27 / 68
折れた
しおりを挟む
「何度も言わせるな、気にするなっ。お前を今まで育てた父に手を出すとは……。黙ってニコル様と」
私を打った父は右手を気にするように摩り、母もそんな父に寄り添いつつ私の事を見てくる。
両親がまるで本当の親ではない様に見えた…。
「ど……どう、し……」
私は打たれた痛みと拒絶された気持ちから泣きたくなったが、そんな私に構わずニコルにもし無礼を働いたらどんな罰をして頂いても構わないとさえ言う。
「あぁ……いいのならな」
「えぇ、それはもちろん」
どんな言葉を私が口にしても無理だ…と思うには十分な雰囲気があった。
1:3。
多数決で私が負けるのは簡単に分かった。
「……では、私達はこれで」
両親はニコルに頭を下げ玉座を後にしていく。
ただ、私の事を一切見る事なく……。
パタンと閉まった玉座には私とニコルだけ。
「……お前の両親は物分かりがいいな。リース、諦めろ」
ゆっくりと私へと近づきつつ放つ言葉が胸に刺さり、それが怒りへと変貌していくのが私自身よく分かった。
「これでお前は俺の妻……」
「……いいわよ、なってあげるわよ」
私の心は折れたような感じで言葉を発していた。
「ほぅ、取り消すなら今しかないぞ?どうする、取り消すか?」
「いい、取り消さない。なってあげるわよ。それでいいでしょ」
「……」
あれだけ拒む気持ちがあった私の態度が一変した事にニコルは驚く顔を見せたが、すぐにいつもの余裕顔に戻り、更に私に近づいてきた。
「なら、お前を今ここで抱きしめても文句はいうなよ?」
「……」
「なんだ、黙るなよ、取り消すのはもう無理なんだぞ」
「……したければどうぞ」
私は手を広げ、ニコルを迎え入れる形を取り待ち構えた。
「はははっ、お前もあの両親と同じで物分かりがいいじゃないか。いいぞ、存分に愛してやる」
ニコルは私にくっつくゆっくりと背中へと手を回していく。
抱きつきながら、また『ふふふ』とニコルは笑う。
「気持ち悪い、笑わないで」
「あぁ、悪い。だが、もう『逃げる』なよ」
「……分かってる」
ーーーーーーー
ニコルとの生活が始まった。
でもまだ婚姻を結ぶ年齢に経っていないため周りに大々的に披露する事はできなかった。
だが、一番驚いたのはイリーナ始めメイド達と衛兵達だ。
そして…
「どういう事っ、お兄様!?あんなネズミと」
「うるさいぞ、ローズ。もう決めた事だ、それに……」
「あっ、それ、その指輪!?」
いざこざで隙間へと転がっていったあの指輪をローズへと見せた。
「これをリースに付ける。サイズが合わないから技師を呼べ」
「……嫌です。それは私が貰うはず!」
ギャーギャーとやり合うニコルの部屋を私は開けた。
「あっ!?泥棒ネズミ!?入ってくるな!?」
酷い言われようだが、私にはもう響かない。
「……呼ばれてきただけだし」
「うるさいっ」
入ってきた私に一気に詰め寄ると扉へと体を押し、追い出そうとしてきた。
「やめろ、ローズ。そいつは俺の妻だ。何かあったらお前の首を飛ばすぞ」
ニコルの言葉と態度は明らかに怒りを示し、携えた剣に手をする様は手を下すのに躊躇はないようだった。
私を打った父は右手を気にするように摩り、母もそんな父に寄り添いつつ私の事を見てくる。
両親がまるで本当の親ではない様に見えた…。
「ど……どう、し……」
私は打たれた痛みと拒絶された気持ちから泣きたくなったが、そんな私に構わずニコルにもし無礼を働いたらどんな罰をして頂いても構わないとさえ言う。
「あぁ……いいのならな」
「えぇ、それはもちろん」
どんな言葉を私が口にしても無理だ…と思うには十分な雰囲気があった。
1:3。
多数決で私が負けるのは簡単に分かった。
「……では、私達はこれで」
両親はニコルに頭を下げ玉座を後にしていく。
ただ、私の事を一切見る事なく……。
パタンと閉まった玉座には私とニコルだけ。
「……お前の両親は物分かりがいいな。リース、諦めろ」
ゆっくりと私へと近づきつつ放つ言葉が胸に刺さり、それが怒りへと変貌していくのが私自身よく分かった。
「これでお前は俺の妻……」
「……いいわよ、なってあげるわよ」
私の心は折れたような感じで言葉を発していた。
「ほぅ、取り消すなら今しかないぞ?どうする、取り消すか?」
「いい、取り消さない。なってあげるわよ。それでいいでしょ」
「……」
あれだけ拒む気持ちがあった私の態度が一変した事にニコルは驚く顔を見せたが、すぐにいつもの余裕顔に戻り、更に私に近づいてきた。
「なら、お前を今ここで抱きしめても文句はいうなよ?」
「……」
「なんだ、黙るなよ、取り消すのはもう無理なんだぞ」
「……したければどうぞ」
私は手を広げ、ニコルを迎え入れる形を取り待ち構えた。
「はははっ、お前もあの両親と同じで物分かりがいいじゃないか。いいぞ、存分に愛してやる」
ニコルは私にくっつくゆっくりと背中へと手を回していく。
抱きつきながら、また『ふふふ』とニコルは笑う。
「気持ち悪い、笑わないで」
「あぁ、悪い。だが、もう『逃げる』なよ」
「……分かってる」
ーーーーーーー
ニコルとの生活が始まった。
でもまだ婚姻を結ぶ年齢に経っていないため周りに大々的に披露する事はできなかった。
だが、一番驚いたのはイリーナ始めメイド達と衛兵達だ。
そして…
「どういう事っ、お兄様!?あんなネズミと」
「うるさいぞ、ローズ。もう決めた事だ、それに……」
「あっ、それ、その指輪!?」
いざこざで隙間へと転がっていったあの指輪をローズへと見せた。
「これをリースに付ける。サイズが合わないから技師を呼べ」
「……嫌です。それは私が貰うはず!」
ギャーギャーとやり合うニコルの部屋を私は開けた。
「あっ!?泥棒ネズミ!?入ってくるな!?」
酷い言われようだが、私にはもう響かない。
「……呼ばれてきただけだし」
「うるさいっ」
入ってきた私に一気に詰め寄ると扉へと体を押し、追い出そうとしてきた。
「やめろ、ローズ。そいつは俺の妻だ。何かあったらお前の首を飛ばすぞ」
ニコルの言葉と態度は明らかに怒りを示し、携えた剣に手をする様は手を下すのに躊躇はないようだった。
2
あなたにおすすめの小説
元婚約者に捨てられて皇太子に拾われたけど、今さら後悔しても遅いですよ?
