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「ゲオルグもようやく陛下の尊さを理解できたようだ」
今日の担当はハリューシカとセレンケレンだ。
フンフンと嬉しそうに鼻息を鳴らして告げるハリューシカにセレンケレンも感慨深そうに頷いた。
「確かにゲオルグの態度変わりましたよね。前は見回りから戻ってきても報告しなかったのに、最近はきちんとするようになりましたし。手土産を持ってくるようになったのは恐怖を覚えましたけど」
セレンケレンが感心したように息を漏らして続けた。
「特にこの間、陛下に渡してきた炎蓮岩(えんれんがん)には驚きました」
「ああ、悔しいが、あれはここ数千年みてきた中で一番美しい形をしていた。まさかあんなものがまだ存在していたとはな」
そんな会話が頭上で繰り広げられるのを右から左へと流す。
二匹はゲオルグが心を入れ替えたと思っているようだが、クローツェルからしてみれば、ゲオルグの行動はどうみても雌竜への求愛行動だ。
火竜の雄は習性として、意中の雌にとっておきの炎蓮岩を送るのだ。
炎蓮岩は地底深くにごくまれにできる睡蓮の形をした澄んだ岩だ。磨き上げればダイヤモンドのごとく輝き、内部は炎を宿したかのように煌々と燃えている。だが、ちょっとした衝撃ですぐに割れてしまうため持ち帰ることはおろか加工は困難を極める。
ゆえに雄の火竜は自分がいかに優れた雄か示すために繊細な炎蓮岩を自らの鱗でさらに磨き上げるのだ。
差し出された炎蓮岩は芸術に目が肥えているハリューシカすら欺くほど完璧に磨き上げられていた。
その習性をしっているクローツェルは断ろうとしたが、あろうことかハリューシカが「せっかくの手土産ですし、もらってはいかがですか?」と悪気なく言ってきた始末だ。
「私も負けていられませんね。陛下、うんとおいしい果物を今度お持ちします」
ハリューシカがキリッと顔を引き締めて告げてくる。セレンケレンは頭の後ろで手を組むと、細長い翡翠色の尻尾を小さく揺らした。
「じゃあ、僕はクローツェル様の好きそうな花の苗を持ってきますね」
「ああ……」
二匹にとって、ただの懇意なのだろう。だが、クローツェルは以前と比べて素直に喜べなかった。
というのも、どちらの行動も雌竜への求愛行動なのだ。彼らは竜王にたいする懇意と考えているようだが、クローツェルが完璧な雄であればそのような行動にはでないはずだ。
ハリューシカが鼻歌を奏でながら「紅茶のおかわりはどうですか?」と尋ねてくる。ありがたくもらいながら、どうしたものかとクローツェルはそっと内心ため息をついた。
部屋に戻れば、案の定ゲオルグがいた。
「出て行け」
「俺の求愛を受けといてそれはねえだろ」
「ならば、返す」
ドレッサーにおいていた箱ごとさしだせば、ゲオルグがのしかかってくる。押し返そうとしてもびくともしない。尻尾で叩こうとしても、ゲオルグの尻尾に押さえつけられる。
なんとか身をよじってもびくとも動かず、そうこうしている間にズボンを下着ごと脱がされ、あらわになった肉芽を指先でもてあそんでくる。這い上がってくる快感から逃れるように頭を振って拒絶する。
「いやだ…っ、なんで、おまえはっ…、すぐっ、ぁ、ひっ」
「嫌がるなって」
肉芽を指の腹で押しつぶされてしまえば、刺激に腰が浮いて蕾からトロッと滴があふれ出す。感じ入っていれば、素肌にされ、手に持っていた箱を枕元に置かれる。
胸に顔を埋めてくると、うっすらと開いている切れ目の縁を舌先でなぞってきた。中で主張しはじめた乳首に気づけば、ゲオルグの舌が潜り込む。
「したっ、ぁ、うごかすなぁ」
無遠慮に舌でまだ中に潜っている乳首を舐られながら、くにくにと乳首周辺を指でもまれた後、ちゅっと強く吸われながら片方の乳首だけ引っ張り出された。
「ぁ、ひっ、~~~~ッ」
外気にさらされた心地よさに乳首がよりいっそう芯を持ってとがってしまう。
足をつっぱって、軽い絶頂をあじわっている間も、ゲオルグは手を止めなかった。肉芽をいじっていたゲオルグの指先がほんの少しだけ開いた蕾を指の腹でトントンと叩いてくる。
そうすれば、ゲオルグの指の腹に滴がつき、ねっとりとした糸を引いた。
