

私の後から来た希和が鞄をバンッと机に叩きつけた。
さっきまでひそひそとおしゃべりをしていた綾子さん達グループはしんっと静まり返った。
あ……、もしかして。
これが話に聞くイジメってやつ?
もっと壮絶なのをイメージしてたから、逆にびっくりだよ。
高校生にもなって、こんなイジメしか思い付かないなんて幼稚だよねと思いながら机を起こした。

「誰がこんなことをしたの?」
 
冷えた希和の声に誰も答えなかった。
今まで、私にこんなことをしてくる人いなかったから反応に困るなあ。

「いいよ、希和」

「だけど、佳穂。やるなら早いうちにやったほうがよくない?」

「う、ううん。まだいい」

希和の方が危険だよ。
なにをやるつもりよ、なにを!
物騒なことを平気で言わないで欲しい。
希和をちらちらと監視しつつ、席についた。
それを私がしおらしくなったと勘違いした綾子さん達が大きな声で話し始めた。

「今週末の晩餐会がんさんかいが楽しみね」
 
「Bクラスの人は出席できないけれど」 

「綾子さん、キングにエスコートされるらしいわよ」

「えー! 羨ましーい」

晩餐会!?
ハッとした。
だから、クローゼットにドレスが山ほど入っていたんだ。
こういうときに使うためだったんだなあ。
納得。
ドレスはいいけど、何食べるんだろう。
キャビアとかかなぁ。
お寿司でるかな。

「佳穂」

「なに?」

「晩餐会はおいしいものが食べれるっていうだけじゃないのよ」

どうしてわかったんだろう。
希和は私の心が読めるに違いない。
ふうっとため息をついて希和は私に説明してくれた。

「晩餐会のようなイベントはよくあるのよ。獣人と適合者マリア達を交流させるためにね」

「へえー。合コンとか、お見合いみたいなかんじだね」

「みたいじゃないの! まさにソレなの!」

「そうなの!?」

「あのね、佳穂は気づいてないと思うから言っておくわ。どうしてキングからボーンまでの上位六名が全員二年生なんだと思う?」

「優秀だから?」

「それもあるけど、今のキングである高也君が前の六名を相手に決闘を仕掛けたからよ。負ければ、降格がルール。勝った高也君は一年生にしてキングになり、空いた席にクイーンを始めとする成績優秀な獣人達が選ばれた」

「えっ! 高也、ケンカ強すぎでしょ!?」

私が思っていた番長っていうレベルじゃなかった。
キングって呼ばれて納得の強さだった。
希和はがくっと肩を落とした。

「ケンカじゃないわよ。もう戦闘と同じ。もしかしたら佳穂を入学させる条件がキングになることだったんじゃないの? たぶんだけどね」

獅央しおうって何?私のこと大嫌いなの?」

ちら、と希和は綾子さんと智香さんを見た。

「獅央の一族は獣人達のトップ。自分達の力を維持させるためにはなんでもやるわよ。お金持ちで権力がある家柄の娘と結婚させたいんでしょ」

「そっか……。そうだよね」

「馬鹿馬鹿しい」

希和はわらった。

「佳穂。気にすることないわよ」

「うん、そんなに気にしてはないよ。でも、希和がいてくれてよかった」

照れたように希和はすいっと目を逸らした。

「いいのよ。あたしは佳穂のおかげで退屈な高校生活を楽しませてもらってるわ。それにまさか獅央家が女子高校生一人のために出てくるなんて思わないじゃない?」

「そうだね」

それだけ高也が獅央家にとって重要な存在であることは間違いない。
そして、獣人達にとっても。

「ねえ、佳穂。楽しくなりそうね」

獣人達のトップが敵だというのに希和が目を細めて笑った。
まるで、獲物を前にした獣のように見えた―――私達の方が本当は獣人以上に獣なのかもしれない。
パチンと鞄の蓋を閉じて私もこれから始まるパーティーを思って微笑んでいた。
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