exdonuts
恋愛
婚約破棄された日に崖から落ちた。目覚めたら見知らぬ国の皇太子に拾われ、私は皇太子妃候補に。元婚約者は私の死を喜び、新妻と祝杯を挙げていた。だが一年後、国賓として訪れた私は皇太子の腕に抱かれていた。彼の溺愛は国を揺るがすほどで、元婚約者の後悔の叫びなど届かない。ざまぁ、あなたが捨てたこの女が、今世界で一番愛されているのよ。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
殿下の婚約者は、記憶喪失です。
有沢真尋
恋愛
王太子の婚約者である公爵令嬢アメリアは、いつも微笑みの影に疲労を蓄えているように見えた。
王太子リチャードは、アメリアがその献身を止めたら烈火の如く怒り狂うのは想像に難くない。自分の行動にアメリアが口を出すのも絶対に許さない。たとえば結婚前に派手な女遊びはやめて欲しい、という願いでさえも。
たとえ王太子妃になれるとしても、幸せとは無縁そうに見えたアメリア。
彼女は高熱にうなされた後、すべてを忘れてしまっていた。
※ざまあ要素はありません。
※表紙はかんたん表紙メーカーさま
貧乏子爵令嬢ですが、愛人にならないなら家を潰すと脅されました。それは困る!
よーこ
恋愛
図書室での読書が大好きな子爵令嬢。
ところが最近、図書室で騒ぐ令嬢が現れた。
その令嬢の目的は一人の見目の良い伯爵令息で……。
短編です。
【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ
リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。
先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。
エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹?
「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」
はて、そこでヤスミーンは思案する。
何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。
また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。
最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。
するとある変化が……。
ゆるふわ設定ざまああり?です。
【完結】精神的に弱い幼馴染を優先する婚約者を捨てたら、彼の兄と結婚することになりました
当麻リコ
恋愛
侯爵令嬢アメリアの婚約者であるミュスカーは、幼馴染みであるリリィばかりを優先する。
リリィは繊細だから僕が支えてあげないといけないのだと、誇らしそうに。
結婚を間近に控え、アメリアは不安だった。
指輪選びや衣装決めにはじまり、結婚に関する大事な話し合いの全てにおいて、ミュスカーはリリィの呼び出しに応じて行ってしまう。
そんな彼を見続けて、とうとうアメリアは彼との結婚生活を諦めた。
けれど正式に婚約の解消を求めてミュスカーの父親に相談すると、少し時間をくれと言って保留にされてしまう。
仕方なく保留を承知した一ヵ月後、国外視察で家を空けていたミュスカーの兄、アーロンが帰ってきてアメリアにこう告げた。
「必ず幸せにすると約束する。どうか俺と結婚して欲しい」
ずっと好きで、けれど他に好きな女性がいるからと諦めていたアーロンからの告白に、アメリアは戸惑いながらも頷くことしか出来なかった。
婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!
志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。
親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。
本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。
幼馴染の許嫁は、男勝りな彼女にご執心らしい
和泉鷹央
恋愛
王国でも指折りの名家の跡取り息子にして、高名な剣士がコンスタンスの幼馴染であり許嫁。
そんな彼は数代前に没落した実家にはなかなか戻らず、地元では遊び人として名高くてコンスタンスを困らせていた。
「クレイ様はまたお戻りにならないのですか……」
「ごめんなさいね、コンスタンス。クレイが結婚の時期を遅くさせてしまって」
「いいえおば様。でも、クレイ様……他に好きな方がおられるようですが?」
「えっ……!?」
「どうやら、色町で有名な踊り子と恋をしているようなんです」
しかし、彼はそんな噂はあり得ないと叫び、相手の男勝りな踊り子も否定する。
でも、コンスタンスは見てしまった。
朝方、二人が仲睦まじくホテルから出てくる姿を……
他の投稿サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる