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夜道の誘い
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いつの間にか私は椅子に座ったまま眠っており、起きた時、外は真っ暗になっていた。
だが、室内は鍵をかけていなかったためか誰かが入り、ベット近くに置かれた焦茶のサイドテーブルに乗ったランタンの蝋燭に火が灯っていた。
ゆらゆらと揺れ動く火が部屋をボォォ…っと優しく照らし真っ暗な部屋に光をもたらしていた。
と同時に、入ってきた人物は多分イリーナなんだろうな、と考えた。
グゥゥゥゥ…と盛大にお腹を鳴らす。
誰もいないから恥ずかしさは全くないが、でもこの空腹は耐えれそうになく、椅子から立つと、無施錠の扉を開け、廊下へと出てみた。
真っ暗で静かな廊下を歩く人物などいないが、斜め向かいにあるお風呂にはどうやら人が入ってるみたいで灯りが灯っていた。
どこに行けばこのお腹を満たす事が出来るのか分からないが、とりあえず真っ暗では進みづらいので部屋からランタンを取り、再び廊下に出て歩く事にした。
歩いても現れるのは扉と装飾品が並ぶ廊下。
「お腹空いたな……」
左手をお腹に当て、なんでもいいから口にしたい気持ちが徐々に強まると共に、灯りをつけるなら何か食べ物も一緒に置いておいてくれたらいいのに…と苛立ちを覚えてしまっていた。
そんな気持ちを持っていると、廊下の曲がり角が薄く明るくなっていき、次第にその光が角近くまでくるのが分かった。
「ど、どうしよう」
先程までの苛立ちから恐怖や焦る気持ちへと変わり、右手に持つランタンをオロオロと動かし、顔は前後を見る仕草を見せていた。
「誰だ!?」
私が示す行動を不審に思ったのか廊下の角まで来ていた人物が声をあげ、角を曲がり私に姿を現した。
「……リース」
そこにいたのはニコルだった。
「なぜここに?」
「それは私も同じ事をいうけど」
「部屋に戻る途中だ。質問には答えたぞ、お前は何故こんな夜中に歩いてる?」
「私は……」
返答に困っているとお腹を鳴らし、その音を聞いたニコルは『ふっ』と軽く笑いつつ、持つランタンを私のお腹へと寄せてきた。
「なにするの!?」
「いや、どこの腹がなっているのかと思ってな」
昼間の出来事などもう忘れたのかと呆れてしまうほど自然に接してきた。
だが、怒る気持ちよりも空腹のが勝り、照らすランタンを遠ざけるように背を向け、来た道を戻ろうとした。
「そっちに行っても何もないぞ?」
「……じゃ、じゃあどこに行けばあるの?」
「今の時間など誰も起きていない、ウロウロしててもそこら辺で倒れるだけだ、ついて来い」
ニコルはランタンを照らしながら私の横を通り過ぎスタスタと歩いたかと思ったら、ピタッと足を止め振り返る。
「来ないのか?じゃあそこら辺で寝てろ」
「どこに向かってるの?」
「……俺の部屋だ」
「なんで!?」
「多少なら食べずに残ってる。要らないなら捨てるだけだ」
行く気持ちは全くないが、空腹に負け、ニコルの後を追うことにした。
だが、室内は鍵をかけていなかったためか誰かが入り、ベット近くに置かれた焦茶のサイドテーブルに乗ったランタンの蝋燭に火が灯っていた。
ゆらゆらと揺れ動く火が部屋をボォォ…っと優しく照らし真っ暗な部屋に光をもたらしていた。
と同時に、入ってきた人物は多分イリーナなんだろうな、と考えた。
グゥゥゥゥ…と盛大にお腹を鳴らす。
誰もいないから恥ずかしさは全くないが、でもこの空腹は耐えれそうになく、椅子から立つと、無施錠の扉を開け、廊下へと出てみた。
真っ暗で静かな廊下を歩く人物などいないが、斜め向かいにあるお風呂にはどうやら人が入ってるみたいで灯りが灯っていた。
どこに行けばこのお腹を満たす事が出来るのか分からないが、とりあえず真っ暗では進みづらいので部屋からランタンを取り、再び廊下に出て歩く事にした。
歩いても現れるのは扉と装飾品が並ぶ廊下。
「お腹空いたな……」
左手をお腹に当て、なんでもいいから口にしたい気持ちが徐々に強まると共に、灯りをつけるなら何か食べ物も一緒に置いておいてくれたらいいのに…と苛立ちを覚えてしまっていた。
そんな気持ちを持っていると、廊下の曲がり角が薄く明るくなっていき、次第にその光が角近くまでくるのが分かった。
「ど、どうしよう」
先程までの苛立ちから恐怖や焦る気持ちへと変わり、右手に持つランタンをオロオロと動かし、顔は前後を見る仕草を見せていた。
「誰だ!?」
私が示す行動を不審に思ったのか廊下の角まで来ていた人物が声をあげ、角を曲がり私に姿を現した。
「……リース」
そこにいたのはニコルだった。
「なぜここに?」
「それは私も同じ事をいうけど」
「部屋に戻る途中だ。質問には答えたぞ、お前は何故こんな夜中に歩いてる?」
「私は……」
返答に困っているとお腹を鳴らし、その音を聞いたニコルは『ふっ』と軽く笑いつつ、持つランタンを私のお腹へと寄せてきた。
「なにするの!?」
「いや、どこの腹がなっているのかと思ってな」
昼間の出来事などもう忘れたのかと呆れてしまうほど自然に接してきた。
だが、怒る気持ちよりも空腹のが勝り、照らすランタンを遠ざけるように背を向け、来た道を戻ろうとした。
「そっちに行っても何もないぞ?」
「……じゃ、じゃあどこに行けばあるの?」
「今の時間など誰も起きていない、ウロウロしててもそこら辺で倒れるだけだ、ついて来い」
ニコルはランタンを照らしながら私の横を通り過ぎスタスタと歩いたかと思ったら、ピタッと足を止め振り返る。
「来ないのか?じゃあそこら辺で寝てろ」
「どこに向かってるの?」
「……俺の部屋だ」
「なんで!?」
「多少なら食べずに残ってる。要らないなら捨てるだけだ」
行く気持ちは全くないが、空腹に負け、ニコルの後を追うことにした。
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