全てを失った私を救ったのは…

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黄昏

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イリーナは私に鍵を渡した後、何か飲み物をと言い場を離れていった。
後ろ行く姿を見て私は軽く、『ふぅ』っと息をつく。
今日一日で色々起こり過ぎたせいもあるのか、はたまた自分の能力を使い過ぎたからかは分からないが、自然と出ていた。

少し一人になりたく渡された鍵を使い部屋の扉を開けた。

中は一人で使うにはちょうど良いと感じた。
丸い木のテーブル、背付きの椅子、テーブルに小さな花瓶が置かれ、中には赤、白、黄色の花が挿されている。
部屋には一つ両開きの窓があり、薄いレース状のカーテンが備わり、そのすぐ近くにはシングル用の木のベッドが置かれ綺麗に被せられた毛布はどうやら羽毛のようだ。

あの薄暗い部屋にあった壊れた家具を思い出し、各部屋に同じ物があるのだろうとすぐに分かった。

私は置かれた毛布の上から座ると、そのまま体を横にし、目を閉じた。

(能力があったからここにいるんだろう…)

ニコルを襲う人を見なければいつもと同じ生活を続けているに違いない。
もしかしたらこうなったのは運命なのかもしれないと考えていると、自分の能力がいいのか悪いのか分からなくなっていた。

考えていると開きっぱなしだった部屋の扉からイリーナがポットとカップが乗ったお盆を手に入ってきた。

「不用心だよ」

入ってきたイリーナはテーブルにお盆を置くなり開いた扉を閉め、横になっている私の隣に座ってきた。

「色々あったから疲れたんでしょう?置いておくから冷めない内に飲んで」

優しく語りかけた後、イリーナは立ち上がり部屋を出ていく。
それを私は薄く目を開き見届けると、ムクっと横にしていた体を起こし、テーブルに置かれた白く注ぎ口が象の鼻のように長いポットと白く飲み口が軽く波打つ形のカップを見た。

心を落ち着かせようと立ち、ポットを手にするとゆっくりカップに注ぎ入れていった。

中身は紅茶みたいだ。
カップに注がれる紅茶は薄茶色をしており、立ち昇る湯気がふわっと香り、私の鼻に届く。
柑橘系のような少し甘い香りを感じ、私は立ったままそれを飲みだした。

「はぁ」

カップから口を外すと自然と声が漏れた。
と、同時に染み渡る感覚を感じ、再びカップを口に運び飲み干すと椅子を移動させ、窓の前に置くとただただ外を眺めだした。

見えるのは中庭の花壇、雨が降るなかでも休憩を取る小鳥を見ては一つため息を吐く。
時間だけが過ぎ、次第に暗くなる外を見て長い1日が終わっていった。
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