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空気を操ることが長けていることもあってかなんとか三匹に会うことなく地下の温泉へとたどり着いた。セレンケレンがクローツェルの服を綺麗に洗って乾かす様子を眺めていれば、セレンケレンが振り返った。
「これでよし、と。クローツェル様、かきだしましたか?」
「どうすればいいかわからない」
かきだすというからには指を突っ込むのだろう。だが、やはり自分でやるには恐ろしくてできない。セレンケレンを見つめていれば、セレンケレンが頬を赤くしてコホンと空咳をした。
「あー、じゃあやらせていただきます」
「頼んだ」
セレンケレンに向けて足を開けば、服を干し終えたセレンケレンがそろそろと前にやってくる。蕾の縁を広げて唾液で濡らした指をいれてきた。
「んっ、ふっ…ぅ…」
くちゅっくちゅっと粘り気のある音が岩肌に反響する。白濁の液が掻き出されるたびにかすかに漂う雄臭さに蕾がひくついてしまう。
「よし、これだけかきだせば大丈夫なはず。お湯かけますよ」
「あ、あぁ」
ぐっと蕾を広げられ、お湯を手ですくってかけられる。まるで粗相した後始末のようで今さらながら羞恥を覚える。
「においもしっかりとれたし、これならバレませんね」
「誰にバレないんですか?」
ひやりとした空気が足下を撫でていく。後ろに立つハリューシカ、ベルケットにセレンケレンは顔から色を失った。
「ええっと、その」
「セレンケレン、これはどういう状況なのか詳細に説明しろ。場合によっては、岩牢の刑をお前に課す」
「そうですよ、セレンケレン。あなたはゲオルグと違って真面目だと思っていたんですけどね」
二匹の圧にセレンケレンは完全に硬直していた。いくら同じ竜将でも二匹とセレンケレンでは生きた年も経験も違うのだ。とはいえ、勘違いしている二匹を放っておく気もない。
「ベルケット、ハリューシカ。落ち着け」
「これが落ち着いていられますか! 陛下っ、どうしてセレンケレンに操を捧げたのですか?!」
「ハリューシカ、操を誰に捧げるかは王の自由だろう。とはいえ、セレンケレンとは最後までしたのですか」
二匹からすればセレンケレンが出し抜けしたように映るのだろう。すっかり萎縮しているセレンケレンをちらっと見た後、二匹を見据えた。
「そうだ。セレンケレンが私の雨よけになったばかり凍え死にそうになっていたからだ」
「それはセレンケレンが状況に対して対応できなかった未熟の証と、私には聞こえます」
ハリューシカの言い分は正しい。けれど、その言葉の裏の意味がわかるとなるとクローツェルは思わず半目になった。
「ハリューシカ、ようするにお前は私が最後までセレンケレンと抱き合ったのが気に食わないだけだろう」
「ちっ、違いますっ! いえ、間違ってはいませんが……でも、それとこれとはですね」
冷や汗をかいて慌てるハリューシカにさらに言葉を重ねた。
「とにかくセレンケレンとのセックスはお前の時と違う。セレンケレンは私に何度も断りをいれていたが、私が命令したのだ。だから、責めるならセレンケレンではなく私に言え」
「へ、陛下、それはあんまりですっ」
地面に突っ伏してワッと泣き出すハリューシカにベルケットは眉を寄せてため息をついた。
「わかりました。王がそういうのであれば、自分は納得します。それとハリューシカ、王の言い分だとまるでお前が以前セックスを強要したととれるがどういうことだ」
「ベルケット殿、これには深いわけでがあってですね」
そろっと顔を上げたハリューシカを無視してベルケットはセレンケレンの方へと顔を向けた。
「セレンケレン、思い込みで責めてすまなかった」
「いえ、その。僕もすみませんでした」
セレンケレンがベルケットから冷や汗を滝のように流しているハリューシカをちらっと見て眉を下げた。
ひとまず丸く収まったことにホッとしつつ、ゲオルグの姿が見当たらないことに気づく。
「そういえば、ゲオルグの姿を見かけないな」
ベルケットに岩牢の刑をされてから一度も姿を見ていない。ただ、今までの経緯から地上で好みの両性具有でも漁っているのは容易に想像つく。
ハリューシカがようやく顔を上げると目元に浮かぶ涙を拭って淡々と応えた。
「ゲオルグでしたら、今回は荒れが長引いているようでしたので放っておきました」
「そうか」
短気で暴君なところはあるが、切り替えの早い男なだけに荒れているのは珍しい。ふだんであれば放っておくが、ハリューシカの指摘通り今回はいつにもまして長引いている。ゲオルグが欠けたところで困ることはないが、ほかの火竜のことも考えるとそうも言っていられない。
そっと息をつくと、セレンケレンが綺麗にしてくれた服を身につけて立ち上がる。
「ゲオルグはどこにいる」
「南棟にある火の竜将部屋にいます。先に言っておきますが、今ゲオルグに会わない方がいいですよ。絶対襲ってきます」
「僕もハリューシカさんに賛成です。それなりに付き合いが長いからいえますけど、機嫌が悪いときのゲオルグは危ないですって」
「ベルケットはどう思う?」
いつみても無表情のベルケットに意見を仰ぐ。ベルケットはそっと目を閉じた後、少ししてゆっくりと目蓋を持ち上げた。
「自分もハリューシカとセレンケレンと同意見です。こちらに来る前確認しましたが今までになく荒れているようだ」
「……そうか」
ゲオルグが荒れる要因はおおかた目当ての両性具有に拒絶されたあたりだろう。ゲオルグはこと生殖が関わると過激なのだ。それは雄の本能が強いという意味でもある。
「南棟に行ってくる。お前たちはついてくるな」
「ですが、陛下! 陛下の身になにかありましたら、このハリューシカ。生きていけません」
「大丈夫だ。こんな体でも私は王だ。そして、私を守るためにいるお前たち竜将を癒やすのも私の役目だ」
「陛下……」
ハリューシカは青い瞳を潤ませると、小さくうなだれた。だが、すぐに顔を上げてクローツェルの両手を包むように握った。
「でしたら、ゲオルグの後でかまいませんので私も癒やしていただけませんか?」
「……お前はほんとに図太いな」
キラキラと目を輝かせるハリューシカに半目になる。左右に小さく尻尾を揺らしてじっと見つめてくるハリューシカの手からするりと手を引き抜いて顎をひとなでしてやる。
「気が向いたらな」
「陛下ぁ」
情けない声をあげるハリューシカを無視してベルケットとセレンケレンの方を向いた。
「大事はないと思うが、お前たちはいつも通り島の巡回を頼む。ハリューシカ、お前もだ」
「はい……」
「承知いたしました」
「了解です」
各々返事したことに頷いて、ゲオルグがいる南棟に向かった。
「これでよし、と。クローツェル様、かきだしましたか?」
「どうすればいいかわからない」
かきだすというからには指を突っ込むのだろう。だが、やはり自分でやるには恐ろしくてできない。セレンケレンを見つめていれば、セレンケレンが頬を赤くしてコホンと空咳をした。
「あー、じゃあやらせていただきます」
「頼んだ」
セレンケレンに向けて足を開けば、服を干し終えたセレンケレンがそろそろと前にやってくる。蕾の縁を広げて唾液で濡らした指をいれてきた。
「んっ、ふっ…ぅ…」
くちゅっくちゅっと粘り気のある音が岩肌に反響する。白濁の液が掻き出されるたびにかすかに漂う雄臭さに蕾がひくついてしまう。
「よし、これだけかきだせば大丈夫なはず。お湯かけますよ」
「あ、あぁ」
ぐっと蕾を広げられ、お湯を手ですくってかけられる。まるで粗相した後始末のようで今さらながら羞恥を覚える。
「においもしっかりとれたし、これならバレませんね」
「誰にバレないんですか?」
ひやりとした空気が足下を撫でていく。後ろに立つハリューシカ、ベルケットにセレンケレンは顔から色を失った。
「ええっと、その」
「セレンケレン、これはどういう状況なのか詳細に説明しろ。場合によっては、岩牢の刑をお前に課す」
「そうですよ、セレンケレン。あなたはゲオルグと違って真面目だと思っていたんですけどね」
二匹の圧にセレンケレンは完全に硬直していた。いくら同じ竜将でも二匹とセレンケレンでは生きた年も経験も違うのだ。とはいえ、勘違いしている二匹を放っておく気もない。
「ベルケット、ハリューシカ。落ち着け」
「これが落ち着いていられますか! 陛下っ、どうしてセレンケレンに操を捧げたのですか?!」
「ハリューシカ、操を誰に捧げるかは王の自由だろう。とはいえ、セレンケレンとは最後までしたのですか」
二匹からすればセレンケレンが出し抜けしたように映るのだろう。すっかり萎縮しているセレンケレンをちらっと見た後、二匹を見据えた。
「そうだ。セレンケレンが私の雨よけになったばかり凍え死にそうになっていたからだ」
