全てを失った私を救ったのは…

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喧嘩

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左足をトントンと貧乏揺すりの様に動かし無言の圧を掛けてくる。
苛立っているなとわかりやすく、何か言われる前に私は背を向け椅子に座った。
だが、目の前にあるのはニコルの食べかけのご飯。

「いいぞ、遠慮するな」

ようやく足の揺れも治まったみたいで、口を開く。
と言われても人が口にしたものを食べる事は躊躇し、私は顔を軽く左に向けどんな顔をして見ているのかを確認した。

「ん?どうした?」

右頬を軽く上げ、座る体を少し後ろに仰け反らし、支えるように両手をついている。

「あの、これ、食べかけ」
「あぁ、だから?腹が減ってるんだろう。食べかけでも飯には変わらんはずだ。いいから喰え」
「そうじゃなくて……」
「なんだ?不満なのか?……食べれない物があるから喰えんというならハッキリ言え」

私が言いたい事が全く通じず、鈍感なのか…と思ってしまい落胆した私は振り向いた顔を少し戻しながら料理に目線を落とす。

「なんなんだ、腹が減ってると言うから連れてきたのに喰わんとは。要らんなら……」

全く口にしない私に業を煮やし、ニコルはベットから立ち上がると私へと近づき、ステーキが載る皿に手を伸ばしてきた。

「……あなたの口がついてるから食べづらいの!?」
「あ?口?」
「だから!?」

私の大声にニコルは少し考えたかと思ったら『あぁ……そういう事か』と呟く。
やっとわかったんだなと思い、私は首を縦に振った。

「そうか、お前もウブだな。俺が喰わせてやる」
「はぁっ!?」

何をいうかと思ったが、ニコルは取り上げようとしたステーキをナイフとフォークで切り分けたかと思ったらその一つにフォークを刺し、こっちを向けと言う。

「な、何言ってるの?」
「あ?さっき言っただろうが、喰わすと。いいからこっち向け」
「あなた、馬鹿なの?」
「あーっ!?馬鹿だと!?王に向かって馬鹿という奴がいるとはな、その言葉、消えんぞ」
「消えなくても別に……。今しようとしてるのは強要だけど」
「強要、だ?……ごちゃごちゃうるさい奴だな!喰え!?」

無理矢理ステーキを食べさそうとフォークを顔に近づけてくるニコルを、私は左手で振り払う。
その手がフォークに当たり、衝撃でニコルの手から離れた後、床へと落ちた。
落ちたフォークを見た後、私の名を呼んだかと思ったら急に掴みかかってきた。

「ちょ、な、なに!?」

バランスを崩し、私は椅子から転げ落ちる形になり、そして覆い被さるようにニコルの体が私の上に乗っかってきた。

「人の親切を台無しにするとはな」
「親切じゃないでしょ、今のは。強要だって言ったはず」
「お前が喰わんからこうなったんだから悪いのはお前だろうが」
「理由は言ったでしょ、それに納得したのはあなたのはず。勝手に動いたんだから悪いのはそっちでしょ!」
「あぁ!?まだ言うか!?」

ニコルは私の両腕を掴み、馬乗りの状態だ。

「……妻になるなら拒むなよ」
「はっ?」

こんな状況でニコルは私に顔を近づけてきた。

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