「すげえ、ねばりけ。こんだけ濡れてりゃ、指ぐらいは入るな」
そういって、蕾を指の腹でひとなでした後、ゆっくりと沈めてくる。
「ひっ、ゃ、やめろっ!」
中に入ってきた異物感にクローツェルがもがこうとすれば、すかさず指が抜かれた。
「ふぁっ、ぁ、んぅ……っ」
悪寒に近い快感が下腹部に広がり肌が粟立つ。ふーふーと自然と息があがり、だらしなく開いた足がピクピクと震えてしまう。
さっきよりも粘度の高い滴が絡みついた指をゲオルグは口に含む。
「この間よりも濃厚でいいな。指だけでこれなら、俺のいれたらどうなっちまうんだろうなあ?」
ニタニタと笑いながら再びゲオルグの指が入ってくる。
ゲオルグが指を抜き差しするたびにぐちゅぐちゅと音が鳴り、蕾の入り口は泡だった滴が溢れてくる。
「んっ…、ゆびをっ、あっ、ぁ」
「わかったわかった。もっと激しく動かしてほしいんだろ。大胆なおねだりは好きだぜ」
「ちがぁっ、ァ、ん…っ! ふ…、ぁ、ぁあ゛っ」
じゅぷっじゅぽっと湿った音がいっそう激しく部屋に響く。ゲオルグからの刺激で慎ましく閉じていた蕾はすっかり開いていた。それどころか、いいところに当たるたびに自然と腰を浮かしてしまい、プシプシッと弧を描いて潮を吹いてしまうほどだった。
たった短時間で快楽に従順になった体が恐ろしい。その恐怖もゲオルグから与えられる快感に押し流されてしまう。
「たの、むっ、もぅ、ゆびを…、~~~~ッ」
言い切るよりも早くゲオルグの指がいいところを執拗に刺激してくる。そのたびに白い喉を晒して絶頂を迎えてしまう。すっかり股は滴でぐちゃぐちゃに濡れ、シーツには大きなシミができていた。
「よしよし、これだけ雌イキして開ききってりゃ、ぶち込んでも問題ないな」
ようやく指を引き抜いたゲオルグは鼻歌交じりにズボンの前を広げる。
ぶるんと勢いよく飛び出てきた赤黒い高ぶりはこれでもかと笠が膨れ、太い幹にはくっきりと筋が浮かび上がっていた。
明らかにはじめて見たときよりも凶悪な形に育っているそれにクローツェルは全身から血の気が引いていくのを感じた。
自然と後ずさり、膝を閉じて「無理だ、いやだ」と涙ぐみながら首を横に振る。けれど、ゲオルグはクローツェルの気持ちはおかまいなしに、ほっそりとした膝を掴むと左右に開いた。
「安心しろって。痛いのは最初だけだからよ」
「そういう問題ではないっ! ひっ、いやだ……、おしつけるなっ」
滴を漏らしてビクビクと脈打つゲオルグの先端がゆっくりと蕾に押しつけられる。恐ろしくて見たくないのに目が離せない。ゲオルグが自分の唇を舌でなぞると、欲情にぬれきった赤い瞳を細めた。
「それじゃ、あんたの処女。もらうな」
言葉とともにゲオルグが腰をつきいれようとしたその瞬間、クローツェルの部屋の扉が開き、洪水のごとく怒濤の勢いで水が流れ込んできた。
ぎょっとしたゲオルグが炎の壁を張るものの、押しつぶすように溢れる水にあっけなくかき消される。そして、水がゲオルグをベッドから突き落とすと、パシャンと水が弾けてハリューシカが現れた。
「陛下! ご無事ですか!!」
床に突っ伏しているゲオルグを容赦なく踏みつけて駆け寄ってくる。突然の状況にクローツェルの頭は追いつかない。ただ、ゲオルグに挿入されずにすんだということだけはかろうじてわかった。
額に手を当てながら、小さく息をついたクローツェルは「ああ」と短く返した。
「……助かった。ハリューシカ」
「いえ、近頃のゲオルグには感心していましたが、私の直感が妙に騒いでいましたので。さ、このままでは風邪を引いてしまいます。私のコートで申し訳ありませんがかけさせていただきますね」
ハリューシカが脱いだコートをクローツェルの肩にかけてくる。もう一度礼を言おうと顔をあげれば、ハリューシカが固まっていた。
「ハリューシカ?」
「へ、陛下。大変無礼を承知で伺いますが、その」
青白い顔がさらに青くなったと思いきや真っ赤になったりと、せわしないハリューシカの様子にクローツェルはハリューシカの視線の先である下半身へと顔を向けた。
ハリューシカが来たことで安心しきっていた。あらわになっている蕾にクローツェルは素早く太ももを閉じ、ジロリと睨んだ。
