全てを失った私を救ったのは…

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折れた

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「何度も言わせるな、気にするなっ。お前を今まで育てた父に手を出すとは……。黙ってニコル様と」

私を打った父は右手を気にするように摩り、母もそんな父に寄り添いつつ私の事を見てくる。
両親がまるで本当の親ではない様に見えた…。

「ど……どう、し……」

私は打たれた痛みと拒絶された気持ちから泣きたくなったが、そんな私に構わずニコルにもし無礼を働いたらどんな罰をして頂いても構わないとさえ言う。

「あぁ……いいのならな」
「えぇ、それはもちろん」

どんな言葉を私が口にしても無理だ…と思うには十分な雰囲気があった。
1:3。
多数決で私が負けるのは簡単に分かった。

「……では、私達はこれで」

両親はニコルに頭を下げ玉座を後にしていく。
ただ、私の事を一切見る事なく……。

パタンと閉まった玉座には私とニコルだけ。

「……お前の両親は物分かりがいいな。リース、諦めろ」

ゆっくりと私へと近づきつつ放つ言葉が胸に刺さり、それが怒りへと変貌していくのが私自身よく分かった。

「これでお前は俺の妻……」
「……いいわよ、なってあげるわよ」

私の心は折れたような感じで言葉を発していた。

「ほぅ、取り消すなら今しかないぞ?どうする、取り消すか?」
「いい、取り消さない。なってあげるわよ。それでいいでしょ」
「……」

あれだけ拒む気持ちがあった私の態度が一変した事にニコルは驚く顔を見せたが、すぐにいつもの余裕顔に戻り、更に私に近づいてきた。

「なら、お前を今ここで抱きしめても文句はいうなよ?」
「……」
「なんだ、黙るなよ、取り消すのはもう無理なんだぞ」

「……したければどうぞ」

私は手を広げ、ニコルを迎え入れる形を取り待ち構えた。

「はははっ、お前もあの両親と同じで物分かりがいいじゃないか。いいぞ、存分に愛してやる」

ニコルは私にくっつくゆっくりと背中へと手を回していく。
抱きつきながら、また『ふふふ』とニコルは笑う。

「気持ち悪い、笑わないで」
「あぁ、悪い。だが、もう『逃げる』なよ」
「……分かってる」



ーーーーーーー



ニコルとの生活が始まった。
でもまだ婚姻を結ぶ年齢に経っていないため周りに大々的に披露する事はできなかった。
だが、一番驚いたのはイリーナ始めメイド達と衛兵達だ。

そして…


「どういう事っ、お兄様!?あんなネズミと」
「うるさいぞ、ローズ。もう決めた事だ、それに……」
「あっ、それ、その指輪!?」

いざこざで隙間へと転がっていったあの指輪をローズへと見せた。

「これをリースに付ける。サイズが合わないから技師を呼べ」
「……嫌です。それは私が貰うはず!」

ギャーギャーとやり合うニコルの部屋を私は開けた。

「あっ!?泥棒ネズミ!?入ってくるな!?」

酷い言われようだが、私にはもう響かない。

「……呼ばれてきただけだし」
「うるさいっ」

入ってきた私に一気に詰め寄ると扉へと体を押し、追い出そうとしてきた。

「やめろ、ローズ。そいつは俺の妻だ。何かあったらお前の首を飛ばすぞ」

ニコルの言葉と態度は明らかに怒りを示し、携えた剣に手をする様は手を下すのに躊躇はないようだった。

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