「それはセレンケレンが状況に対して対応できなかった未熟の証と、私には聞こえます」
ハリューシカの言い分は正しい。けれど、その言葉の裏の意味がわかるとなるとクローツェルは思わず半目になった。
「ハリューシカ、ようするにお前は私が最後までセレンケレンと抱き合ったのが気に食わないだけだろう」
「ちっ、違いますっ! いえ、間違ってはいませんが……でも、それとこれとはですね」
冷や汗をかいて慌てるハリューシカにさらに言葉を重ねた。
「とにかくセレンケレンとのセックスはお前の時と違う。セレンケレンは私に何度も断りをいれていたが、私が命令したのだ。だから、責めるならセレンケレンではなく私に言え」
「へ、陛下、それはあんまりですっ」
地面に突っ伏してワッと泣き出すハリューシカにベルケットは眉を寄せてため息をついた。
「わかりました。王がそういうのであれば、自分は納得します。それとハリューシカ、王の言い分だとまるでお前が以前セックスを強要したととれるがどういうことだ」
「ベルケット殿、これには深いわけでがあってですね」
そろっと顔を上げたハリューシカを無視してベルケットはセレンケレンの方へと顔を向けた。
「セレンケレン、思い込みで責めてすまなかった」
「いえ、その。僕もすみませんでした」
セレンケレンがベルケットから冷や汗を滝のように流しているハリューシカをちらっと見て眉を下げた。
ひとまず丸く収まったことにホッとしつつ、ゲオルグの姿が見当たらないことに気づく。
「そういえば、ゲオルグの姿を見かけないな」
ベルケットに岩牢の刑をされてから一度も姿を見ていない。ただ、今までの経緯から地上で好みの両性具有でも漁っているのは容易に想像つく。
ハリューシカがようやく顔を上げると目元に浮かぶ涙を拭って淡々と応えた。
「ゲオルグでしたら、今回は荒れが長引いているようでしたので放っておきました」
「そうか」
短気で暴君なところはあるが、切り替えの早い男なだけに荒れているのは珍しい。ふだんであれば放っておくが、ハリューシカの指摘通り今回はいつにもまして長引いている。ゲオルグが欠けたところで困ることはないが、ほかの火竜のことも考えるとそうも言っていられない。
そっと息をつくと、セレンケレンが綺麗にしてくれた服を身につけて立ち上がる。
「ゲオルグはどこにいる」
「南棟にある火の竜将部屋にいます。先に言っておきますが、今ゲオルグに会わない方がいいですよ。絶対襲ってきます」
「僕もハリューシカさんに賛成です。それなりに付き合いが長いからいえますけど、機嫌が悪いときのゲオルグは危ないですって」
「ベルケットはどう思う?」
いつみても無表情のベルケットに意見を仰ぐ。ベルケットはそっと目を閉じた後、少ししてゆっくりと目蓋を持ち上げた。
「自分もハリューシカとセレンケレンと同意見です。こちらに来る前確認しましたが今までになく荒れているようだ」
「……そうか」
ゲオルグが荒れる要因はおおかた目当ての両性具有に拒絶されたあたりだろう。ゲオルグはこと生殖が関わると過激なのだ。それは雄の本能が強いという意味でもある。
「南棟に行ってくる。お前たちはついてくるな」
「ですが、陛下! 陛下の身になにかありましたら、このハリューシカ。生きていけません」
「大丈夫だ。こんな体でも私は王だ。そして、私を守るためにいるお前たち竜将を癒やすのも私の役目だ」
「陛下……」
ハリューシカは青い瞳を潤ませると、小さくうなだれた。だが、すぐに顔を上げてクローツェルの両手を包むように握った。
「でしたら、ゲオルグの後でかまいませんので私も癒やしていただけませんか?」
「……お前はほんとに図太いな」
キラキラと目を輝かせるハリューシカに半目になる。左右に小さく尻尾を揺らしてじっと見つめてくるハリューシカの手からするりと手を引き抜いて顎をひとなでしてやる。
「気が向いたらな」
「陛下ぁ」
情けない声をあげるハリューシカを無視してベルケットとセレンケレンの方を向いた。
「大事はないと思うが、お前たちはいつも通り島の巡回を頼む。ハリューシカ、お前もだ」
「はい……」
「承知いたしました」
「了解です」
各々返事したことに頷いて、ゲオルグがいる南棟に向かった。
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