全てを失った私を救ったのは…

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ニコルの部屋

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暗い廊下をランタンを灯しながらニコルと歩いていく。
私の左側を歩くニコルは少しだけ先を歩く感じであり、合わせて歩くという事はしないようだ。
自己中なのは今知ったわけじゃないが、暗い廊下をランタンの火だけなのだから不安に思う気持ちを少しは汲んで欲しい気持ちになる。

「遅いぞ」

軽く顔を右に向け、私を見ながらいうこの一言にカチンときてしまった。

「……すみませんね、遅くて」
「なんだ、その言い草は?不服か?」

どうやらこっちの気持ちは全く分からないようで、こんな所で言い争っても埒があかないと思い、歩みを早め隣を歩く事にした。
だが、二人の間には一人分の間があり、ニコルが持つランタンが私の左手をチラチラと映す。

「それでいい」

歩む速度が同じになったことで少し機嫌が良くなったのか、ほんの少しだけ私との距離を詰めてきた。
なんで寄るのだろうか…と思ったが、無視しそのまま部屋へと歩んで行った。



※※※



「ここだ」

ニコルが足を止めたのは屋敷から一度外に出て花壇が並ぶ中庭の一角だった。
屋敷と同じ煉瓦調作りの建物、小さな窓が一つ、王様が暮らす部屋にしては質素過ぎるなと感じた。

「ここ?」
「あぁ、なんだ?」
「いや……外、なんだと思って」
「ふっ、屋敷内だと落ち着かん、だからここに作らせた。それにここは夜だと人は来ないからな」

ドキッとした。
人が来ない、だと。
その言葉に私は妙に意識をしてしまい、さっきまで無視していた距離感を少し空ける事にした。

傍らではポケットから鍵を取り出しガチャガチャと鍵穴に突っ込んでる姿があった。
昼間見た格好とは違い、この時間に見るニコルはラフな格好だ。
白のシャツに黒の膝丈くらいのズボン姿、王様ってこんな格好もするんだと意外な目を向け、開けるのを待ってしまった。

「開いたぞ、入れ」

建物と同調させるかのような色をした扉を開け、先に自身が入ると、私に入るように招いてくる。

「……」

言葉を失った。
私がいた部屋となんら変わらない、と。
テーブルに椅子、ベット…必要な物しか置いてなく窓の近くには両開きのクローゼットが一つ設置されているだけで、中も外も質素だ。
ただ唯一違うなと思うのが、ベットだ。
一人で寝るには大きい気がした、二人が横に並んでも余裕がある感じで…。

「なんだ、ジロジロ見る物なんてないだろう、早く閉めろ」
「あっ…うん」

叱られ私は部屋の扉を閉め、その場に立ち尽くし、目をキョロキョロと動かしていた。

「……そんな目を動かしても何も変わらん、座れ」

座るよう指示するテーブルにはパンが一つ、少し量が減った状態のスープ、ナイフとフォークが置かれたままの皿にはステーキが半分くらい残されていた。

「それでも喰え」

ニコルはベットに腰掛け右足を上にして組むと座る私を待っていた。



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