「見たか……」
「は、はい」
クローツェルよりも一回り大きい体をこれでもかと縮めてハリューシカは応えた。
最悪だ。ゲオルグにバレたことすら面倒だというのに、ハリューシカにまでバレてしまった。
「ハリューシカ」
「は、はいっ」
そろそろと顔を上げたハリューシカの青い瞳は涙ぐみ、今にもこぼれ落ちてしまいそうだ。そんなハリューシカにクローツェルはふっと目を細めて微笑んだ。
「私はお前を信頼している。だから、このことは他言無用で頼むぞ?」
そういってついでに顎をくすぐってやれば、ハリューシカはこれでもかと目を見開く。くしゃりと顔をゆがめると、クローツェルの指先を手にとって握りしめてくる。
「 はいっ、絶対に誰にも言いませんっ! 私の命にかけて誓いますっ!」
「声がでかいぞ……」
感極まっているせいかハリューシカの声はいつにもまして大きいことに思わず指摘すれば「申し訳ありません」とシュンとうなだれた。
正直、なぜここまで盲信されているか理解できない。クローツェルがなにより恐れていることは、ハリューシカの暴走だ。一見ゲオルグと正反対にみえるが、その根底は同じだ。とはいえ、竜王でありながらもクローツェルを敬う気のないゲオルグよりは御しやすいはずだ。
「それでは陛下、私はこれにして失礼します。なにかありましたら、遠慮せず私をお呼びください。すぐに応じます」
今まで見た中で一段ととろけるような甘い笑みを浮かべたハリューシカは気絶しているゲオルグを引きずって出て行く。
音もなく扉は閉まり、シンと部屋は静まる。いつのまにか部屋は綺麗になっており、さりげない気遣いに感心してしまう。体の熱もすっかり冷めたこともあり、ハリューシカのコートをたたんでベッドの枕元に置いておく。ようやく体を休めることにほっとすると同時にふと疑問が浮かんだ。
なぜあのタイミングで助けにこれたのか。介入するにはあまりに完璧だ。ゲオルグと手を組んでるのではと思ったが、根が似ているからこそありえない。
そっと部屋を見渡すが、部屋は今まで使ってきた通りと何一つ変わらない。妙に嫌な予感が背筋を駆け巡ったが、クローツェルは気づかないふりをしてそのまま眠りについた。
今日の担当はハリューシカとセレンケレンだ。
フンフンと嬉しそうに鼻息を鳴らして告げるハリューシカにセレンケレンも感慨深そうに頷いた。
「確かにゲオルグの態度変わりましたよね。前は見回りから戻ってきても報告しなかったのに、最近はきちんとするようになりましたし。手土産を持ってくるようになったのは恐怖を覚えましたけど」
セレンケレンが感心したように息を漏らして続けた。
「特にこの間、陛下に渡してきた炎蓮岩(えんれんがん)には驚きました」
「ああ、悔しいが、あれはここ数千年みてきた中で一番美しい形をしていた。まさかあんなものがまだ存在していたとはな」
そんな会話が頭上で繰り広げられるのを右から左へと流す。
二匹はゲオルグが心を入れ替えたと思っているようだが、クローツェルからしてみれば、ゲオルグの行動はどうみても雌竜への求愛行動だ。
火竜の雄は習性として、意中の雌にとっておきの炎蓮岩を送るのだ。
炎蓮岩は地底深くにごくまれにできる睡蓮の形をした澄んだ岩だ。磨き上げればダイヤモンドのごとく輝き、内部は炎を宿したかのように煌々と燃えている。だが、ちょっとした衝撃ですぐに割れてしまうため持ち帰ることはおろか加工は困難を極める。
ゆえに雄の火竜は自分がいかに優れた雄か示すために繊細な炎蓮岩を自らの鱗でさらに磨き上げるのだ。
差し出された炎蓮岩は芸術に目が肥えているハリューシカすら欺くほど完璧に磨き上げられていた。
その習性をしっているクローツェルは断ろうとしたが、あろうことかハリューシカが「せっかくの手土産ですし、もらってはいかがですか?」と悪気なく言ってきた始末だ。
「私も負けていられませんね。陛下、うんとおいしい果物を今度お持ちします」
ハリューシカがキリッと顔を引き締めて告げてくる。セレンケレンは頭の後ろで手を組むと、細長い翡翠色の尻尾を小さく揺らした。
「じゃあ、僕はクローツェル様の好きそうな花の苗を持ってきますね」
「ああ……」
