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過去
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玉座の間を出た私を廊下の壁を背にし、佇むイリーナの姿があった。
「どうして……?」
声を掛ける私に気付くと、周りを見渡した後近づき、『良かった』と言う。
なぜ安堵の表情を浮かべ、そう言うのかを尋ねると、扉が急に開き、ローズが自身に気付く様子もなく一目散に駆けていく姿を見たからだと。
「また、何かあるんじゃないかと思って」
自身が原因を作った事をまだ気にしてる様子で、お人好しなんだろうなと感じた。
「ありがとう、何もされてないから」
「そう……なら良いけど」
私はニコルが部屋の場所を聞けと言っていたのを思い出し、イリーナにその部屋の場所を尋ねると、『こっち』とついてくるように足を進めていく。
道中、私はイリーナに幾つか質問を投げかけてみた。
歳、何故ここにいるのか、両親は…等、様々な質問を矢継ぎ早に話しだすと端的に答えていく。
歳は17、両親は生家が火事を起こし逃げ遅れた事で亡くなった事、火事後は孤児院で育ったと教えてくれた。
「孤児院から…ここに?」
「そう……。そこでローズ様に……」
「なんでそこにローズが?」
まだニコルとローズの両親が健在だった頃、10歳になったローズに欲しい物は?と尋ねた所、召使いだと言われ身寄りがない孤児院なら誰も困らないだろうと訪れたらしい。
「身寄りがないからって……それ、人攫いみたいじゃない」
「でも、ずっと一人で生きていくのは辛いから、良かったのかもしれない……」
イリーナの声は徐々にか弱くなり、ブロンズ色の長髪を項垂れ落とし、間から見える目元は影を落としている感じに見えた。
「ごめん、こんな話つまらないわよね」
私は首を横に振った後、イリーナの手を両手で包み込み、お礼を言った。
「なんで、お礼……?」
「だって、イリーナが居なかったらこの場所で『支え』となる人がいないから、だからいてくれて良かった」
「支え……私が……」
うんうんと首を縦に何度も振り、合わせて手も上下させた。
「……ありがとう」
そんな私の両手にイリーナは額をくっつけ、震える手で両手を包み返してきた。
関わりを持てば粛清…が今ではもう完全に消し去られたようだった。
その後、二人はお互いの事を話し合いながら廊下を進み、幾つも並ぶ扉の一つに足を止めた。
場所は玉座の間からは少し離れ、お風呂場から斜め向かいに当たる場所だった。
「コレ」
白のワンピースと紺の前掛け姿のイリーナ。
どうやらここでは白のワンピースはメイドの制服なのだろう、だからお風呂場にもあったんだと悟る。
前掛けにつけられた二つのポケットの内、右手側に手を入れた後、一つの鍵を私へと差し向けた。
スプーンのような片方が丸みを帯び、平べったくなっているシルバーの鍵。
これがこの部屋の鍵らしい。
「失くさないでね、スペアがないから」
「もし失くしたら……?」
つい私は失くした後のことを聞いていた。
すると、イリーナはこの屋敷から追放される、と教え、実際失くした者が過去にいて、その時はファーラスが激しく怒り無理矢理追い出したそうだと告げる。
「執事がそこまでするなんて」
「だから、失くさないでね」
「もういないんだから大丈夫だよ」
ニコルに追放されたファーラスの名を挙げ、私は余裕顔を見せると、『変わってるのね』とイリーナは笑った。
「どうして……?」
声を掛ける私に気付くと、周りを見渡した後近づき、『良かった』と言う。
なぜ安堵の表情を浮かべ、そう言うのかを尋ねると、扉が急に開き、ローズが自身に気付く様子もなく一目散に駆けていく姿を見たからだと。
「また、何かあるんじゃないかと思って」
自身が原因を作った事をまだ気にしてる様子で、お人好しなんだろうなと感じた。
「ありがとう、何もされてないから」
「そう……なら良いけど」
私はニコルが部屋の場所を聞けと言っていたのを思い出し、イリーナにその部屋の場所を尋ねると、『こっち』とついてくるように足を進めていく。
道中、私はイリーナに幾つか質問を投げかけてみた。
歳、何故ここにいるのか、両親は…等、様々な質問を矢継ぎ早に話しだすと端的に答えていく。
歳は17、両親は生家が火事を起こし逃げ遅れた事で亡くなった事、火事後は孤児院で育ったと教えてくれた。
「孤児院から…ここに?」
「そう……。そこでローズ様に……」
「なんでそこにローズが?」
まだニコルとローズの両親が健在だった頃、10歳になったローズに欲しい物は?と尋ねた所、召使いだと言われ身寄りがない孤児院なら誰も困らないだろうと訪れたらしい。
「身寄りがないからって……それ、人攫いみたいじゃない」
「でも、ずっと一人で生きていくのは辛いから、良かったのかもしれない……」
イリーナの声は徐々にか弱くなり、ブロンズ色の長髪を項垂れ落とし、間から見える目元は影を落としている感じに見えた。
「ごめん、こんな話つまらないわよね」
私は首を横に振った後、イリーナの手を両手で包み込み、お礼を言った。
「なんで、お礼……?」
「だって、イリーナが居なかったらこの場所で『支え』となる人がいないから、だからいてくれて良かった」
「支え……私が……」
うんうんと首を縦に何度も振り、合わせて手も上下させた。
「……ありがとう」
そんな私の両手にイリーナは額をくっつけ、震える手で両手を包み返してきた。
関わりを持てば粛清…が今ではもう完全に消し去られたようだった。
その後、二人はお互いの事を話し合いながら廊下を進み、幾つも並ぶ扉の一つに足を止めた。
場所は玉座の間からは少し離れ、お風呂場から斜め向かいに当たる場所だった。
「コレ」
白のワンピースと紺の前掛け姿のイリーナ。
どうやらここでは白のワンピースはメイドの制服なのだろう、だからお風呂場にもあったんだと悟る。
前掛けにつけられた二つのポケットの内、右手側に手を入れた後、一つの鍵を私へと差し向けた。
スプーンのような片方が丸みを帯び、平べったくなっているシルバーの鍵。
これがこの部屋の鍵らしい。
「失くさないでね、スペアがないから」
「もし失くしたら……?」
つい私は失くした後のことを聞いていた。
すると、イリーナはこの屋敷から追放される、と教え、実際失くした者が過去にいて、その時はファーラスが激しく怒り無理矢理追い出したそうだと告げる。
「執事がそこまでするなんて」
「だから、失くさないでね」
「もういないんだから大丈夫だよ」
ニコルに追放されたファーラスの名を挙げ、私は余裕顔を見せると、『変わってるのね』とイリーナは笑った。
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