二匹にとって、ただの懇意なのだろう。だが、クローツェルは以前と比べて素直に喜べなかった。
というのも、どちらの行動も雌竜への求愛行動なのだ。彼らは竜王にたいする懇意と考えているようだが、クローツェルが完璧な雄であればそのような行動にはでないはずだ。
ハリューシカが鼻歌を奏でながら「紅茶のおかわりはどうですか?」と尋ねてくる。ありがたくもらいながら、どうしたものかとクローツェルはそっと内心ため息をついた。
部屋に戻れば、案の定ゲオルグがいた。
「出て行け」
「俺の求愛を受けといてそれはねえだろ」
「ならば、返す」
ドレッサーにおいていた箱ごとさしだせば、ゲオルグがのしかかってくる。押し返そうとしてもびくともしない。尻尾で叩こうとしても、ゲオルグの尻尾に押さえつけられる。
なんとか身をよじってもびくとも動かず、そうこうしている間にズボンを下着ごと脱がされ、あらわになった肉芽を指先でもてあそんでくる。這い上がってくる快感から逃れるように頭を振って拒絶する。
「いやだ…っ、なんで、おまえはっ…、すぐっ、ぁ、ひっ」
「嫌がるなって」
肉芽を指の腹で押しつぶされてしまえば、刺激に腰が浮いて蕾からトロッと滴があふれ出す。感じ入っていれば、素肌にされ、手に持っていた箱を枕元に置かれる。
胸に顔を埋めてくると、うっすらと開いている切れ目の縁を舌先でなぞってきた。中で主張しはじめた乳首に気づけば、ゲオルグの舌が潜り込む。
「したっ、ぁ、うごかすなぁ」
無遠慮に舌でまだ中に潜っている乳首を舐られながら、くにくにと乳首周辺を指でもまれた後、ちゅっと強く吸われながら片方の乳首だけ引っ張り出された。
「ぁ、ひっ、~~~~ッ」
外気にさらされた心地よさに乳首がよりいっそう芯を持ってとがってしまう。
足をつっぱって、軽い絶頂をあじわっている間も、ゲオルグは手を止めなかった。肉芽をいじっていたゲオルグの指先がほんの少しだけ開いた蕾を指の腹でトントンと叩いてくる。
そうすれば、ゲオルグの指の腹に滴がつき、ねっとりとした糸を引いた。
「すげえ、ねばりけ。こんだけ濡れてりゃ、指ぐらいは入るな」
そういって、蕾を指の腹でひとなでした後、ゆっくりと沈めてくる。
「ひっ、ゃ、やめろっ!」
中に入ってきた異物感にクローツェルがもがこうとすれば、すかさず指が抜かれた。
「ふぁっ、ぁ、んぅ……っ」
悪寒に近い快感が下腹部に広がり肌が粟立つ。ふーふーと自然と息があがり、だらしなく開いた足がピクピクと震えてしまう。
さっきよりも粘度の高い滴が絡みついた指をゲオルグは口に含む。
「この間よりも濃厚でいいな。指だけでこれなら、俺のいれたらどうなっちまうんだろうなあ?」
ニタニタと笑いながら再びゲオルグの指が入ってくる。
ゲオルグが指を抜き差しするたびにぐちゅぐちゅと音が鳴り、蕾の入り口は泡だった滴が溢れてくる。
「んっ…、ゆびをっ、あっ、ぁ」
「わかったわかった。もっと激しく動かしてほしいんだろ。大胆なおねだりは好きだぜ」
「ちがぁっ、ァ、ん…っ! ふ…、ぁ、ぁあ゛っ」
じゅぷっじゅぽっと湿った音がいっそう激しく部屋に響く。ゲオルグからの刺激で慎ましく閉じていた蕾はすっかり開いていた。それどころか、いいところに当たるたびに自然と腰を浮かしてしまい、プシプシッと弧を描いて潮を吹いてしまうほどだった。
たった短時間で快楽に従順になった体が恐ろしい。その恐怖もゲオルグから与えられる快感に押し流されてしまう。
「たの、むっ、もぅ、ゆびを…、~~~~ッ」
言い切るよりも早くゲオルグの指がいいところを執拗に刺激してくる。そのたびに白い喉を晒して絶頂を迎えてしまう。すっかり股は滴でぐちゃぐちゃに濡れ、シーツには大きなシミができていた。
「よしよし、これだけ雌イキして開ききってりゃ、ぶち込んでも問題ないな」
ようやく指を引き抜いたゲオルグは鼻歌交じりにズボンの前を広げる。
ぶるんと勢いよく飛び出てきた赤黒い高ぶりはこれでもかと笠が膨れ、太い幹にはくっきりと筋が浮かび上がっていた。
明らかにはじめて見たときよりも凶悪な形に育っているそれにクローツェルは全身から血の気が引いていくのを感じた。
自然と後ずさり、膝を閉じて「無理だ、いやだ」と涙ぐみながら首を横に振る。けれど、ゲオルグはクローツェルの気持ちはおかまいなしに、ほっそりとした膝を掴むと左右に開いた。
「安心しろって。痛いのは最初だけだからよ」
「そういう問題ではないっ! ひっ、いやだ……、おしつけるなっ」
滴を漏らしてビクビクと脈打つゲオルグの先端がゆっくりと蕾に押しつけられる。恐ろしくて見たくないのに目が離せない。ゲオルグが自分の唇を舌でなぞると、欲情にぬれきった赤い瞳を細めた。
「それじゃ、あんたの処女。もらうな」
言葉とともにゲオルグが腰をつきいれようとしたその瞬間、クローツェルの部屋の扉が開き、洪水のごとく怒濤の勢いで水が流れ込んできた。
ぎょっとしたゲオルグが炎の壁を張るものの、押しつぶすように溢れる水にあっけなくかき消される。そして、水がゲオルグをベッドから突き落とすと、パシャンと水が弾けてハリューシカが現れた。
「陛下! ご無事ですか!!」
床に突っ伏しているゲオルグを容赦なく踏みつけて駆け寄ってくる。突然の状況にクローツェルの頭は追いつかない。ただ、ゲオルグに挿入されずにすんだということだけはかろうじてわかった。
額に手を当てながら、小さく息をついたクローツェルは「ああ」と短く返した。
「……助かった。ハリューシカ」
「いえ、近頃のゲオルグには感心していましたが、私の直感が妙に騒いでいましたので。さ、このままでは風邪を引いてしまいます。私のコートで申し訳ありませんがかけさせていただきますね」
ハリューシカが脱いだコートをクローツェルの肩にかけてくる。もう一度礼を言おうと顔をあげれば、ハリューシカが固まっていた。
「ハリューシカ?」
「へ、陛下。大変無礼を承知で伺いますが、その」
青白い顔がさらに青くなったと思いきや真っ赤になったりと、せわしないハリューシカの様子にクローツェルはハリューシカの視線の先である下半身へと顔を向けた。
ハリューシカが来たことで安心しきっていた。あらわになっている蕾にクローツェルは素早く太ももを閉じ、ジロリと睨んだ。
「見たか……」
「は、はい」
クローツェルよりも一回り大きい体をこれでもかと縮めてハリューシカは応えた。
最悪だ。ゲオルグにバレたことすら面倒だというのに、ハリューシカにまでバレてしまった。
「ハリューシカ」
「は、はいっ」
そろそろと顔を上げたハリューシカの青い瞳は涙ぐみ、今にもこぼれ落ちてしまいそうだ。そんなハリューシカにクローツェルはふっと目を細めて微笑んだ。
「私はお前を信頼している。だから、このことは他言無用で頼むぞ?」
そういってついでに顎をくすぐってやれば、ハリューシカはこれでもかと目を見開く。くしゃりと顔をゆがめると、クローツェルの指先を手にとって握りしめてくる。
「 はいっ、絶対に誰にも言いませんっ! 私の命にかけて誓いますっ!」
「声がでかいぞ……」
感極まっているせいかハリューシカの声はいつにもまして大きいことに思わず指摘すれば「申し訳ありません」とシュンとうなだれた。
正直、なぜここまで盲信されているか理解できない。クローツェルがなにより恐れていることは、ハリューシカの暴走だ。一見ゲオルグと正反対にみえるが、その根底は同じだ。とはいえ、竜王でありながらもクローツェルを敬う気のないゲオルグよりは御しやすいはずだ。
「それでは陛下、私はこれにして失礼します。なにかありましたら、遠慮せず私をお呼びください。すぐに応じます」
今まで見た中で一段ととろけるような甘い笑みを浮かべたハリューシカは気絶しているゲオルグを引きずって出て行く。
音もなく扉は閉まり、シンと部屋は静まる。いつのまにか部屋は綺麗になっており、さりげない気遣いに感心してしまう。体の熱もすっかり冷めたこともあり、ハリューシカのコートをたたんでベッドの枕元に置いておく。ようやく体を休めることにほっとすると同時にふと疑問が浮かんだ。
なぜあのタイミングで助けにこれたのか。介入するにはあまりに完璧だ。ゲオルグと手を組んでるのではと思ったが、根が似ているからこそありえない。
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